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第58話

中村正雄は本来こんなことをしたくなかったが、あまり発言権がなかったため、山藤綾に好き勝手させるしかなかった。

しかし、多くの同級生たちはこれを当然のこととして受け止めていた。人は比較や見栄を張りたがるものであり、誰が何を送ったかを見ることで、同級生たちが社会に出た後の成功度合いを判断することができるからだ。

そして、山藤綾は名前を読み始めた。

「山本一郎さん、祝い金2万円、ありがとうございます!」

「竹内明子さん、金の元宝を一組、ありがとうございます!」

「田中太郎さん、玉の貔貅、ありがとうございます!」

「中村由太さん、祝い金20万円、ありがとうございます!」

前の人の贈り物は、祝い金や品物の価値が大体何万円ぐらいだが、中村由太の番になると、20万円の祝い金が贈られ、同級生たちが驚嘆した。

開業祝いに20万円の祝い金を送るなんて、その豪勢さに驚かされた。

多くの人々が中村由太を称賛し、彼の豪勢さを褒めたたえた。

中村由太も誇らしげな表情を浮かべ、同級生の中で一番になったことを喜んでいた。

その時、山藤綾が再び声を上げた。「田中さん、佐藤まゆみ夫婦から絵を一枚いただきました!」

この言葉が出ると、みんなが一斉に嘲笑した。

絵?千円の価値もないんじゃないか?

二人はケチすぎるだろう。中村正雄のレストランの開業祝いに来て、こんな豊かな宴席を設けてくれたのに、一人分の食事代だけでも何千円かかるだろう。二人が食事をしに来て、絵一枚を贈るだけなんて、笑われても仕方ない。

中村由太も冷笑しながら皮肉を言った。「田中くん、君はBMW 520を買って、改造するお金も出せるのに、どうして同級生のレストラン開業祝いにはこんなガラクタを贈るんだ?」

「君はその絵の由来を知らないのに、どうしてガラクタだと言えるんだ?」と田中健太は淡々と笑いながら言った。

「君の考えは分かっているよ。そのボロボロの偽古董を本物の価値があるもののように見せかけて、みんなが本当の価値を測れないようにしようとしているんだろう?」と中村由太が嘲笑して言った。

さらに彼は田中健太を追い詰めるように言った。「正直に言って、その古い絵はいくらで買ったんだ?千円ぐらいか?」

「その絵は、今日ここにいるみんなの贈り物を合わせた価値よりも高いよ。」と田中
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