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第6話

車の運転ができるようになったのは、全て陽太のためだった。

働き盛りの時は運転手がいたが、退職後は私に免許を取らせて、どこへ行くのも私が運転しなければならなかった。

奈緒を連れてまずスーパーでたくさんの食材を買い、その後ショッピングモールで新しい服もたくさん購入した。

「こんな派手な服、着て出られるかな?」

奈緒は内心喜んでいるはずなのに、口では不安そうに言った。

私は彼女の肩を押さえた。

「年を取っても、心は若くいなきゃダメよ。誰だって旅行に行くと写真を撮ってSNSにアップするもの。今回は思いっきり楽しもう!」

私は言葉通り行動した。

出発後、一つの観光地に着くたび、私は自撮り棒をセットして、奈緒と華やかな写真を撮った。

写真の中の二人の婆さんは笑顔が満開で、額のしわさえも緩んでいた。

道中、私たちと同じ目的地を目指している若い三人組がいた。

彼らは私の赤いオープンカーの周りをぐるっと回り、驚いた声を上げた。

「おばあさん、あなたがオープンカーを運転する姿、本当にカッコいいね!失礼だが、おいくつ?」

私は謎めいた表情で指を立て、「68歳だ、すごいでしょう?」

「すごいね!絶対にいいね押すよ!」

彼らの笑顔は本物だった。

私が彼らに自分が作った旅行ガイドを分けると、彼らは次々と褒めてくれた。

私は少しぼんやりとした。

昔は私が何かをするたび、陽太は「バカだ」と言っていた。うまくやって見せても、彼は全く気に留めなかった。

誰も私を褒めたことがなかった。

奈緒も同じだった。

彼女は褒められて顔が赤くなり、病気の症状も少し良くなったようだった。

海までの旅の間、私たちはいつも若い三人組と一緒にいた。

彼らは私に写真編集の方法を教え、ケンタッキーとマクドナルドに連れて行ってくれ、ビデオ撮影のポーズも教えてくれた。

二日間の旅を経て、私たちはついに海に到着した。

それは晴れた午後のことで、波の音が聞こえ、深い広い海が目の前に広がっていた。

若い三人組は海に入り、笑いながら遊んでいた。

私も奈緒を連れて一緒に泳ごうと思ったが、振り返ると彼女は海を見つめながら涙を流していた。

「春奈、私たちは今までどんな人生を送ってきたの?世界はこんなに美しいのに、私たちは気づかなかったなんて」

私は彼女を慰める間もなかった。突然、彼女が地
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