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第55話

中村由太はこの瞬間、理性を失っていた。

彼は同級生の前で、田中健太という無価値な存在に押しつぶされることを許さなかった。

そこで、彼は決意して、中村正雄から爆竹を受け取り、自分の車に放り込んだ。

次にライターを取り出し、爆竹の導火線を掴んで冷たく言った。「しっかり見ておけ!俺は負けを認めない人間じゃない!田中の同情なんかいらない!」

そう言うと、すぐにライターで点火した。

爆竹は瞬時に引火し、車の中で激しく爆発した!

最初は車内の火花が見えたが、すぐに車内は白い濃煙で充満し、絶え間なく爆発する爆竹の音に中村由太の心は血の涙を流していたが、見物している同級生たちは興奮していた。

多くの同級生がすでにスマホを取り出して録画し、その全過程をSNSにアップロードして、ネットユーザーにもこの珍しい騒動を見せようとしていた。

三万発の爆竹が絶え間なく爆発し、すぐにBMW 540の座席が爆破された。座席の内部には大量のスポンジが詰まっており、これはすべて可燃物だ。そのため、爆竹の助燃で、すぐに火がついた。

誰も爆竹が車を燃やすとは思わなかった上に、白煙で満ちているため、火がついているのも見えなかった。

しかし、爆竹がほぼ終わったとき、煙が晴れ始めた。その瞬間、車内の火花が突然爆発し、車が一気に火の海に包まれた!

同級生たちは一斉に叫び声を上げ、中村由太は怖くて口を開けた。「くそっ、火を消せ!早く火を消せ!」

彼は最初、爆竹が座席を壊す程度だと思っていた。内装が傷ついたとしても、200万円ぐらいかけて車を修理すれば元に戻るだろうと考えていた。

しかし、爆竹が車内で大火事を起こすことは夢にも思わなかった!

彼は火を消せと叫んだが、誰も素手で車内の火を消すことはできなかった。彼は慌てて110番に通報し、その場で絶望的に愛車の火勢がますます強くなり、最終的に火の海になるのを見守るしかなかった。

消防車が到着したときに、このBMW 540はすでに骨組みだけ残らなかった。

骨組みからBMWであったことさえも分からなかった。

中村由太は地面に座り込み、好きなBMWが灰となるのを絶望的に見つめ、心が痛んだ。

こうなることが分かっていたら、絶対に田中健太に挑戦することなどしなかっただろう。
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