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第12話

私が立ち去ったことは皆にとって予想外だったらしく、私が去った後、すぐに熱心な議論が始まった。いろいろなことを言われたが、私はすべて聞こえないふりをして、そのまま歩き続け、振り返らなかった。

時が経つのは早いもので、あの日からすでに半月が過ぎていた。私は少し孤独を感じながらも、自分なりに穏やかに過ごしていた。

鈴木拓海の顔はまだ私の頭の中に時々浮かんできた。彼のことを考え始めると、意識的に注意をそらし、考えないように自分に言い聞かせた。どうしても抑えられない時は、数学の問題集を引っ張り出して、一ページ一ページ解いていた。

その日の夜の月はとても明るく、星が点々と輝いていた。

夜の自習が終わり、私は厚い復習資料を抱えながら菜奈と幸子に別れを告げ、一人で家に帰った。

夜の景色が美しかったせいか、私の気分は良く、いつどこで聞いたのかもわからない歌を口ずさんでいた。

次の歌詞が何だったかを思い出している時、彼が角の向こうから現れて、私の前に立ち止まった。

鈴木拓海は眉目秀麗で、白い肌と長身を持ち、女の子が夢中になる要素を兼ね備えていた。

ただし、彼の見た目がどれだけ良かろうと、もう私には関係のないことだった。

突然彼を目にして、私は胸がキュッと締め付けられるような感覚になり、不愉快な記憶が一気に蘇り、胸が痛んだ。

もう彼と何の関係も持ちたくなかったので、私は右に一歩ずれて彼を避けようとした。ところが、彼も私の動きに合わせて一歩動いて、再び私の進路を遮った。

少し苛立ちながら、私は彼を見上げ、できるだけ冷静で無感情な目で見つめた。「何か用ですか?」

「用がないと待ってちゃいけないのか?前は毎日一緒に帰ってたじゃないか?」

私はかすかな笑みを浮かべた。「前は前で、今は今。比べるものではないわ。用がないなら先に行くね。さようなら」

私はもう一歩横にずれて立ち去ろうとしたが、彼は素早く私の左腕を掴んだ。「美咲、何やってんだよ。そんなに僕を避ける必要あるか?」

「鈴木拓海、家に帰るから道を開けてくれる?」

「佐藤美咲」彼は歯を食いしばって低く唸った。「君は一体どうしたいんだ?僕と完全に縁を切りたいのか?僕はちょっと言い過ぎただけ、なんでそんなに根に持ってんだよ?前に僕はちゃんと謝ったはずだ。いつからそんなに心が狭くなったんだ?」

私は彼がわかっていないことを思った。実際、それはあの言葉自体の問題ではなく、彼がそれを言った意図の方が重要だった。それが私にとって問題だったのだ。

彼は決してわからないだろう。彼がちょっと言い過ぎただけだと思っていることが、私にとってどれほど大きな傷だったかと。

彼の言い方があまりにも軽々しいので、私も腹が立ち、彼をまっすぐ見つめて言った。「鈴木拓海、これがあなたの望んでいることじゃないの?私はあなたの言う通りにしたけど、それでもまだ不満なの?どうしたらいいのか教えて。言ってくれれば私はそれをするよ」

彼が歯を食いしばる音が聞こえた。暗闇の中で、少し恐ろしさを感じた。

「僕ときっぱり縁を切りたいなら、引っ越せばいいじゃないか。それならもっとはっきりするだろ?」

「うん、父は今、新しい家を探しているところよ。でも、新しい家を買うのは大事なことだから、すぐには解決しないかもしれない。帰ったら父をもっと急かすよ。安心して、すぐに引っ越せなくても、私はもうあなたに関わらないから」

「大したもんだな」彼の顔色は非常に悪くなり、しばらく私を睨んでいたが、私が冗談を言っていないと確信すると、憤然と数言を吐き捨て、大股で歩き去って、すぐに闇の中に消えていった。

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