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第325話  

由佳は「……後で考えよう」と言った。

実際には、颯太に対して特に深い感情はない。

部屋に戻ると、高村さんはそのままベッドに倒れ込み、動く気もなさそうだった。

三人は部屋で30分ほど休憩した後、レストランで夕食を取り、その後、屋上のプールに行った。

疲れ切った体が温かい水流に包まれ、全身がリラックスし、まるで毛穴が開いたかのように、疲れが一瞬で消え去った。

温水プールは屋外にあり、冷たい風が吹いていたため、由佳は思わず首から下を水に沈め、港の美しい景色をのんびりと楽しんだ。

温水に浸かった後、サウナに行き、数人の外国人と楽しくおしゃべりをし、話題は山のように広がった。

サウナの後、高村さんは部屋に戻ってベッドで写真編集を始めた。

編集しながら彼女は言った。「そういえば、意見を聞きたいことがある」

「どうしたの?」由佳はフェイスパックをしながら短く答えた。

「明日、自分たちで車を借りてオーロラを追いかけるか、ツアーに申し込むか迷ってるんだ」

「自分たちで運転するって言ってなかった?」と北田さんが突然思い出した。「自分たちで運転してもオーロラが見つけられるか不安。見逃しそうで心配」

「この問題で迷ってるの。元々は自分たちで運転しようと思ってたけど、さっき温水プールに入って空を見たら、ここ数日は曇りで雲が厚いし、予報でもオーロラの確率が低いって言ってたから、小さなツアーに申し込むのもアリかなと思って。ガイドさんはそこで長年働いているから、経験が豊富だし」

高村さんは続けて言った。「しかも、さっき誰かが私にメッセージして、小さなツアーの広告をくれたの。魅力的だったし、値段も安くて、衣服や靴、毛布がついてて、車にはたくさんの食べ物もあるし、無料で写真も撮ってもらえるし、焚き火もあるんだ。しかもオーロラが見えなかった場合、翌日も無料で再参加できるって」

オーロラが見られる保証付き、しかもオーロラの下での焚き火パーティーもある。

世界中から集まった人たちがオーロラの下で、焚き火のそばに座って、温かいスープを飲みながら話す様子は、とても心温まるものだ。

由佳は「それなら、明日はツアーに申し込んで、その後の数日は自分たちで運転するのがいいんじゃない?」と提案した。

「それでいいと思う」北田さんが言った。

「じゃあ、申し込むね!」

高村さんは担当者の
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