第133話

彼女が画面を開いて確認すると、山口清次からのメッセージだった：「私の部屋は0104号室」

　同僚たちの部屋はすでに割り当てられていて、女性は二人一部屋、男性は四人一部屋だった。

　一方で山口清次は一人部屋で、スイートルームだった。

　由佳は「必要ないわ」と返信した。

　彼女にはルームメイトがいて、夜自分の部屋にいないとなると、確実に噂が立つだろう。

　「私の部屋には専用の温泉があるよ」

　由佳：「……」

　彼女は迷った。

　今回、会社の費用で温泉旅行に行くことになったが、全員に個別の温泉が用意されるわけではない。

　他の同僚たちは大浴場を利用するしかないが、彼女は他人と一緒に入るのが好きではなかった。

　専用の温泉という点が彼女を強く引きつけた。

　バスが温泉リゾートに到着し、空き地で停車した。同僚たちは次々と降りて大輝についてフロントへ行き、部屋の鍵を受け取った。

　大輝はグループチャットにメッセージを送った：「今夜、各自部屋で落ち着いたら自由時間です。明日の昼はレストラン2階でバーベキューパーティーをします」とリゾートの地図も添付した。

　由佳と同室になったのは、MFの社員である大倉百恵だった。

　二人はまず自分の部屋に戻り、荷物を片付けた。

　大倉百恵はメッセージを返信し、由佳に言った。「山口総監督、他の女性社員と食事に行く予定ですが、一緒に行きますか？」

　由佳は答えた。「私はまだお腹が空いていないから、後で行く」

　「じゃあ、先に行ってきますね」

　大倉百恵が出かけた後、由佳も部屋を出て、0104号室のドアをノックした。

　山口清次が中からドアを開け、由佳を見ると、「入って」と言った。

　由佳は0104号室に入り、部屋の配置を見渡した。スイートルームで、飾りや設備はすべて一流だった。

　確かに自分の部屋よりはるかに良かった。

　部屋の外には専用の温泉があった。

　「今夜ここに泊まるの？」

　「無理だよ。夜は自分の部屋に戻って、明日はここで温泉を楽しむわ。」

　「今夜も温泉に入って疲れを癒すのはどう？」

　由佳は心が揺れた。

　「まずは温泉に入ってきて。私は夕食を持ってきてもらうから、一緒に食べながら温泉を楽しめるよ」

　由佳はさらに心が動いた。