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第28話

そして、この時、みやこ安全保険会社の会長室では、社長の森田大樹が四十代の中年男性に恭しく対応していた。

彼は満面の笑みを浮かべ、引き出しからキャッシュカード一枚を取り出し、恭しく差し出して言った。「小川さん、このカードには6億円が入っています、暗証番号はお誕生日です。今回の配当金としてご確認ください」

中年男性はスーツ姿で、顔立ちはやや粗野だが、その眼差しは威厳があり、圧倒的な存在感を放っていた。

もし他の人がその場にいたら、その中年男性の身元をすぐに認識したことだろう。

彼こそが小川翔太であった!

京都に限って、小川翔太が闇世界の覇者であり、誰もが彼に逆らえないことを知らない者はいなかった。

小川翔太は森田大樹を見て、満足そうに微笑みながら言った。「大樹君、お前もなかなかやるじゃないか、いいぞ、いいぞ!」

森田大樹は慌てて言った。「小川さん、階下で騒いでいる老人たちをどうしましょうか?」

小川翔太は淡々と答えた。「あんな老いぼれども、気にすることはないよ。後でまだ大人しく消えてくれなきゃ、俺の手下に痛い目に遭わせてやってもらうさ!」

森田大樹はホッと息をつき、急いで言った。「小川さん、ありがとうございます!」

小川翔太は微笑んで言った。「今後、こういう仕事は思い切りやれ。金さえ稼げれば、何かあっても俺が後ろ盾になってやるよ」

森田大樹は喜びを抑えきれず、謙虚に言った。「小川さん、ありがとうございます!小川さんのお言葉をいただければ、心強いです。必ずもっと努力して、共に大金を稼ぎましょう!」

森田大樹は京都では大きな後ろ盾を持っていないが、彼には一つの長所があった。それは頭が冴え、裏の手を使うのが得意なことだった。

彼は投資詐欺で金を騙し取っていたが、これほどの金額を自分では呑めないと知っていたため、小川さんに助けを求め、不正所得の一部を小川さんに献上することで、小川翔太の庇護を求めたのだった。

小川翔太は京都ですごい存在であり、彼が守っているおかげで森田大樹も安心していられた。まさに小川翔太という後ろ盾があったからこそ、彼は心配なく詐欺ビジネスを順調に進めることができたのである。

森田大樹が小川翔太との繋がりを持てたことに興奮していたその時、彼の部下から電話がかかってきた。部下は開口一番に言った。「社長、大変です!中村家のお坊ちゃん、
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