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第34話

物事の展開があまりに速すぎて、さっきまで威張っていた田村千代子と橘拓海たちは、一瞬で追い出されてしまった。

田村千代子は諦めず、橘拓海の腕を引っ張りながら言った。「拓海、あなたは橘家の人じゃないの?会員カードを持ってるでしょ、早く出しなさいよ」

橘拓海は渋々歩み寄り、シルバー会員カードを取り出して言った。「清水さん、私は『吉兆料亭』のシルバー会員です。これまで何千万円も使いましたが……」

「叩け」

清水颯真はちょうど唐沢桜子を招待している最中だったが、橘拓海が近づいてきたのを見て、瞬間的に怒り、大声で怒鳴った。

数人の警備員が凶悪な面構えでやってきて、橘拓海を殴る蹴るの暴行を加えた。彼は地面に倒れ込み、苦しそうに許しを乞う声を上げた。「やめて、やめてくれ……」

「ハハハ」唐沢梅はこの光景を見て、怒りがすっかり晴れた。

彼女は胸を張り、得意げにしていた。

「結局、この連中はただのハッタリだったのね。やっぱり唐沢家の方が本物の力を持ってる」

「本当にそうだわ。唐沢桜子と川島隆の関係はただ者じゃないし、今では吉兆料亭のダイヤモンドルームを予約して、オーナー自らが迎えに来たのよ」

周りから再び囁き声が聞こえてきた。

しかし、唐沢桜子は何が起こっているのか理解できず、茫然としていた。

「唐沢桜子さん、叔母様、叔父様、どうぞお入りください」清水颯真は再び招待の言葉を発した。

「いらっしゃいませ」レストランの入り口に立っていた二列の従業員たちが再び声を上げ、次いで地面に跪いた。

彼らは全員、和服を着た美人たちで、どれも絶世の美貌を持つが、今は全員が跪いている。これには入り口にいた人々も呆然とするしかなかった。

「これがダイヤモンド会員の待遇なのか?」

「こんなに素晴らしいのか……これだけの美人たちが跪いてるなんて、見てるだけで心が痛むよ」

羨望や嫉妬の視線が飛び交った。

唐沢梅はついに鼻高々になった。

唐沢悠真も誇らしげに背筋を伸ばした。

唐沢美羽は唐沢悠真の腕に抱きつき、小さな唇を誇らしげに突き出していた。

この瞬間、彼らは自分たちが非常に威風堂々としているように感じた。

一方で、唐沢桜子はまだ混乱した表情で、清水颯真をまったく知らないようだった。

「唐沢桜子さん、どうぞお入りください」

「いらっしゃいませ」

跪いている従業員た
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