君に染まる瞳
私は綾小路 (あやのこうじ)悠 (ゆう)と結婚して五年になった。
周りの人々の目には、私は彼を深く愛しているように映っていた。
投資し、支援し、協力し、揺るぎない姿勢で彼の傍らに立ち続けてきた。
彼をビジネス界の新星に育て上げたのだった。
彼もまた、私が彼を愛していると思っていた。
私を見るときはいつも目に愛情をたたえているが、その裏で堂々と愛人を囲っていた。
彼はその女にこう言った。
「彼女のことが本当に嫌なんだ」
私はそれを見て見ぬふりをしていた。
ただ、その馴染みのある顔がスポットライトの下で堂々と輝く様子を見つめていた。
もしあの人がまだ生きていたら―
きっと彼もこんなふうに目立つ存在だっただろう。
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