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第23話

そうでなければ、江川グループは江川宏の手に直接渡されることはなかっただろう。

「あなたはどう、元気?」私は彼の鋭い顎線を見上げ、困惑して尋ねた。

「南と結婚してからのこの3年間」

彼は微笑みを浮かべ、ため息をつきながら言った。「とても良く過ごしていた」

この答えに、私はもっと泣きたくなった。

残念だったね。

本当に、あの出来事がなければ、私たちは永遠に一緒に居られたのに。

……

帰りの道で、彼と私は黙っていた。誰も話さなかった。

今更、言っても無駄だった。

彼は現状を本当に変えることができず、私もそれを無視できなかった。

早めに手を放して、お互いの目にはまだそんなに醜い姿ではないなかったうちに。

秋の日は昼が短く夜が長かった。彼の姿がガラスを通した夕日に照らされて金色に輝いていた。

「送ってあげるよ」

海絵マンションに到着した時、私が話す前に彼が先に口を開いた。

私も拒否しなかった、二人で一緒に上がり、家の玄関に立ってから、私は唇を噛んだ。「着いたよ、帰って」

「いいよ」

江川宏は軽く頷いたが、足は動かなかった。

私は彼に気にせず、パスワードを入力しようとしていると、ドアが内側から引かれ、河崎来依の美しい顔が現れた。「お帰り!玄関で音がしたから、出前が来たと思ったわ」

河崎来依が家にいるのを見て、少し安心した。

私が中に入っていくと、冗談を言った。「お腹を空かせて帰ってきたのに、出前だと?」

「それはないよ!私は料理ができないけど、山田先輩の料理はとても美味しい!」

河崎来依は江川宏を一瞥し、意図的に声を大きくして、キッチンに向かって言った。「そうでしょう?山田先輩!」

私は気づいた。「先輩も来たの?」

「そうだよ、新居にお祝いに来たんだけど、他の人はあまり知り合いじゃないから呼ばなかったよ。伊賀丹生と先輩だけ呼んだよ」

家にはたくさんの装飾品が増えていることに、やっと気づいた。

喜びに満ちていた。

私は心が温かくなり、突然この家に対して少し実感を持つようになった。

全く気づかなかったが、江川宏の顔は一瞬で晴れ渡った表情が消え、代わりに冷たい表情が広がった。

「姉さん、帰ってきたの?」

山田時雄の手伝いをしていた伊賀丹生がキッチンから飛び出してきたが、江川宏を見ると、陽気な表情は一瞬にして緊張になった。。

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