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第132話

云若锦が電話を切った後、藤沢修は冷たい表情をしたまま、スマートフォンを脇に置き、病室のソファに腰を下ろした。

彼は医者に処方された薬を飲み、体内の熱を少し抑え、気分はかなり良くなっていた。

「修、どうしたの?顔色があまりよくないみたいだけど」桜井雅子は、あの電話が松本若子からだと感じ取っていた。

「何でもない。休んでくれ」

「修、戸籍謄本のことはどうなったの?まだ教えてくれてないじゃない。手に入れたの?」

今日はずっとそのことを待ち続けていた。修が病室に入ってきたとき、彼女はすぐに聞きたかったが、修はまだ何も言わなかった。

藤沢修は「取れなかった」と答えた。

その三言を言うとき、彼の表情にはほとんど感情がなかった。怒りも、失望も、後悔もなかった。

「何ですって?」桜井雅子はその言葉を聞いた瞬間、呼吸が乱れた。修が部屋に入ってきた時から何か違和感を感じていたが、それでも最後の希望を抱いていた。今、彼から直接「取れなかった」と聞いて、彼女は頭が真っ白になった。

「どうしてそんなことが起こったの?今日はもう計画してたんじゃないの?」

「取れなかったものは取れなかった。おばあちゃんが厳しく見ていたから、チャンスがなかった。とりあえず休んでくれ、また後で話そう」

修は少し疲れた様子だった。両方の女性が離婚を急かしている。

「あとどれだけの‘後で’があるの?」桜井雅子は涙をこぼし始めた。「修、私はあなたを長い間待ってきたのよ。あとどれだけ待たされるの?自分でも、私がそんなに長く生きられるかどうか分からないのに…」

雅子は言葉を詰まらせながら、胸を押さえ、息苦しそうに大きく息を吸い込んだ。

藤沢修はすぐにソファから立ち上がり、彼女のベッドのそばに行き、背中を優しくさすりながら心配そうに言った。「大丈夫か?」

「修…」桜井雅子は彼の腰にしがみつき、「私にあとどれだけ待てというの?本当にもうチャンスがないの?私は一生あなたの妻になれないの?教えてよ、教えて!」と泣き叫んだ。

藤沢修の顔は厳しく、松本若子の件でも、雅子の件でも、どちらにしても彼は何一つうまくできていなかった。彼女たちのどちらをも満足させることができず、どうすればいいのか分からなかった。

ビジネスの世界では、彼はいつも最適な決断を下すことができたが、こと恋愛に関しては、完全に失敗者のよう
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