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第9話

楽奈の言葉に、場内の客たちは息を呑み、大半が慌てて会場を後にした。

「バシッ!」

楽奈の発言に怒りが頂点に達した川輝は、彼女に平手打ちを浴びせた。

楽奈は頬を押さえ、信じられないといった表情で川輝を見つめた。

「今さらそんなに深情けぶって、誰に見せてるの?

私だけで浮気できたとでも?あの子をお前が自ら切り取ったんじゃないか?川輝、あんた本当に男じゃないわ!」

川輝は楽奈の言葉に答えず、彼女の手を強く引っ張り、エレベーターへと向かった。

「離してよ!」

楽奈がどれだけ抵抗しても、川輝は彼女を離さなかった。

二人はついに屋上にたどり着いた。

「川輝、何をするつもり?」

楽奈は川輝の異常な様子に気づき、後ずさりしようとしたが、川輝はすでに屋上の扉に鍵をかけていた。

「そうだな、俺たち二人の罪をここで償おうじゃないか。安紀子と彼女の腹の中の子供に」

川輝はそう言うと、楽奈を抱えてそのまま飛び降りた。34階からの落下で、楽奈の遺体は跡形もなく砕け散った。

私は彼らが飛び降りるのを見届け、その後、楽奈の魂が少しずつ消えていくのを見守っていた。

彼女は運が良かった。これほど多くの悪事を働きながら、一瞬でその罰を逃れるなんて。

川輝もまた運が良かった。28階でビル清掃員の足場に引っかかり、一命を取り留めたのだ。しかし、彼はもはや人として生きることはできず、植物人間となった。

私は彼の魂が、自分の体の周りをさまよい、戻ることができないのを見つめていた。

やがて私が彼の前に現れると、川輝は初めて自分が体に戻れないことに気づいた。

「安紀子、君なのか?俺を迎えに来てくれたのか?」

私は川輝の問いに答えず、無表情で彼を見つめ続けた。

「安紀子、君が残してくれたサプライズ、見たよ。本当に感動した。ありがとう」

焦ったように、川輝は私をつかもうと手を伸ばしたが、彼は自分の体から離れることができず、数歩進むこともできなかった。

「安紀子、まだ許してくれないのか?俺は楽奈を連れて行ったんだぞ」

私は、まだ反省していない川輝に首を振った。

「でも、すべての元凶は君じゃないの?

君が楽奈に手を出さなければ、私が死ぬことも、あの子が死体も残さず殺されることもなかったんだ!」

川輝は、私に手を伸ばすのをやめ、悲しそうな目で私を見つめた。

「安紀子、ど
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