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第3話

家の門に着いたばかりで、

すでに祖母がそこに立っていた。

祖母の顔に刻まれた深い皺を見て、私は無意識に三輪車の手すりを握りしめた。

母が深いため息をつき、うんざりした様子で私を見た。

「叩かれるとき、ちゃんと手で顔を守りなさいよ」

そう言いながら、母は三輪車からさっと降りた。

私も震えながら、ためらうことなく車から飛び降りた。

緊張のあまり、地面に足が触れると同時に「カチャッ」と音が聞こえたが、

まだ痛みを感じる余裕もなかった。

次の瞬間、祖母が持っていた棒が私の体に向かって振り下ろされてきた。

「この恥知らずの悪魔め!あんたが私の大切な孫を殺したんだ、許さない!」

祖母の声には絶望と悲しみがにじんでいた。

その傍らで、祖父と母も涙をこぼしていた。

彼らの顔に浮かぶ悲しみを見ながら、体がどんなに痛くても、私は一滴も涙をこぼさなかった。

この儀式も、兄に救われたあの日から続く私の人生と同じく、どこか滑稽さが漂っていた。

とはいえ、叩かれる痛みを我慢すればいい。

毎年、お盆にはいつも打たれるのだから、私はもう慣れているはずだった。

しかし、祖父が私を縄でしっかりと縛り、兄の遺体が見つかった川辺に連れて行かれたとき、

私はとうとう我慢ができず、ヒステリックに泣き始めた。

泣きながら母に許しを乞い、

祖父と祖母にも赦しを求めたが、

彼らは冷たく私を見下ろしているだけだった。そして、赤い布を巻かれた私の体をゆっくりと水面下へと沈めていった。

水に浸った瞬間、息苦しさが襲ってきて、無意識に尿を漏らしてしまった。

私はヒステリックに泣き叫び、苦しみの中で声を上げていた。

その泣き声に重なるように、

祖父や祖母、母も涙を流していた。

「海翔、会いにきたよ」

「海翔、会いたかった」

「海翔、湖に留まってはいけない。早く生まれ変わらねば」

ぼんやりとした泣き声が聞こえる中、恐怖で体が強張っていた私は、突然、無気力になった。

私が生きているのは、兄のために罪を償うためのものにすぎない。

泣く理由も、

抵抗する意味もなかった。

彼らが私を恨むのも当然だと思った。

どれほどの時間が経ったのか、私はわからない。ただ、繰り返し水に沈められ、胸が破裂しそうになるまで続けられたその儀式が終わり、祖父が縄を解いて私を地面に投げ出した。

私は泥のように地に這いつくばり、水を吐き出した。

少し離れたところでは、母や祖父母が互いに支え合いながら、悲しげな背中を見せて去っていくのが見えた。

彼らの悲しみに満ちたその背中を見つめながら、私はふと笑いがこみ上げてきた。

初めて祖父に水の中の亡霊への供物として水に沈められたときのことを思い出したからだ。

あのとき私は、怖くて泣き叫んでいた。

母が狂ったように私の首を掴んで叫んでいた。

「悠香、あんたはなんて悪魔なんだ。私の息子を殺しておいて、転生させることさえも拒むのか」

祖母は身体を震わせていた。

「こいつ、道士の言葉通り、産まれたときに始末しておけばよかった。あんたさえいなければ、海翔はまだ生きているのに!」

祖父は冷静な表情で私を見つめていた。

「お前は一生、この儀式を続けなければならない。死ぬまでずっとな」

彼らの冷淡な言葉を聞きながら、

そのとき初めて私は気づいた。私が生きている意味はただ一つ、兄のための贖罪にすぎないのだと。

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