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第5話

川輝が胎児を取り出した後、彼は楽奈を家まで送り届けた。

「師匠、温かいお水です」

楽奈が差し出す温水を見て、川輝は彼女の鼻を軽くつまんで笑った。

「言ったこと、ちゃんと覚えていたんだな」

そうか、ここも彼の家なのか。ふん、どこでもあの温かい水を飲めるわけだ。

川輝は水を飲み終えると、何かを思い出したかのように急ぎ足で立ち去った。楽奈が止めるのも聞かず、出て行ってしまった。

川輝が去った後、楽奈は私の子供をゴミ箱に投げ捨てた。

「ふん、お前の母親は生きている時は私に勝てず、死んでからもお前を守れなかったわけね」

私はゴミ箱に捨てられた子供を見つめ、何度も抱きしめようとした。

だが、手は何度もすり抜け、どうしても彼女に触れることができなかった。

「ごめんね、お母さんが役に立たなかったね。来世はもっといいお腹に生まれておいで」

私は子供のそばで泣き崩れた。死んでもなお、悲しみは消えないのだ。

楽奈は悠然とソファに座り、電話をかけ始めた。

「お母さん、もし川輝があなたの病気について聞いてきたら、彼の薬で良くなったって言ってね」

その言葉に私は驚愕した。彼女の母親には、そもそも未成形の胎児なんて必要なかったのだ。

楽奈、なんて恐ろしい......川輝のために、まだ生まれていない命をこんな風に利用するなんて。

彼女は疲れないのだろうか? 私たちの前では愛らしい笑顔を見せて、裏ではこんなに残酷なことをするなんて......

「安紀子さん、本当に優しいですね。まるで姉のように感じます。

これからはお姉さんって呼んでもいいですか?でも、師匠が反対しそうですね。

師匠と安紀子さんがずっと幸せでありますように」

どうして、あんなに明るくて無邪気な楽奈の中に、こんなにも恐ろしい悪魔が住んでいるのか理解できない。

私は川輝の元を長く離れてはいられないようだ。楽奈の計略を理解する前に、また彼の元に戻ってしまった。

川輝が家に帰ってきたとき、ようやく私のことを思い出したのか、彼は私にメッセージを送り始めた。

「お前、一体何の怒りをぶつけてるんだ?

そんなにわがまま言うなよ、俺は本当に疲れてるんだ。

もう少し分別を持ってくれ。今日は妊婦の遺体を整理してたんだ。その子はまだ成形したばかりだったんだ......俺の心が沈んでるんだよ」

ただ心が沈んで
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