共有

第126話

「この司会者、本当にやり手だな。」

カメラが山口清次の顔に寄り、彼の表情は平静だが、眼差しには複雑な色が混じっていた。

皆の注目を集めながら、彼はステージに上がり、歩美の隣に立った。

歩美はハイヒールを履いており、二人の身長差は一目瞭然だった。

メディアは彼らの写真を狂ったように撮り続けた。

ディレクターもカメラを二人に向け続け、時折台下の由佳に切り替えた。

司会者は笑顔で言った。「ここで視聴者の皆さんに代わって歩美さんに質問です。先ほど、由佳さんと初めて会ったときのことを話されましたが、彼女が16歳だった時の出会いの場所はどこですか?」

この質問はディレクターがイヤーピースを通じて司会者に伝えたものだった。

歩美は唇を噛みしめ、隣の山口清次を一瞥した。

「歩美さんが答えたくないなら、無理に答えなくてもいいですよ。でも、皆さんもう分かってますよね?少なくとも私は分かりました。視聴者の皆さん、どうですか?」

コメント欄には「分かった」とのメッセージが溢れた。

「次の質問は山口清次さんに伺います。歩美さんと知り合ったのはいつですか?」

山口清次は一瞬の間を置いて、「大学時代です」と答えた。

司会者は意味深に「そんなに昔からの知り合いなんですね」と応じた。

コメント欄は一気に沸騰した。

二人は公式に恋人関係を発表していなかったが、これでほぼ確定だとネットユーザーたちは思っていた。

今回の発表会の企画はファンを引きつけるためのものだった。

先ほどの由佳と山口清次のやり取りに不満を感じていたファンも、今のセクションには満足していた。

「さて、次のインタラクティブゲームを始めましょう。」

由佳が山口清次と歩美のために用意したゲームは風船割りだった。

二人は互いに抱き合い、力を入れて風船を割らなければならなかった。

用意された風船は3つがあった。

山口清次と歩美は協力して風船を割った。

司会者が拍手を促し、「山口清次さんと歩美さん、ありがとうございました。お二人はどうぞお席に戻ってください。」

二人は一前一後にステージを降りた。

歩美が階段を降りたとき、山口清次は振り返って彼女を支えた。

ディレクターはその場面をしっかりとライブに映し出した。

発表会の終了後、全てのゲストがステージに上がって記念撮影を行った。

ゲストたちは立
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status