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第239話 いくら出せばいい?

 塚原悟の説明を聞いて、入江紀美子は少し安心した。

彼女は頷いて、「それならいい、でないとあなたの誕生日になったら、何を送ればいいか迷っちゃうわ」と言った。

「まだそんなよそよそしいことを言うんだ」悟の眼底に一抹の無力さが浮かんだ。

紀美子は慌てて説明した。「違う、あなたのプレゼントが高すぎたのよ」

「はいはい、冗談だよ。俺は後で病院に行かなければならないから、夜また来る」

「分かったわ」

昼頃。

紀美子は手元の仕事を片付けたら、杉浦佳世子が電話をかけてきた。

「紀美子!お誕生日おめでとう!」電話の向こうから佳世子のはしゃいだ声が聞こえてきた。

紀美子は笑って返事した。「ありがとう!」

佳世子「いいって!夜は何も準備しなくていいから、私はレストランで個室を予約して誕生日を祝ってあげる」

紀美子「ただの誕生日だから、そんなに大袈裟にしなくても」

「ダメダメ!」佳世子「これはあなたが帰国してから初めての誕生日だから、大々的に祝わなきゃ!」

紀美子「……」

状況が分からない人ならてっきり還暦の祝いだと思われるだろう。

「じゃあこうしよう、あなたの誕生日を借りて豪華に奢ってもらう」そこまで言われた紀美子は、遠慮せずに受け止めた。

佳世子「じゃあ、また夜ね!後でレストランの住所を送るから」

電話を切った後。

佳世子は少し考えてから田中晴にメッセージを送った。「坊ちゃま、今どこ?」

MK社で森川晋太郎を待って一緒にご飯を食べようとした晴は、「MK社だよ、何かご指示でも?」

佳世子「ちょうどいい!後でデパートに連れてって」

晴「要件を言えよ!何をする?」

「今日は紀美子の誕生日、私はプレゼントとケーキを買いに行きたいけど、脚がないの!あなたはこの間、いつでも呼んでって言ってたじゃない?」

佳世子は少しイラついてきた。

このダメ男、女より質問がしつこい!

メッセージを読んだ晴は戸惑った。

今日は紀美子の誕生日だった?

晋太郎はこのことを知っているだろうな?

晴は晋太郎を試すことにした。

彼は携帯を置き、のんびりそうにお茶を一口飲んで口を開いた。「晋太郎さん、今日は何か用事ないのか?」

晋太郎は晴を一目睨んで、「言いたいことがあるならはっきり言え」と言った。

彼は覚えていない!晴は口元の笑みを押さえた。

晴「そうか、今日
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