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第131話

手が震える中、若子は鍵を回し、箱の蓋をそっと開けた。中にはさまざまな種類の証明書が入っており、色とりどりの書類が見える。

彼女は中を探してみたが、目当ての戸籍は見当たらなかった。

代わりに見つかったのは、祖母と祖父の結婚証明書だった。それは長い年月を経て、色あせてしまっている。

結婚証明書に貼られた写真は白黒で、そこには若々しい二人が写っていた。

祖父は凛々しく、祖母は美しい。その笑顔は幸せそのもので、二人が心から愛し合っていたことが一目でわかる。

藤沢家の遺伝は素晴らしいものだった。

だが、時は無情にも過ぎ去り、今では祖母一人が残っているだけ。すべての美しい思い出は、この箱の中に閉じ込められている。だからこそ、祖母はそれをしっかりと鍵をかけて守っていたのだろう。

自分と藤沢修との間には、そんな美しい思い出など残らない。

たった一年の結婚生活はあまりにも短く、思い出すだけで苦しみが蘇るだけだ。

松本若子は気を取り直し、再び戸籍謄本を探したが、

結局見つからなかった。

おばあちゃんは戸籍謄本をここに入れていなかったのだ。

じゃあ、戸籍謄本はどこにあるのだろう?

おばあちゃんの部屋では見つからなかった。まさか、執事が保管しているのだろうか?

焦りが募り、今までの計画が無駄だったことに気づいて、松本若子はため息をついた。

これでは、修との離婚はできそうにない。

戸籍謄本が見つからなかったため、彼女は箱の中の物を元に戻し、再び鍵をかけた。

そして、おばあちゃんの部屋に戻り、箱を元の場所にそっと置いた。

真夜中、彼女はこっそりと鍵を持ち、執事の仕事部屋へ行き、鍵を元の場所に戻した。

彼女が部屋に戻ってきた頃には、額には汗が滲んでいた。

修は、桜井雅子の元で楽しんでいるに違いない。離婚を言い出したのは彼なのに、手続きはすべて彼女に押し付けているなんて、あまりにもひどい話だ。

この男は本当にひどすぎる。どうして桜井雅子のところで楽しんでいられるの?しかも、明日になっても私たちは離婚できないっていうのに、彼は不倫しているに違いない!

松本若子は考えれば考えるほど、怒りがこみ上げてきた。

彼女はスマートフォンを手に取り、修に電話をかけた。

しばらくの間、数十秒ほど待ってから、ようやく電話が繋がった。「もしもし」

「修、今どこにいるの?
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