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第128話

女が視線を避ける様子を見て、男の瞳にはわずかな不満の色がよぎった。「お前の体なんて、もう見慣れているだろう」

松本若子は返事をせず、立ち上がった。「あ、あの…続けて風呂に入っていて。私は先に行くね」

ちょうどその時、若子が立ち去ろうとした瞬間、足元が滑り、彼女は後ろに倒れ込みそうになった。

「キャー!」

若子は反射的にお腹を守りながら、叫び声を上げた。

次の瞬間、大きな腕が彼女を後ろから支えた。「ドボン」という音と共に、二人は浴槽に転げ込み、水しぶきが激しく飛び散った。

冷たい水が体を包み込み、若子は震えながら必死に水の中で抵抗した。

服はまだ着ていたものの、彼女の体は藤沢修の体にぴったりと密着し、彼の体の輪郭をはっきりと感じ取ることができた。

藤沢修は若子を抱き上げ、浴室から出て行った。

水に浸かっていたせいで、若子はガタガタと震え、藤沢修の体にしがみついた。顔色の悪い彼女は、彼の胸に顔を押し付け、少しでも温もりを求めようとしていた。

藤沢修は若子を部屋に運び、ベッドに置くと、すぐに彼女の濡れた服を脱がせ、脇に投げ捨てた。すぐに、若子の体は何も隠されることなく彼の目の前にさらされた。

その白い肌を見つめながら、藤沢修の目は先ほどよりもさらに抑えきれない熱を帯びていった。喉を鳴らし、胸の中で燃え上がる灼熱感に彼の体全体が爆発しそうになっていた。

若子は怖くなって、急いで自分の体を毛布で包み込み、震えながら彼を見上げた。

長い間、こんなに近くで向き合うことはなかった。若子は焦って目を閉じた。

藤沢修は自分を一瞥すると、衣装部屋に向かい、しばらくしてからパジャマを着た状態で戻ってきた。

そして、若子にピンクのレースのガウンを投げ渡した。

物音を聞いて若子が振り返ると、そこにはピンクのレースのガウンがあった。それはとてもセクシーなデザインで、彼女は戸惑った。

「こんなもの…他に普通の寝巻きはないの?」若子は不満げに聞いた。こんな時に、こんな服を渡されるなんて、まさに油を注ぐようなものではないか。

「クローゼットにはそれしかない。着ないならそのままでいい」。修は言ったが、その言葉の裏には自分を抑え込むための強大な意志があった。

松本若子は言葉を失った。

全部こんな服なの?

彼女は疑問に思った。おばあちゃんの家にどうしてこんな服がある
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