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第29話

中村祐介はこの時、自信満々の表情でみやこ安全保険会社の入口に立っていた。

今日はまゆみの母親の前で自分の実力を見せる絶好の機会であることを知っていたので、絶対に逃さないと決心していた。

彼女の母親を納得させさえすれば、まゆみを落とすのも遅かれ早かれのことだった。

そうなれば、京都でも有名な美人である佐藤まゆみを自分のものにできると考えるだけで、胸が高鳴っていた。

そこで彼は大声で言った。「皆さん、安心してください。この詐欺会社の社長がすぐに出てきて、皆さんにお金を返してくれますよ!」

それを聞いた人々は一斉に歓声を上げ、拍手し始めた。皆、興奮を抑えきれない様子だった。

ただ一人、健太だけは冷笑を浮かべて中村祐介を見ていた。この男、自分を買いかぶりすぎだ。後で痛い目に遭うことになるのが目に見えていなかった。

中村祐介が鼻を高くして人々の賞賛を楽しんでいるその時、突然みやこ安全保険会社の扉が内側から開けられた。

そして、社長の森田大樹とスーツ姿の中年男性が一緒に出てきた。

その中年男性は年を取っているものの、迫力満点だった。この男が正に小川翔太であった。

小川翔太の後ろには、数人の屈強な部下がぴったりと付き従っていた。彼らは皆、小川翔太の護衛で、全員が一流の実力者だった。

小川翔太の地位は非常に高く、京都では彼の名前はよく知られているが、実際に彼を見る機会は少なかった。したがって、中村祐介を含むその場の誰もが彼を認識できなかった。

人々が認識できたのはみやこ安全保険の社長、森田大樹だけだった。

それで大衆の雰囲気は一気に沸騰した!

「へえ、中村家のお坊ちゃんは本当に森田社長を呼んできたんだ!彼はすごいな!」

「そうだよ、今回は加奈ちゃんのおかげで、私たちのお金が戻ってくる希望が見えたんだ!」

「加奈ちゃん、こんなに素敵な青年、絶対に婿にもってこいわ!」

佐藤加奈は彼女たちの称賛を聞き、全身に言い知れぬ心地よさを感じた。

この中村祐介、今日は本当に自分を友達の前で際立たせてくれた。

そう思うと、彼女の顔には満面の笑みが浮かび、中村祐介を見る目にも言い知れぬ満足感が漂った。

この時、中村祐介は得意げに前に進み、上からの姿勢を取った。

彼は森田大樹も小川翔太も知らなかったが、森田大樹が小川翔太に対して非常に敬意を表しているのを見て、小
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