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第225話

彼のこの様子を見て、心の底に言いにくい感情が湧いてきた。

突然、「遅れてやってきた愛情は草のように無価値だ」という言葉の意味が分かった。

私は唇を噛んで言った。「信じるかどうかはお前の自由だ」

言葉を終えた後、彼を見ることはなく、ただ足を運んだ。見たくないのか、それとも見られないのか、自分でも分からなかった。

彼がどう思うかは、もう私にとってはそれほど重要ではなかった。

私はただ自分の生活をうまくやっていきたいだけだ。

それだけだった。

しかし......私は忘れていた。多くのことは、私の思い通りにはならないのだ。

ホテルのロビーに着くと、藤原奥さんとバッタリ出くわした。

不思議なことに、藤原星華には特に好感を持っていないが、彼女の両親には敵意を感じず、むしろ親しみを感じた。

視線が合った瞬間、私は藤原奥さんに微笑んだが、彼女の顔には特に表情がなく、再び私をじろじろと見つめていた。

宴会場での時よりも、もっと露骨に。

私はわずかに微笑み、礼儀正しく言った。「おばさん、私は先に失礼します」

藤原奥さんの表情は穏やかだが、目は冷淡だった。「私たちは面識がないので、奥さんと呼んでください」

「......」

私は爪が手のひらに食い込み、少し恥ずかしく慌てて答えた。「はい、藤原奥さん。では、私は用事がありますので......」

「清水さん、お話しすることがありますが、あまり時間は取らせませんから」

「......はい」

なぜか、彼女に対して拒絶する言葉が出なかった。

彼女が藤原星華の代わりに話しに来たことはわかっているし、何を言いたいのかも予想がついた。

冷淡に断ってその場を立ち去ればよかったが......なぜか、彼女の話を聞きたかった。

藤原奥さんの元々冷たい目が、少し柔らかくなった。「聞いたところによると、宏との離婚証明書がまだのようですが?」

私の考えていた通りだった。「はい......」

言い終わる前に、彼女が残念そうに言った。「実は、私は星華に代わって謝りたいのです。その子は子供の頃から私たちに甘やかされて、欲しいものはどうしても手に入れたいと思ってしまうのです。あまり気にしないでください」

私は首を振った。「大丈夫です。星華さんがいなくても、私たちは離婚するつもりです」

「それなら良かった」

藤原奥さんはほっと
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