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第10話

私は首を振った。

「もうやめたよ」

「私みたいな病んだ人間は警察に向いてないよ。下手すれば、次の瞬間には人を殺してしまうかもしれない」

「パパの友達が言った通りだった。私の人生はまだ始まったばかりだ」

「ちゃんとした人間になりたい。そうすればパパもあの世で心配しなくて済む」

鼻が少しツンとするのを感じながら、私は遠くを見つめた。

もしかしたら、本当に前を向くべきなのかもしれない。

夕陽の下で、私と理一郎の影は長く伸びていた。

しばらくして、私は微笑んだ。

私はまだ18歳。人生はまだ始まったばかり。

パパ、信じて。

私は素晴らしい人になってみせるから。

20、番外

これは、この1ヶ月の間に私とパパが数え切れないほど喧嘩したうちの一つだった。

パパが警察になってからというもの、放課後に迎えに来るのをよく忘れるようになった。

何度か、学校で眠りそうになったところをようやく迎えに来てくれたこともあった。

この日は私の誕生日だったのに、私は一晩中待たされた。

そして、やっと現れたパパは知らない女の子を連れていた。

「遅れて悪かった、絵梨」

「これは誕生日ケーキだ。家に帰って一緒に食べようか?」

パパは手に持ったケーキを私の前で揺らした。

私はパパの横にいるその女の子を睨み、彼女を強く押した。

「私の誕生日に、なんで他の子を連れてくるの!」

彼女が姉で、名前は白方麗。

今事件の手助けとして、パパは彼女を守っているのだと説明した。

私は自分より年上の麗を見つめ、不機嫌そうに睨みつけたが、最後にはパパについて家に帰った。

後に知ったのは、麗が富豪の家に戻されたお嬢様であり、彼女に実験が施されていたということだった。

それから、私は徐々に麗の存在を受け入れるようになった。

彼女は優しく、私が分からない問題も丁寧に教えてくれた。

でも、彼女の目にはいつも淡い悲しみが漂っていた。

ある日、大雨が降った日、私は高熱で苦しんでいた。

パパにそばにいて欲しいとお願いしたけど。

「麗が今ピンチで、パパは彼女を守りに行かなければならない」と言われた。

「私の方が本当の娘なのに!」

「なんでいつも彼女のために私を置いてくの?ママはもういないよ。今度は私を見捨てて他の子のパパになるつもりなの?」

私の言葉に、パパは一瞬足を止めた。

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