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第8話

私が式場を漂っていくと、彼らが予約したホテルが、私たちが結婚式を挙げた場所と同じだと気づいた。

川輝のやることは理解しがたいが、もう気にすることもないだろう。私は、もうすぐこの世を去るのだと感じていた。

私は式場中を浮遊し、料理まで私たちの結婚式と同じメニューが並んでいるのを発見した。

なんとも奇妙で自分勝手な人だ。

川輝は私たちの結婚式で着たスーツを身にまとい、式場の中央にまっすぐ立っていた。楽奈は、彼女に合わないウェディングドレスを窮屈そうに着て、彼にぴったりと寄り添っていた。

司会者が何度も式を早く始めるよう促していたが、川輝は全く動こうとしなかった。

楽奈は焦りから泣きそうになり、こっそりと川輝の袖を引っ張った。

「川輝、早く始めましょうよ。みんな待ってるのよ」

川輝は彼女の髪を整え、小声で言った。

「焦らないで、もうすぐ始まるよ」

二人が愛し合う様子を見て、私は興味を失い、義母のテーブルへと漂っていった。料理の匂いも悪くはない。

その時、スピーカーから突然、川輝の声が響いた。会場の人々は式が始まらないことを不審に思っていたところだった。

「お義母さん、楽奈が言っていた通り、胎盤を食べて元気になったって話ですね。僕、まだ一つ用意してありますよ」

「ああ、もう治ったから大丈夫よ」

それに続いて、楽奈の母親の声が聞こえた。

私は身震いし、抑えきれない怒りが再び胸に湧き上がった。

川輝、彼は一体何をしようとしているんだ?なぜ私たちの子供をこれ以上もてあそぶのか?次の犠牲者まで作るつもりか!

「ねぇ、お義母さん、楽奈は未成形の胎児じゃないと治らないって言ってたけど、どうして今は胎盤になったんだ?」

楽奈の母親は指名されると、慌てふためいて楽奈に助けを求めるように視線を送った。

「彼女を見るなよ、俺に答えろ!」

「川輝、式を終わらせてからにしましょう。頼むから」

楽奈の顔にも動揺が広がり、彼女の冷酷な一面はどこにも見当たらなかった。

「式?俺と安紀子の結婚式は8年前に終わってるんだ!

楽奈、お前はあの遺体が安紀子だと知っていたんだろう?」

川輝の問いに、楽奈は慌てふためいた。

「川輝、師匠、私は知らなかった。本当に知らなかったんです」

川輝は楽奈の手を振り払い、彼女の首を締め上げ、憤怒のまなざしを向けた。

「じゃあ
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