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第319話  

清次は最近悩まされていたことを思い出し、ますます頻繁に酒を飲むようになった。

 大網貴行は彼の飲み過ぎを止められず、彼がかなり飲んでいるのを見て、ためらいながらも外に出て、由佳に電話をかけた。

 その時、由佳はオスロ空港の待合室でトロムソ行きの飛行機を待っていた。

 大網貴行からの電話に気づいた由佳は、高村さんと北田さんを見てから窓辺に移動し、電話に出た。

 「もしもし、大網さん?どうしたの?」

 「清くんが酒を飲んでいる」

 その名前を聞いた由佳は、心臓が一瞬止まったような感覚に襲われた。「どういう意味?」

 彼が酒を飲むのと私に何の関係があるのか。

 「彼は退院したばかりで、まだ薬を飲んでいるのに、酒を飲んでいる。止められないんだ」

 「私に説得しろって言うの?大網さんが止められないのに、私が止められるはずがない。彼は私の言うことなんか聞かない」

 「聞くかどうかは別として、試してみる価値はあるでしょ。彼は由佳さんを助けるために怪我をして、由佳さんも彼の怪我が再発して重症になってほしくないだろう?」

 たとえ重症にはならないとしても。

 由佳は眉をひそめてしばらく迷った後、「わかったわ。彼に電話を代わって」

 「うん」

 大網貴行は部屋に戻り、清次が酒を飲もうとしているのを見て、手首を掴んで「もう飲まないで!」と止めた。

 清次は眉をひそめて彼を見た。

 大網貴行は携帯を渡し、「清くんへ電話だ」と言った。

 清次は電話の音を聞いていなかったのかもしれない。

 彼は目がぼんやりしており、半信半疑で携帯を受け取った。「もしもし?」

 彼の言葉には不安定な息が混じっており、由佳はすぐに酒を飲んでいることを察した。

 由佳は感情を整え、「清くん?」と呼びかけた。

 懐かしい声を聞いた清次は体をびくっとさせ、真剣に目を見開き、まるで夢を見ているかのように、「由佳ちゃん?」と言った。

 「私よ」

 「どしたの?」彼の声はとても軽く、声を大にすると夢から覚めてしまいそうだった。

 「酒を飲んでいるの?」

 清次はすぐに手に持っていた酒杯を置き、「いや、飲んでいないよ」と言った。

 由佳は目を細めて淡々と、「嘘をつく必要はないわ。酒を飲むことで怪我が再発して再入院するようなことになったら、結局辛いのはあなたよ。気にしないのなら
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コメント (1)
goodnovel comment avatar
yas
えぇーーー可哀想((´∀`*))ヶラヶラ 自業自得ではあるけれども!笑
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