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第212話

「それはもちろん」遠藤花はにこにこと彼の腕に腕を絡めて、言った。「だって、お兄ちゃんはイケメンでスマートだし、お兄ちゃんのことが好きな女の人もたくさんいるんでしょ?それくらい自分でもわかってるんじゃない?」

「でも、いくら一万人から好かれても、自分が欲しい相手じゃなければ意味がないだろう?」遠藤西也は少し寂しげにため息をついた。「本当に欲しい相手を手に入れられなければ、何の意味もないんだよ」

兄のしょんぼりした様子を見て、遠藤花は元気づけようと、「こんなにすぐに落ち込むなんて、お兄ちゃんらしくないよ。私はちゃんと応援するからね!」と励ました。

西也は顔をそらして、「つまり、お前は俺を応援してくれるってことか?」と聞いた。

「もちろんだよ!だってお兄ちゃんは私の兄なんだから、私が応援しないで誰が応援するの?」

「たとえ彼女が一度結婚していて、他の男の子供を身ごもっていても、お前は気にしないってことか?」

遠藤西也は自分自身は気にしていなかった。彼には古臭い偏見なんてなかったが、家族がそこまで理解してくれるとは思っていなかった。

「だから何?お兄ちゃんが好きな人なら、お兄ちゃんが幸せならそれでいいじゃない。誰だって過去くらいあるんだし」遠藤花は明るく、あっけらかんと答えた。

西也はその答えに心から感謝し、手を伸ばして優しく彼女の頭を撫でた。「このことは、まだ誰にも言わないでおいてくれ。若子は今すごく傷ついてる。俺は彼女の弱みに付け込むつもりはないし、お前も余計なことは言わないように」

「わかってるよ。それに、彼女が今こうして傷ついているからこそ、他の男に夢中になってる間に、お兄ちゃんの気持ちに気づかないんだよね。だから、上手く隠しておかないと、彼女を怖がらせて逃げられちゃうよ」

西也は少し不安げに、「そんなにわかりやすいのか?」と尋ねた。

「じゃあ、次に若子と二人で話すときに、私がこっそりビデオ撮るよ。お兄ちゃんの目つきがどうか、自分で見てみたら?」

遠藤花はそれを言うだけで震えそうな気がした。

西也は苦笑して、「じゃあ、次は気をつけるよ」と呟いた。

「こういう時こそ、妹の私の出番じゃない」遠藤花は袖を軽く引っ張り、「どんな優れた将軍だって、兵士がいなければ戦えないでしょ。だから、今回は私がその兵士になってあげる」と言った。

「本気か?」彼
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