All Chapters of 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~: Chapter 31 - Chapter 40

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6 君の優しさと君の夢

実は、最近、母が階段から足を踏み外してしまって……」「えっ!!お母さん、大丈夫なの?」「はい。でも、その時は本当にびっくりしました。大きな物音がして、慌てて見にいったら母が倒れてて。すぐに階段から落ちたってわかったんですけど、僕、心臓が止まるかと思いました」「それはもちろん心配するよ」「……はい。歩けない状態だったし、頭を打ったみたいだったから救急車を呼んで松下総合病院に運んでもらったんです。頭のCTは異常なくて、でも怪我して血が出てたから、白川先生が急いで処置してくれました」「白川先生が……」「はい。すごく丁寧に対応してくれて、色々検査もしましたが、特に骨にも異常なくて……本当に安心しました。母は、みんなに心配かけちゃうなんて看護師として失格ね……って笑ってましたけど」「大変だったね」「母があんな風に倒れている姿を思い出すと背筋が凍るんです。もしあの時僕が家にいなかったら母はどうなっていたんだろうって」「うん……」「母は、今まで僕を1人で育ててくれた大切な人です。本当に大変な苦労があったと思うんです。だから、僕が看護師として早く一人前になって、もっと生活を楽にしてあげたい、安心させてやりたいってすごく思います。これからもずっと母を大事にして恩返しがしたいです。もちろん、今はまだまだ半人前にも届かないですけどね」初めて聞いたけれど、歩夢君はこんなにもお母さんのことを大切に思っている。色々つらいことがあったからこそ、歩夢君はもう二度とお母さんを悲しませたくないのだろう。なんだか泣けてくる……「不思議……です」「えっ?」「母がシングルマザーだってこと、今まで誰にも話したことなかったんです。なのに藍花さんには何でも話せてしまうっていうか……話したくなります」歩夢君……「私なんかに話して良かったのかな……。でも私、話を聞いて、歩夢君の真っ直ぐで優しい気持ちは、必ずお母さんに伝わってるって、すごく思ったよ。本当に素敵な親子の絆だよね」歩夢君は、私に向かってニコッと微笑んだ。その顔がとても可愛らしくて、少しだけ「キュン」となった。
last updateLast Updated : 2025-02-27
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7 君の優しさと君の夢

「あの……良かったらまた話を聞いてもらえませんか?藍花さんにもっと悩みを相談させて下さい。先輩としてのアドバイスが欲しいです」どうしてこんな未熟な私に?他にも立派な先輩がたくさんいるのに……「仕事のアドバイスなんて大袈裟なことはできないよ。キチンとしたアドバイスなら中川師長や他の先輩達にも聞いてね。だけど、もちろん、お互いに励まし合おうね」「はい、ありがとうございます。僕、藍花さんには仕事以外のことも相談したいんです。だから……」私を見つめながらそう言いかけた時、男性看護師が歩夢君を呼んだ。「あっ、藍花さん、すみません。僕、もう行きます。いろいろ聞いてくれてありがとうございました」「ううん、頑張ってね」「はい!」歩夢君は私に頭を下げてから、走って病棟に戻った。何か言いたかったのか……もしかしたら歩夢君には、悩みがあるのかも知れない。伯母さんである中川師長やお母さんには言えないような悩みなのだろうか?歩夢君の「患者さんに心から寄り添える看護師」という言葉、すごく印象的だった。心から寄り添うことは、簡単なようで難しい。それでも、新人1年目の彼には、もうそれができてるような気がする。私は白川先生に注意されてばかりなのに、歩夢君はいつだって優しい笑顔で患者さんを癒してる。すごいよ――先輩としてはとても情けないけれど、看護師として良いところはきちんと見習いたいと思った。「うん、私も……頑張ろう」自分に気合いを入れながら、私はその場所から1歩踏み出した。
last updateLast Updated : 2025-02-27
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1 思いもよらない仲間の秘密

