モールの中を二人で回る。なんて不思議な感覚だ。 まるで、本物の恋人同士みたいだ。 せっかくだから何をみようかと探していると、櫻井課長が何かを見つけたようだ。 何を見ているのだろうか? 目線の先をたどってみると、スポーツ用品店だった。 なるほど。課長トレーニングが趣味だから興味があるのだろう。「せっかくだからスポーツ用品店でも見ませんか?」「えっ? いや……でも君は、つまらないだろ?」「いえ、どんな商品があるか興味がありますし、平気です」 亜季から誘ってみる。櫻井課長が、どんな商品が好みなのか気になったからだ。 櫻井課長少し遠慮気味だったが、ならと恥ずかしそうに承諾してくれた。 二人でスポーツ用品店の中を見て回ると、櫻井課長は興味津々な感じで新商品の物をチェックし始める。「これは、また新しい商品だな。こっちは、どんな機能が?」 その姿を見ていて、思わず笑みがこぼれる亜季だった。 まるで少年のようだ! 櫻井課長は店員を呼び止めて、新しい商品のことを詳しく聞き始める。 聞き終わると、ハッと気づいたのか亜季を見る櫻井課長。「あ、すまない。つい夢中で……退屈だっただろ?」「フフッ……いえ。意外な一面が見れて楽しかったです」 それは、本当のことだ。新たな櫻井課長の一面を発見する。 スポーツ商品のことになると夢中になる。 そして夢中になる姿は、少年のようで可愛らしい。「そうか? どうも、こういうところに行くと、つい夢中になって周りが見えなくなってしまう。申し訳がない」「フフッ……よく来られるのですか?」「まぁな。新商品が出ると必ずチェックしている。集めるのも好きで」 それは、また興味がある内容だ。 どんな道具があるのだろうか? もっと、もっと櫻井課長のことが知りたい。亜季はそう思った。「その話、もっと聞いてみたいです!」「そうか? あまり面白いものでもないぞ? あ、そろそろ映画が始まる時間だな。そろそろ出て行こうか?」「はい」 楽しみな映画なのに、ちょっと残念な気持ちになる。 もっと見ていたかったなぁ~と思ってしまった。 仕方がないので映画館に戻ることに。入る前にポップコーンと飲み物を買って、上映を場所に入った。 上演が始まると、観ながらチラッと隣で座っている櫻井課長を覗く亜季。 櫻井課長は真剣な表情で映画
Last Updated : 2025-02-22 Read more