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第230話

そう言われて、私は張り詰めていた神経が徐々に緩んでいった。

叔母の言う通りだった。

本当に血の繋がりがなければ、こんなことができるわけがなかった。

私は叔母をベッドに横たえ、体をかがめて布団をしっかりと掛け直しながら尋ねた。「この数日、体の調子はどう?少しは良くなった?」

「だいぶ良くなったわ。先生は、もう一度化学療法をしたら、あとはしばらく静養に専念できるって言ってた」

「それは良かった」

私が体を起こそうとしたとき、叔母が私の襟からこぼれ落ちた玉のペンダントを見つけ、それを丁寧に戻してくれた。そして注意深く言った。「この玉のペンダントは、常に身につけておいて、他人には見せないようにね」

私は少し驚いた。「どうして?」

ただのアクセサリーに過ぎないのに、まるで見られてはいけないもののようだ。

叔母は一瞬目をそらし、こう説明した。「あまりにも......貴重なものだから、悪意のある人に狙われるかもしれないよ」

「わかった、気をつける」

この玉のペンダントの美しさは、江川お爺さんが子供たちのために用意した二つの玉のお守りよりも珍しいものだから。

叔母の心配も理解できた。

私は伊達弁護士を呼び入れ、紹介した。「叔母さん、こちらは伊達先生だ。おばさんの離婚の件なら彼が担当してくれるわ」

「清水さん、初めまして。先ほど階段でお話ししたように、南さんからあなたの状況をざっと聞いていますが、具体的にはもう少しお話を伺う必要があります」伊達弁護士は直球で話を切り出した。

叔母は少し慌てて言った。「あ、あの、よろしくお願いします。あなたは一目ですごい弁護士だと分かりますが、弁護士費用はどうなるんでしょうか?」

「ご安心ください。私は南さんの友人で、これは簡単な案件ですから、ついでに片付けますよ。費用は頂きません」

このことは私が事前に彼に伝えていたことで、叔母に負担を感じさせないためだった。

叔母は私を見て、私が頷いたのを確認すると、ほっとしたようだった。

あとはもう、私が心配することではなかった。

私は病室を出て、無意識に外を一瞥した。赤木邦康を探したが、周囲は空っぽだった。

彼はもういなかった。

彼が言った言葉を思い返し、私はまだ不安を感じていた。

家に帰っても、午後は心ここにあらずだった。

人が怒りにまかせているとき、口走る呪い
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