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第25話

電話はすぐに繋がった。

佐藤加奈は口を開くとすぐに言った。「もしもし、祐介さんだよね?そう、私はまゆみの母だよ……」

中村祐介は、宴会でまゆみを見た瞬間、一目惚れし、彼女のことが忘れられなかった。

まゆみに近づく機会がないかと悩んでいたところ、ちょうどまゆみの母親から電話がかかってきた。

彼は佐藤加奈が何か困っていると推測し、もちろんこの機会を逃すわけにはいかなかった。

そこで、彼はすぐに礼儀正しく尋ねた。「お母様、何か困ったことがあるのですか?」

「あのね、ちょっとお願いしたいことがあるのよ」

佐藤加奈は急いで言った。「祐介さん、私と何人かの友人が、みやこ安全保険という保険会社で投資商品を買ったの。でもね、今その会社がお金を引き出させてくれないの。何とかしてお金を取り戻してもらえないかしら?」

中村祐介はこれを聞いて大喜びし、今こそ自分の腕を見せる時だと思い、自信満々に言った。「お母様、心配しないでください。今すぐそちらに向かいます。この問題を必ず解決してみせますから!」

佐藤加奈は大いに感激し、急いで言った。「それは本当に助かるわ!ありがとう!」

電話を切った彼女は再び健太に目を向け、怒りを込めて言った。「お前は何の役にも立たないわね。口先ばかりで、一体何の役に立つの?」

健太はこれを聞いて、心の中で冷笑した。この義母は本当に目先の利益しか見えない愚か者だった。

中村祐介に助けを求める?

この保険会社は少なくとも数十億円、場合によってはそれ以上の資金を詐欺で集めていた。これだけの金額を騙し取るからには、背後に強力なバックグラウンド、もしくは裏社会の大物が控えているはずだった。中村祐介がそんな相手にお金を返してもらうなんて、到底無理だった。

本来、中村家の実力はそれほど強くなく、三島グループとの提携が中止された後はさらに衰退して、中村家の背景ではこのような大規模な金融詐欺に介入するのは基本的に不可能だった。

実際のところ、この程度の問題なら、自分が月光庭院ホテルの鈴木慎太郎に電話一本かけるだけで、すぐに解決できたはずだった。

何しろ彼は田中家の京都代理人であり、京都のどんな企業家でも裏社会の大物でも、彼の顔を立てる必要があったのだから。

しかし、自分の義母は本当に憎たらしい。彼女が中村祐介を信じるのなら、中村祐介に助けてもらえばい
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