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第228話

うん......

南希を成功させたい。

自分と周りの人たちがみんな健康でありますように。

私は目を開けて、蠟燭の火を吹き消した。河崎来依は時間を見て、微笑みながら言った。「危ない、危ない。なんとか午前0時前にお願いを言えてよかったね」

「子供っぽいな」

私は笑ったが、心の中は温かかった。

気にかけてくれる人だけが、こんな数分の違いを気にするんだ。

私はそばを食べた。しょっぱくてたまらなくて、河崎来依を見て言った。「これ、来依が作ったんでしょ?」

「おいしくない?」

「おいしくないどころか、その上だよ」

まずい。

すごくまずい。

「くそ、私、何作ったんだろう......豚でもこんなの食べたら、夜中に自殺するよ」

彼女は味見して、その場で吐き出し、持っていって捨てようとした。

私はそれを止め、またそばをすすった。「無駄にするなんて恥ずかしいことだし、何よりも来依が自分で作ったんだから、手を火傷したりしてないいよね?」

彼女が首を振ろうとしたとき、私の携帯が鳴り、画面にははっきりと「江川宏」の文字が表示された。

私はそれを取り上げ、通話ボタンを押したが、何も言わなかった。

すると、彼の低い声が聞こえてきた。「南、誕生日おめでとう」

私は口元を引きつらせた。「もう過ぎたよ」

「夜にホテルで......なんで言わなかったんだ?加藤がさっき教えてくれて、やっと気づいたんだ」

「藤原星華の誕生日を祝う気分を邪魔したくなかっただけ」

私は少し目を伏せ、「それに、重要なことでもないから」

ただの誕生日で、過去三年間、彼が一度でも気にかけたことはなかった。

離婚した今では、もう言うする必要もなかった。

「重要じゃないって?離婚しても、ただの友達だとしても、誕生日おめでとうって言う資格ぐらいはあるだろ?」

「......」

私は苦笑し、少し苦い気持ちになった。「誕生日のお祝いまでも頼んでからできる普通の友達っている?」

昔は、誕生日でも記念日でも、私は何日も前から江川宏にお祝いを頼んで、プレゼントをねだって、あの馬鹿げた儀式感を保った。

でも、無理のことは無理だった。

気にする人には教えなくてもわかったが、気にしない人には教えても無駄だった。

江川宏は少し沈黙し、少し沙がかった声で「ごめん」と言った。

ごめん。

この言葉、彼
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