第22話

唐沢桜子が喜ぶ姿を見ると、江本辰也も一緒に喜びを感じた。

「辰也、帰れるわ、帰れるの！」

唐沢桜子は、まるで罰を受けた小さな女の子が家族の許しを得たように、何度も歓声を上げた。

江本辰也は何も言わず、ただ彼女をしっかりと抱きしめていた。

唐沢翔は唐沢桜子の位置を知ると、車を運転して影霧町に向かった。

同行者として唐沢家の多くの人々も一緒だった。唐沢翔の息子である唐沢修司、修司の妻である唐沢直美、そして唐沢翔の娘である唐沢麻衣も同乗していた。

唐沢翔は永光の社長を長年務めており、彼の運転する車は高級な7シリーズのBMWで、価値は一千万円に及ぶ。

車の中で、唐沢修司は不満を漏らした。「祖父は一体何を考えているんだ？どうして唐沢桜子を家に帰すんだ？父さん、桜子が帰ってきたら、あなたの社長の地位が必ず譲られることになる。桜子を家に帰すわけにはいかないよ」

彼の妻である唐沢直美も続けて言った。「そうよ、どうして桜子が社長になれるの？彼女が社長になったら、私たちが会社で利益を上げることも難しくなるわ。桜子がどうやって明和の社長と知り合ったのかもわからないし」

唐沢麻衣が口を挟んだ。「外では、桜子が川島隆の愛人だという噂が広まっているわ」

唐沢翔は皆の話を遮り、「いい加減にしろ、皆、少し静かにして。まず桜子を迎えに行こう。明和を安定させてから考えよう。これは20億の注文で、完成すれば4億の利益が見込めるんだ！」

すぐに車は人間診療所の前に到着した。

一行は車を降りた。

唐沢桜子は唐沢翔が自ら迎えに来てくれたことを知り、非常に喜んで早くから外で待っていた。

唐沢翔の車を見ると、彼女は興奮して江本辰也の手を引き、「本当におじさんだわ、辰也、帰れるのよ！」と叫んだ。

「うん、帰れるよ。」江本辰也は微笑みながら、桜子が喜んでいるのを見ると、自分も嬉しく感じた。

唐沢翔は車から降り、輝く笑顔で言った。「桜子、おじさんが迎えに来たよ」

唐沢桜子を見た唐沢家の他の人々は、皆厳しい顔をしていた。唐沢桜子が原因で唐沢家は破滅しかけたが、幸いにも天が助けてくれたおかげで、唐沢家はなんとか持ちこたえたのだ。

唐沢修司は高慢に言った。「唐沢桜子、父さんが君を家に戻すために、祖父にたくさんの良いことを言ったんだ。早く父さんに膝をつきなさい」

「ありがとうございます、