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第315話  

高村さんは笑いながら言った。「まずは見てみようよ。先に私のLINEを追加してくれない?」

 若い男性は由佳を一瞥し、彼女がLINEを追加する気配がないのを見て、仕方なく高村さんを追加した。「じゃあ、先に帰りますね」

 彼は由佳に向かって再び言った。「もし服がきれいに洗えなかったら、遠慮せずに連絡してください」

 「わかりました」高村さんが由佳に代わって答えた。

 男性が去った後、高村さんは由佳を見て言った。「ねえ、そんなに冷たくしなくても!」

 由佳は目を上げた。「そうかな?」

 「そうじゃないの?」高村さんは目を大きく見開いて言った。「あんなに誠意を持って接してくれたのに由佳ちゃんはずっと無表情で、冷たすぎるよ!」

 由佳は少し言葉に詰まった。「ただ、必要ないと思っただけです」

 由佳は自分の問題をよく理解していた。独りでいることに慣れていて、必要な顧客以外では、友人関係に対しては比較的消極的だった。

 言い換えれば、「来る者は拒まず、去る者は追わず」といった感じで、あまり友達を作ろうとは思わない。

 今回のような無駄な社交はできるだけ避けたいと思っていた。

 高村さんと北田さんとの友情も、仕事上での相性が良かったからこそ築かれたものだった。

 そして、清次はおそらく、彼女が積極的に関係を維持しようとする唯一の人物だった。

 高村さんは言った。「必要かどうかは別として、旅行中に一緒に楽しむだけのことだよ。帰国後は別々になるんだし」

 高村さんの言うことには一理あった。

 「それで、私たちは彼らと一緒に行くべき?」由佳は尋ねた。

 「スケジュールによるかな。国内からここに旅行に来る人はほとんどが直接トロムソに行くし、長く滞在すると費用がかさむから、彼らは大学生だし、ここに長くは留まらないかもしれないよ」

 高村さんはスマートフォンを見ながら、楽しそうな表情を浮かべた。「LINEを追加したんだけど、彼が私を『お姉さん』と呼んでるの」

 「え?年下狙い?」北田さんが冗談で言った。

 高村さんは北田さんを見て、「年下であっても、由佳ちゃんが狙うべきだよ」と返した。

 由佳は困惑しながら言った。「私に関係ある?」

 「彼は最初に由佳ちゃんのLINEを追加したかったんだよ!『お姉さん』って呼んでるのも由佳ちゃんのためだよ!」

 「彼
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