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第5話

竜一は質問することもなく、鈴木弁護士の手首を掴んだ。

そして私の方を振り返った。

「そんなに急いでいるのかい?」

「おじいさんは昼に全部教えてくれた。あなた、午後から他の人とデートに出てるのか?」

竜一是私の耳元で囁いた。

「一生懸命私と結婚するために努力したくせに、今度は別の男のために離婚するつもりかい?」

彼の言葉が終わると同時に、私は竜一の顔を打った。

鈴木弁護士が説明しようとしたが、激怒した竜一に一撃され、床に倒れた。

離婚資料も手からこぼれ落ちた。

「あなた、気が狂ったの?彼は私が雇った弁護士だよ中!」

私は彼を止めようと前へ出たが、怒り狂った竜一は私の言葉など聞こうともしなかった。

次の瞬間、私のお腹に激しい痛みが走った。

ぼんやりとした意識の中で、私は竜一が青ざめた顔で私のもとに駆け寄るのを見た。

「花穂、大丈夫、すぐに病院に連れて行くから」

「すぐに行くから、怖がらないで」

再び目を開けたとき、私はすでに病院のベッドで横になっていた。

私が目を開けると、竜一は焦った様子で私の手を取った。

「具合が悪いところはないか?もし具合が悪かったらすぐに言ってくれ」

その瞬間、私は一瞬戸惑った。

まるで昔、私に優しかったその人が目の前にいるかのようだった。

しかし、真希の声が現実に引き戻した。目の前のこの男はかつて私に優しかった人ではない。

「花穂、桜井さんと前回は遊びで冗談を言っていただけだよ」

「本気にしないで、私のせいで不機嫌にならないで」

真希も床に落ちていた離婚資料を見てしまった。

たとえ一秒たりとて、彼女の顔に浮かんだ喜びを私は見逃さなかった。

「だったら、あなたのソーシャルメディアの投稿も冗談なのか?」

私の言葉はストレートで、おそらく真希も私が竜一の前でこれを直接尋ねるとは思わなかった。

彼女はしばし呆然としてから、媚びるような笑みを浮かべた。

「私は他の人のことを書いていたの」

彼女の言葉が終わると同時に、真希は俯き、心虚そうにしていた。

竜一も眉をひそめ、真希が投稿したその手の主は誰なのかを知っている。

三人ともその事実は心の中にある。

私は竜一の手から自分の手を抜き、彼を見つめた。

「離婚しよう」

予想外にも、竜一は笑って立ち上がり、私の額を撫でた。

「何を言ってるんだ、
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