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第5話

完全に混乱した義母が、契約書を奪おうとしたので、私は急いで横に避けた。

「お母さん、何してるんですか?まだこんなに人がいるんですよ。まさか契約書を破るつもりじゃないでしょうね?」

義母は憤然とした目つきで私を一瞥し、ようやく引き下がった。

それを見て、その女は黙っていなかった。

その女は借用書を振りかざし、鼻を高くして私に言い放った。「あんたが返さないなら、誰が返します?旦那さんが1.2億円くれるって約束したんですから!」

私は義母を指さして、「こちらは旦那が一番大事にしているお母さんだから、もちろんお母さんが返すべきでしょう?」と答えた。

そして、その女は義母をじっと見つめ、何かを考えているようだった。

義母は慌てて三歩後退し、「ちょっと待ってよ、どういうこと?まさか私にお金を返せって言ってるの?私、あんたに何か悪いことでもした?」と言った。

その女は鼻で笑いながら、「あんたが1.2億円くれるって約束したんですからね。それをくれなきゃ、孫なんて会えませんわよ!」と言い返した。

その時、その女は私をちらりと見て、まるで子供を授かったことで、私に勝ったかのような顔をしていた。しかし、私はそんな彼女を相手にするつもりはなかった。

他の人たちは、この事態を簡単には受け入れられなかった。特に、八十歳を超えた祖父は。

その孫が突然亡くなり、借金を残して、その後始末を孫嫁に押し付けた上に浮気まで発覚したのだから、名声を重んじる祖父は耐えきれず、杖を地面に叩きつけて言った。

「葬儀がこんなに台無しになるなんて、縁起が悪い。帰るぞ!」

祖父は周りの人に支えられて立ち去った。ここには私たち三人だけが残った。

祖父を止めようとした義母は、その女に腕を引き戻された。

「逃げないでよ!1.2億円、いつくれますよ?」

私はその場を離れず、彼女たちの言い争いを傍観していた。

その女は義母をしっかりと掴み、お金を返さなければすぐにでも手を出しそうな勢いだった。

義母は私を睨みつけながら、穏やかにその女をなだめた。

「宝物のような孫を産んでくれたんだからね。これから、うちの財産は全部あなたのものよ。六年もたっても、子供を産めない役立たずとは違うんだから、一銭も彼女に渡さなくていいわよ」

私は義母が皮肉を言っているのが私のことだとすぐに分かったが、特に気にしな
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