第27話

吉兆料亭は星野市でかなり有名なレストランで、星野市で最も豪華な食事処の一つだ。

いくつかのランクに分かれており、上から順にダイヤモンドルーム、ゴールドルーム、シルバールーム、ブロンズルーム、ブラックアイアンルーム、そして一般のホールがある。

たとえホールで食事をするだけでも、数万から数十万円はかかる。

今はちょうど食事時で、ホールはすでに満席で、食事をするには並ぶ必要があり、すでに30人以上が待っている。

これを見た唐沢梅は不満をこぼす。

「唐沢武、本当にだらしないわね。唐沢翔はこの吉兆料亭のブロンズメンバーだから、食事をするのに待たずにすぐに個室に行けるのよ」

「それに、あなたは軍人で金もないし、権力もない。唐沢真家の婿を見てみなさい。彼は顔が広くて、この吉兆料亭のシルバーメンバーなのよ。電話で、店員が直々に迎えに出てくるの。どうして私の娘がこんな貧乏人と結婚しちゃったのかしら」

食事を待つのが嫌で、唐沢梅の気分は台無しだ。

唐沢武の不甲斐なさを責め立てるだけでなく、唐沢桜子が役立たずの夫と結婚したことも非難した。

江本辰也は唐沢梅の冷たい皮肉に慣れていて、あまり気にしないことにしていた。

順番を待っている間に、江本辰也は唐沢桜子に「桜子、ちょっと待ってて。向かいのスーパーにタバコを買いに行ってくる」と言った。

「うん」と唐沢桜子は頷いた。

江本辰也はスーパーに向かった。

そのとき、吉兆料亭の入口のベンチに座って順番を待っていた唐沢家の人々に向かって、皮肉混じりの声が響いた。

「まあ、これは唐沢桜子じゃないの。どうしたの、その顔？」

唐沢桜子が声の方をを見ると、派手な服を着て、顔に厚くファンデーションを塗った女性がバッグを提げて近づいてきた。

「黒木静……」唐沢桜子はすぐにその女性が誰かを思い出しました。彼女は大学時代の同級生で、黒木家に生まれ、大学時代にはいちばん美しい女子学生として多くの男子学生に追いかけられていた。

一方で、唐沢桜子は大学時代、最も醜いと言われていた。

黒木静は唐沢桜子をじっと見つめた。

最近、唐沢桜子は星野市で非常に有名になっていた。顔が元に戻っただけでなく、明和の社長である川島隆とも親しくなり、さらに唐沢桜子が白石家の白石哲也に顔を傷つけられたという噂も広まっていた。

唐沢桜子は顔の回復後、ニュース