第57話

田中健太、佐藤まゆみと新谷結菜は一緒に座り、中村由太もついてきて、新谷結菜の隣に座った。

座るとすぐに、彼は新谷結菜に笑いながら尋ねた。「新谷さん、京都に来て三島グループで働いていると聞いていますが。」

「ええ、入社したばかりです。」と新谷結菜はうなずいた。

「奇遇ですね。僕の父は三島グループの役員なんです。今度、父に君をサポートしてもらうように頼みますよ。」と中村由太は笑いながら言った。

この言葉で、テーブルの周りの数人が驚いて声を上げた。「中村くん、君のお父さんは三島グループの役員なの？」

「そうだ。」中村由太はうなずいて言った。「去年昇進したばかりだ。」

誰かがすぐにお世辞を言った。「役員の年収は何千万円もあるだろう？すごいだね！だから君の家族はこんなにお金持ちなんだ！」

中村由太は笑って言った。「何千万円は給料だけだよ。父は大きな権力を持っているから、他にも収入がある。今、三島グループはホテルプロジェクトを進めていて、そのプロジェクトが成功すれば、父は少なくとも二億円か四億円は稼ぐだろう。」

向こうに座っていた男の同級生が急いで尋ねた。「中村くん、僕も三島グループに入りたいんだけど、何度も履歴書を送ったのに連絡がないんだ。君のお父さんに内部推薦してもらえないかな？」

中村由太はうなずいて、快く言った。「いいよ。後で履歴書を僕のラインに送ってくれ。父に推薦してみるよ。」

田中健太は眉をひそめた。中村由太の父が三島グループの高官だとは知らなかった。だが、面白いことになった。後で中村みかにメッセージを送って、中村由太の父を解雇させよう。

そこで彼はわざと尋ねた。「中村くん、君の父が三島グループでそんなに偉いなら、君を入社させなかったの？」

「お前に何が分かるんだ？僕が三島グループに入っても意味がない。父と息子の関係は隠せないし、入ったら常に監視されるだろう。」と中村由太は軽蔑して冷笑しながら言った。

続けて中村由太は偉そうに言った。「だから僕は三島グループには全く興味がない。今は建材会社をやっていて、父と三島グループと提携して、建材の供給契約を取るつもりだ。」

「すごいな！」「それで大儲けできるんじゃないか？」など感嘆の声が上がった。

「まあまあかな。一年で何億円かくらいは稼げるだろう。」中村由太は鼻で笑いながら言った。

彼はわざと