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第140話

夜の8時、山口清次から由佳に「夕食は済んだ?どうして来ないの?」とメッセージが届いた。

 由佳はメッセージを一瞥し、LINEを閉じて画面を消した。

 しばらくすると、またスマホが振動し、さらにメッセージが届いた。

 由佳がスマホを見ると、山口清次が「すぐに返事をしなければ、今すぐ君の部屋に行く」と書いてあった。 由佳は苦笑し、「今夜は行かない」と返信した。

 「どうして?さっきどうして無視したんだ?」

 「さっきは見なかった。今夜はちょっと疲れていて、行きたくない」

 言い訳だ。

 誰が見ても言い訳だとわかる。 「由佳、本当のことを教えて、どうして?」

 「さっき言ったのが本当のこと。もう休む」

 このメッセージを送った後、由佳はスマホを握りしめ、山口清次の返信を待ったが、返事はなかった。

 由佳はスマホを置き、ベッドで横になって眠ろうとした。

 すると突然、外からノックの音が聞こえ、由佳は全身を震わせた。

 彼女は直感的に、外でノックしているのは山口清次だと感じた。

 大倉さんのベッドは外にあり、彼女はスリッパを履いてドアの後ろに立ち、「誰?」と尋ねた。

 「僕だ」低い声がドア越しに聞こえた。

 「由佳はいる?彼女を呼んで」

 「わかった。」大倉さんはすぐに応じ、由佳に「山口総監督、山口社長が呼んでるよ、早く出てきて」と声をかけた。

 彼は本当に来たのだ。

 由佳はベッドから起き上がり、スリッパを履いてドアを開け、山口清次に「どうして来たの?」と尋ねた。

 「由佳ちゃんはどう思う?」山口清次は彼女を見つめて問い返した。

 由佳が何か言おうとすると、山口清次はすぐに彼女の言葉を遮った。

 「言い訳はやめて、本当の理由を教えてくれ。機嫌が悪いのか?」

  「そんなことはない、もう聞かないで」

 「君は加波ちゃんのバラエティ番組を見たのか?」

 由佳は沈黙した。

 「嫉妬してるんだろう?」

 「そんなことない。違うから、何もないわ」由佳は即座に否定した。

 最後の一言を聞いた山口清次の表情が変わった。「由佳ちゃんは今、おじいさんへの約束を破ろうとしているのか?」

 由佳は口を開け、小さな声で「そんなことはない…」と答えた。

 山口清次は彼女の手を握りしめ、「一人
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