離婚から六年後、元夫と息子が私を家に呼ぶ
桜井真斗
結婚七周年の記念日、夫の初恋の相手が息子に猫をプレゼントしてきた。
私は猫アレルギーで全身に発疹が出て、さらには流産の兆候まで現れた。息子に猫を返すように言ったが、五歳の伊藤安平は泣きながら私を突き飛ばし、「やだ!ママなんていらない!鈴おばさんがママになって!」と叫んだ。
伊藤期久は冷たい目で私を睨み、「アレルギーが急に出るわけないだろ。美鈴ちゃんが猫をくれた途端に出たって?嫉妬して息子の気持ちを無視するなんて、そんな女見たことない」と言い放ち、息子を抱きかかえて猫を連れて薫原美鈴の元へ向かった。
私はその場に倒れたまま下着が血に染まっていくのを見つめそのまま二人目の子を失った。
病院で痛みに耐えている間夫と息子は美鈴と一緒に旅行を楽しみ、本物の家族のようだった。
その時美鈴からメッセージが届いた。「期久が私を好きな理由、知ってる?でも、どうしてあなたと結婚したか分かる?私は子どもを産むリスクを冒したくなかったの。でも、息子と娘は欲しかったのよ。残念、あなた流産しちゃったみたいね」
その瞬間、私の心は絶望で押し潰された。
弁護士に離婚を依頼し飛行機で実家に帰った。
もう二度とあの親子には会いたくないと心から願っていた。
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