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第11章

すべての期待は一瞬で打ち砕かれ、全身が冷たくなった。

絶望って、おそらく今のこんな感じだろう。

電話を持って、長い間何も言えなかった。

何を聞きたいが、何の意味もないと感じた。

彼はどこに行ったか、言わずと知れたことだった。

明らかに彼に言った、次はないと。

だから、もう選択をしたのだ。

そうでしょう。

大人になると、誰もが選び取ること、利益と損失を考えることを知っていた。

私は彼が何度も考えた末、捨てられたものだった。

下意識に手をお腹に伸ばし、突然に、本当にこの子を残すべきか考え始めた。

一度残すと、彼との間にどんなに切りたくても、完全に切り離しにくくなった。

子供の養育権だけは、大きな問題だった。

彼は言った、「南?」

「うん」

もう何も言わず、いや、この時、彼に余計な言葉を言いたくなかった。

朝食を食べ終わった後、私は自分で病院に向かった。

彼に驚かせるために、一緒に来てもらいたかった。

佐藤さんを使うのは何だよ。私は既に大きなお腹で動きにくくなっているわけではなかった。

心が乱れすぎているのか、車が突然私の前に現れても、まったく反応できなかった。

ポンとぶつかった

意識が戻ったら、天地がぐるぐる回って、本能的に江川宏に電話をかけた。

結婚した後、一番前にしたことは彼を緊急連絡先に設置した。

——江川宏はわたしの夫になった。

これを思うだけで随分楽しくて、すっごく何かをして、私たちの関係を他人に示したかった

しかし、散々考え後で、緊急連絡先に設置するしかなかった。

しかも、彼に知らせらなかった。

唯の片思いだった。

今のように、電話が長く鳴ったが、出なかった。

お腹も痛くなり、子供のことを思い出すと、激しい恐怖が私を襲った。

江川宏、電話に出てよ!

やっと出た。

しかし、聞こえてきたのは彼の声ではなく、江川アナの優しい声だった。「南、何か用事があるの?宏は今日忙しいって言ったでしょう?」

彼女の声は鋭いナイフのように私の心に速くて激しく突き刺さり、血が滴った。

息が詰まり、涙が溢れ、指先が震えるのを抑えられなかった。

長年の愛が憎しみに染まるなんて思ったこともなかった。

力が憎しみによって奪われ、目の前が一瞬真っ暗になって、底の見えない闇に陥った。

再び目を覚ますと、目に入るのは一面の白さだった。

薬液は点滴管を通って体内に広がって、手の甲にひんやりと感じた。

意識を失う前の記憶が頭によみがえて、無意識に手をお腹に当てると、まだ微かに痛んでいる。

私の子は...

そう思うと、凄く苦しくなって、私は一気に起き上がり、医者を探しに行こうとした。

「南ちゃん!」

病室のドアが突然開いた。私の動きを見て、河崎来依がすぐに駆け寄ってきて、私を押さえつけ、心配そうに言った。「動くな、点滴まだ終わってないじゃないか?」

元々泣くことが好きじゃない性格だが、子供のことを考えるとまったく制御できなかった。目を上げると河崎来依の心配そうな目が迎えて、涙が顔を流れた。

「来依、私、私の子供...」

後悔した。

外出する前、この子供を残すべきかどうかを考えていたことを思い出し、非常にやましかった。

あれは私の子供なんだ。

彼はきっと天国で長い間考えた後、私をお母さんに選んだのだ。

彼を残すべきかどうか考えているとは。

河崎来依が優しく私の涙を拭き、私を抱きしめ、他人の前で今までにない優しい態度を見せた。「何を泣いてるの?子供はお腹の中で元気で、とても素直で強いよ」

「本当に?」

「もちろん本当だよ、信じないなら看護師に聞いてみて」

看護師さんはさっき一緒に入ってきたんだが、笑って言った。「子供のことばかり心配しないで、あなたも頭を打ってしまったんだよ。おでこに傷があるので包帯をしてあげたが、妊娠中だから一時的にCTは撮れなかった。今、体はどう?眩暈はひどいの?」

「まあまあ…」私は頭を振るって、ちょっとだけの眩暈だった

「それではいいね、点滴が終わったら、家で様子を見てもいいよ。もし何かがあれば、すぐに病院に来てくださいね」

看護師は言いながら、私の肩を軽く叩いて慰めた。「安心してく、赤ちゃんはよく成長をしている。自分自身を大切にするこそ、赤ちゃんへの最大の愛だよ」

話が終わると、彼女は出て行った。

それを聞いて、緊張した神経はやっと緩んで、河崎来依を抱きしめて小さな声で泣いた。

すべての不満と不甲斐なさを泣き出すように。

しばらくして、私がゆっくりと落ち着くのを待って、河崎来依は私を離して、椅子を引っ張って私の隣に座った。

彼女は胸がなおドキドキしていた。「本当に驚かせたわよ。分かってる?今日は江川宏を墓地に連れて行く予定だったのに、何で車には南だけで、江川宏はどこにいるの?

「病院が緊急連絡先に連絡を取る時、ちょうど南に電話をかけていたじゃなかったら、一人で病院に寝そべっていて、何があっても誰も知らないよ!!

「私はドライブレコーダーを見た。南の反応速度からして、その車を避けるのに十分な時間があったのに、でも避けなかった。その時、何を考えていたの?自分自身を危険にさらすことになるとは知らなかったの?」

河崎来依は言えば言うほど怒りが募り、目は真っ赤になって、最後には顔を背けて目の角を拭った。明らかに怖かったんだ。

彼女に怒らせないように、彼怖がらせないようにしたかった。私は今ここで元気にしていた。

しかし最後に、口から出たのは非常に淡い口調の一言だけだった。「来依、考えがまとまった」

河崎来依が私を見つめた。「何?」

「離婚する」

私はため息をつき、この半月間で初めて軽さを感じた。「江川宏はいらない」

河崎来依は驚いたように私を見つめ、しばらくしてから口を開いた。「本当に考えたの?」

「うん」

七年間だった。

数回の食事で、私は彼を本当に好きになった。七年間も。

彼は私のために感情を揺さぶることもなかった。

言ってみれば滑稽だけど、江川アナに何度も怒りを向ける彼を見ると、ちょっとだけ羨ましく思ってしまった。

悲しかったね。

彼が常に江川アナのために、心を動かすことを深く知っていた。

今日ははっきりと決めなかったら、決めるのは彼だ。

そうならば、自分をそんなに辛くさせる必要はなかった。

河崎来依は突然眉を上げた。「禍福相倚だね、車にぶつかって恋愛至上主義をぶつけてしまった。もっと早くぶつけさせておけばよかったね」

「……」

「子供は、彼は子供の存在を知ってるか?」河崎来依は離婚のことを考えてくれた。

「知らない」

私は微笑みを浮かべ、渋い口調で言った。「本来、今日彼に伝えるつもりだった」

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