第006話

怒りで血が逆流し、私は手を伸ばし、彼を正気に戻そうとした。

しかし、屈辱のあまり全身が震えていた。

石田語は私の手を力強く掴み、頭の上に押さえつけた。

彼の荒々しいキスが私の口をこじ開け、私は必死に彼の肩を押し返した。唇を噛み破っても、彼は私を解放しようとしなかった。

タバコの匂いと血の味が混じり、私は目眩を感じ、息が詰まりそうだった。

私は目を閉じ、もはや抵抗する力が残っていなかった。ただ、涙が絶え間なく目尻から溢れ出してきた。

しかし、母の視点から見ると、それは私が彼に対して「欲している」ように見えたらしい。

母は突然、勢いよく起き上がり、二歩ほどでこちらに駆け寄ると、石田語を力任せに引き離した。

私がやっと座り直すと、母は全力で私に平手打ちを食らわせた。

「木村悠！あんた何してんの？

よく見なさい！彼が誰か分かってる？彼はあなたのお父さんを殺した石田語なのよ！」

母の声は震えていた。

私はひどく動揺し、震える手を無理やり抑え、頭の中には母をこれ以上刺激させてはならないという一念だけがあった。

母に手を伸ばして引き寄せようとしたが、彼女はそれを避けた。

「お母さん、違うんだ、あなたが思っているようなことじゃない」

空気は、息が詰まるような静寂に包まれていた。

石田語は舌で頬を押し、漆黒の瞳で私をじっと見つめた。

「悠ちゃん、俺たちのこと、まだお母さんに言ってないのか？

お母さん、俺たちはずっと一緒にいるんです。お宅の優秀なお嬢さんは、央都中で俺に夢中だって皆言っていますよ」

「もういい！」

私は石田語を厳しく制止した。

母はそれを聞くと、感情が急に崩壊し、後ずさりして壁に寄りかかりながら泣き崩れた。

「お母さん……」

私は恐ろしくなり、彼女に駆け寄って支えたかった。

説明したくて仕方がなかったが、母は目を真っ赤にして叫んだ。

「来るな！ こっちに来たら、すぐに飛び降りるから！」

喉が詰まり、目には涙が溢れ、私は一歩も動けなくなり、足がその場で止まってしまった。

母のすぐそばには開け放たれた窓があった。

彼女の様子を見て、何かが崩れ落ちそうな気がした。

突然、母は自分の頬を強く叩いた。

「あなた、私が娘をちゃんと育てられなかったんだ。全部私のせいだ！

娘が今、石田語とこんなことになってしまって、私はどん