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第240話 違うと思います

 その会話のせいで、森川晋太郎は田中晴にデパートに連れられ、そして何も知らなかった杉浦佳世子も一緒に行った。

晴の理由は極めて簡単、「女は一番女のことが分かる!」

それは晋太郎が断れない理由だった。

佳世子は辛うじてボディガードたちの視線の中で歩いていて、道中はずっと晴を見つめていた。

そして、彼女は一番前に歩いていたすらっとしたスタイリッシュなボスを見て、声を低めて歯ぎしりしながら聞いた。

「何でボスを呼んできたのよ!!」

後ろの話を聞いて、晋太郎は止って振り向いて見た。

佳世子は一瞬で満面の笑みに変わり、「社長、どうかなさいましたか?」と伺った。

晴「……」

顔を変えるのがうまいな!

晋太郎は唇を閉じ、何も言わずに視線を戻して周りを見渡った。

佳世子は隙を見て思い切り晴の尻を手で摘まんだ。

晴は痛みで思わず大きく口を開いて、「なにすんだよ?!」と悲鳴をあげた。

佳世子「教えて、何で社長を呼んできたの!紀美子は社長と息が合わないのを知ってるでしょ?」

晴「彼は自ら来ようとしたから、俺は友達として断る理由がなかった」

佳世子は困った顔で、「じゃあボスは夜の紀美子の誕生日祝いに来るの?」と聞いた。

「連れて行かないわけがないだろう?」晴は眉を立てて聞き返した。

佳世子「もう知らないんだから!!」

二人が会話していた間、晋太郎はアクセサリー屋の前で止った。

「彼女はこれが好きか?」晋太郎は佳世子に聞いた。

「ダメだと思います」佳世子は首を振って答えた。

そしてすぐ、晋太郎はまたぜいたく品のかばん屋の前で止り、「これならどう?」と尋ねた。

「それも違うと思います」

そして、晋太郎はブランド品の時計屋の前で止まり、「これ??」と尋ねた。

「それもです!」佳世子はまた首を振った。

晋太郎の顔が曇ってきて、冷たい声で聞いた。「ならば彼女は何が好きなんだ??」

晴は二人の会話を聞いて慌てて口を開いた。「紀美子は腕時計をつけてるだろう?晋太郎さん、店に入ってみたらどう?」

二人の男が時計屋に入ったのを見て、佳世子は一言だけ言いたかった。

社長が送るもの、紀美ちゃんはどれも気に入らないよ!

聞いても無駄でしょう??

しかし言い換えれば、彼女は社長がデパートに入るのは初めて見た。

もし二人が仲良しだったら、紀美子はきっと感動し
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