第132話

グループにメッセージが送られ、翌日仕事が終わったら、会社の前で集合するようにとのことだった。会社が手配したバスで郊外の温泉リゾートに前夜から行くことになっていた。

　3つの部署を合わせて40人以上おり、2台のバスが用意された。

　翌日、部署のスタッフは出勤時にそれぞれの衣類や洗面用具などを持参し、退社時間になるとすぐに肩を組んで外へ向かい、温泉リゾートへの期待で胸を膨らませていた。

　由佳が下に降りると、バスにはすでに数人の社員が座っていた。彼女はバッグを持って後ろの空いている二人席に座った。

　社員たちは次々とバスに乗り込み、車内はほぼ満席になった。

　「山口総監督、ここに座ってもいいですか？」と男性の声が聞こえ、由佳は顔を上げて彼を一瞥し、軽く頷いた。「座ってください」

　「ありがとうございます」

　「どういたしまして」

　隣の人は由佳が知っているMF部門の三宅健太郎だった。

　三宅健太郎は以前MQに所属していたが、後にMFに異動した。

　また、三宅健太郎は以前、由佳に好意を示していたことがあったが、由佳が反応しなかったため、そのまま終わった。

　突然、誰かが驚いて叫んだ。「山口社長も行くんですか？」

　由佳が顔を上げると、山口清次が手に荷物を持ってバスに乗り、頷いた。

　昨日、山口清次は彼女を車で連れて行くと言っていたが、由佳は会社の同僚たちに変な誤解を与えたくなくて断ったのだ。

　「どうした？山口社長もリラックスしたいのか？」と他の人が笑いながら言った。

　車内の雰囲気は一気に盛り上がり、皆が口々に冗談を言い合った。

　車内にはいくつかの座席が残っており、山口清次はバスの最後尾に歩き、座席を見つけて座った。

　三宅健太郎は視線を戻し、ぼんやりとした口調で「山口社長が来るとは思わなかったな。山口社長が仕事以外のことをするとは思わなかった」と、由佳に話しかけるようにも、自分に言い聞かせるようにも言った。

　由佳は返事をせず、車窓に寄りかかって目を閉じて休んだ。

　やがてバスが動き出し、温泉リゾートへ出発した。

　車内は賑やかで、社員たちは久しぶりのリラックスタイムに思い切り話していた。

　「山口総監督、今彼氏はいますか？」

　三宅健太郎の声が突然聞こえたが、騒がしい車内では目