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第43話

新谷結菜が三島グループに入社する日は、明日だ。

長楽館を出て、田中健太は彼女を滞在しているホテルまで送り、そして別れを告げた。

新谷結菜は、夜のあの出来事に驚きを覚えつつ、今後の進路について考え込んでいだ。

今回京都に来た理由は、表では三島グループで働くことだが、実際には、家の重大な役割を背負っている。

父から機密情報では、東京の首位に立った一族である田中家は長い間行方不明だった若旦那を見つけ出した。さらに三島グループを買収して、その若旦那に手腕を試すための贈り物にしたそうだ。

つまり、その田中家の若旦那は今京都にいる。しかも三島グループにである。

新谷家は東京においてもなかなかの一族だが、東京は立派な家がいくらでもあるため、新谷家は二流にしか達していない。田中家とは比べ物にならない。

そのため、田中家の若旦那の身分がまだ公にされていないうちに、新谷結菜が先手を打って彼に近づく。もし恋愛関係に発展し、両家が婚姻によって親戚となったら、この上ないことだと新谷家は図った。

新谷結菜自身は、この計画に対して若干の抵抗感を感じているが、家族の栄光を再び輝かせる重責が自分の肩にかかっていることを考えると、手を抜くわけにはいかない。

自分がはるばる京都に来て、三島グループに入ろうとするのは、あの神秘的な会長に近づき、彼を惹きつけるためだ。

新谷結菜は東京の上流社会においても、一番の美人だと言える。

自分の顔、学識、能力や清潔な体を以って、田中家の若旦那を引き付けられると信じている。

もし本当にあの人と結婚できれば、新谷家は絶対的な復興を迎え、東京の名門になるだろう!

そう考えて、彼女は明日の入社に胸を膨らませていた。

同時に彼女はあの神秘的な田中家の若旦那に会うことにワクワクしている。

新谷結菜は思わず考えた。田中家の若旦那は、歳がおいくつなんだろうか。どんな顔をしているのだろう。さっぱりとしていて背が高く、魅力的な男性なのだろうか?

彼女は我慢できずに携帯を取り出し、ビデオアプリを開いた。

お気に入りに追加したあの何千万回もの再生回数の動画を流した。

この動画に映っているのは、一人の男性が琉璃の都宝石店で営業部長に大恥をかかせた場面だ。

すでにこの動画を分析した彼女は、これが京都で起こったのを知っていた。しかもそれが田中家の若旦那が見つか
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