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第47話

田中健太が同窓会のことを承諾したのを見て、佐藤まゆみは田中健太に注意を促した。「中村君のレストランが開業するんだから、何かプレゼントを用意しないと。手ぶらで行ったら良くないわ」

田中健太はうなずいて言った。「明日午前中にプレゼントを買いに行く」

「分かった」佐藤まゆみは言った。「ちょうど明日の午前中に三島グループに寄ることになってるの」

新谷結菜は驚いた様子で尋ねた。「明日の午前、三島に来るの?じゃあ、終わったら私のところに来て。昼にはあなたの車に乗って中村正雄のレストランへ一緒に行こう」

佐藤まゆみは笑って答えた。「その打算は意味ないわよ!私は車がなくて、普段はタクシーかバスを利用するの。たまに健太が電動バイクで送り届けてくれているから」

「えっ?」新谷結菜は不思議そうに言った。「もうディレクターなのに、車をまだ買ってないの?」

「まだ仕事して間もないし、それほどお金を稼いでもないの。普段は健太との出費のほかに、母に生活費を送るのもあるから、月々の収益から何万円か残るだけで、車を買うには足りないわ」佐藤まゆみは答えた。

そう言って、また佐藤まゆみは続けた。「正直、バスはとても便利だと思ってるわ。天気がいい時、健太の電動バイクに乗ることも悪くないのよ。」

新谷結菜は真剣に言った。「まゆみ、時には社会的地位を意識する必要があるわ。まゆみは今、佐藤グループのディレクターとして、三島グループと直接協力している立場なのよ。車がないと、人々に不適切だと思われ、余計な噂を立てられるかもしれない」

田中健太もそう思っている。

妻はあまりにも質素でいたし、稼いだお金の大半を義母に渡していたから、自分には粗末に扱ってしまってきた。

義母はただの金儲けのために、貯めた2000万円もの金を払って信頼性の低い財テク商品を購入したのに、娘に車を買う金すら出せないんだ。

そう考えると、彼は妻に車を買わないといけないと思った。車があれば、妻がこれから外出して仕事に行き、ビジネスを交渉する時も便利だし、他人に対してもより威厳があるだろう。

そう決めて、彼は明日の朝早く4S店に行くことにした。

......

食事が終った後、二人は新谷結菜と別れて、タクシーで家に帰った。

タクシーのラジオから、月光庭園ホテルの空中ガーデンが貸切された件に
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