第007話

医者が私を止めた。

「彼女を押さえて！もう一度注射しろ！」

……

私は鎮静剤を打たれて、再び意識を失う前に石田語を見た。

彼の目には一片の悔恨もなく、むしろ私に向かって笑っていた。

彼の喉から軽蔑の笑い声が漏れ、その目つきも非常に陰湿に変わった。

「喜ぶべきだよ、君の賄賂をして法を曲げた父親がついに仲間ができたんだから。

お母さんを安らかに眠らせたいなら、死に物狂いにならずに済むようにしろ！」

葬儀場で、私は何度も医者から手渡された、母の遺品を見つめていた。 彼女の手帳。最後のページには、彼女がこう書いていた。

「親愛なる悠ちゃんへ、私を許してください。

もしお母さんが最後まで持ちこたえられなかったら、悲しまないでください。お母さんはあなたから離れたわけではなく、ただ別の世界であなたと一緒にいるだけです。

悠ちゃん、お母さんがあなたを困らせることがなければ、あなたはもっと良い生活ができるでしょう……」

一文字一文字が、まるで刃物のように心の奥深くに突き刺さった。

日記の落款は、石田語が私を訪ねる前のものであった。

つまり、母はすでにそのことを知っていたのだ。

私はしゃがみ込み、声をあげて泣いた。

その時、目の前に皮靴が現れた。

私は声を絞り出して言った。

「母が死んだ！

これで満足？」

私は目を真っ赤にして彼を睨んだ。

「なぜ死ぬのがあなたじゃないの？」

石田語は喉仏を動かし、軽蔑の笑みを浮かべた。

「今感じているすべては、私がとっくに経験したことだ」

これは報いだ、すべてが報いだ！」

私は拳を固く握りしめ、彼に向かって立ち上がろうとした。

その時、誰かが駆け寄ってきた。

桜幸、私の親友だ。

彼女は私を抱きしめ、涙が私の首元を濡らした。

「石田語、お前は本当にクソ野郎！一体何をしたいんだ？

彼女がなぜ生きているかわかるか？それは母のためだ！

五年前、お前が彼女の父を死に追いやった時、彼女は死ぬべきだったんだ。彼女は自分が狼を家に引き入れたせいで父を死なせたと恨んでいる！

彼女が睡眠薬を飲んだとき、お母さんは地面にひざまずいて彼女に頼み込んだ。生きていてほしいと！彼女を一人にしないでほしいと！

彼女のお母さんが生きている限り、彼女も生きる。これまで、お前がどれだけ彼女を虐げ、外でどんな噂を流そうと、彼女は