「蓮見さん、ちょっといいですか?」「あっ、うん」ナースステーションに戻る手前で春香さんに声をかけられた。「さっき何を話してたんですか?」「えっ?何って……歩夢君とってこと?」「そうです。来栖さんと蓮見さん、ニコニコ笑いながら楽しそうにしてましたよね?」春香さんは、まるで私達を見ていたかのような質問をした。「別にたいしたことは話してないよ。仕事のこととか……」歩夢君のプライベートなことを絶対に言うわけにはいかない。「蓮見さんって………」「え?」「男性には誰にでもニコニコしてますけど、彼氏いるんですか?」とてもトゲのある言い方に驚いた。「誰にでもって……私は男性だからニコニコしてるわけじゃないよ」病院にいると、白川先生の前ではニコニコなどできないから。「蓮見さんに前から聞きたかったんです。蓮見さん、来栖さんのことが好きなんですか?」「えっ!?」あまりの質問に、思わず声を上げてしまった。「ちょっと!静かにして下さい!周りに迷惑ですよ」「えっ、あ、すみません」なぜ私が謝っているのだろうか?春香さんが驚かせるからような質問をするからなのに……と、つい心の中で思ってしまう。「来栖さんが好きなんですか?2人でいつも楽しそうに話してますよね?それって、蓮見さんは来栖さんを好きだからですか?」冷静な顔をして詰め寄られ、その迫力に後ずさりした。「ねぇ、ちょっと待って。私、歩夢君のことは、男性として好きとかじゃなくて……その……人として好きなんだよ。もちろん、歩夢君だけじゃなくて、ナースステーションの看護師は、男性も女性もみんなに対してそう思ってる。同じ仕事をする仲間として、いつも仲良くしたいって思ってるよ。そういう意味ではみんなのことが好きだよ」「何だか『良い子ちゃん』ですよね。蓮見さん、好感度上げようとしますよね、いっつも」「えっ?そんなこと……」「すごく鼻につきますよ。そういうところ」「……」春香さんの冷たい言葉に胸が痛くなる。「本当に来栖さんのこと、男性として見てないんですね?」「え……ど、どうしたの?何だか春香さんおかしいよ」「私、来栖 歩夢さんのことが好きなんです。もちろん男性として」突然のカミングアウトに一瞬声が出なかった。目の前の春香さんは堂々としているのに、私の方がおどおどしている状況に戸惑う。「そ
last updateLast Updated : 2025-02-27
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2 思いもよらない仲間の秘密

春香さんは、とても真剣な顔で訴えた。「春香さんが歩夢君を好きで、アプローチしたり告白するのはわかるよ。すごく素敵なことだと思う。だけどね、応援って言われても……ちょっと困るかな」「どうして?来栖さんのこと、好きじゃないなら別にいいですよね?それともやっぱり彼のことが好きなんですか?」一つ一つの言葉が強引で、圧を感じる。「春香さん、お願いだからそんなに必死にならないで」「必死?私、そんな必死ですか?」「えっ……」「おかしいですか?私のことバカにしてますよね?」「だから、バカになんてしてないよ。春香さんの気持ち、バカになんかするはずないから」「私、来栖さんのことを考えたら胸が痛いです」「春香さん……」「人生で初めて人を好きになったんです。来栖さんのことを見ていて、本当に優しくて素敵で、おまけにカッコ良くて、仕事も一生懸命で。この人なら……って思いました。それなのに、来栖さんは蓮見さんを見てよく笑ってます。私にはあんまり笑ってくれないのに。そう思うと悲しくて寂しくて悔しいんです」春香さん……泣きそうになっている。周りには誰もいないけれど、もし誰かに見られたら、私が泣かせてしまったように思われるだろう。でも、春香さんは、ここまで思い詰める程に歩夢君のことが好きなんだ……私なんかにヤキモチを妬いてしまうくらいに。初めての恋に悩む気持ちは私にもよくわかる。春香さんの苦しそうな顔を見ていたら、とても切なくなってきた。「春香さん。歩夢君はね、みんなに笑顔で接してるんだよ。人を見て態度を変えるような人じゃないから。さっきだって、ちゃんと春香さんにも微笑んでたよ。一緒にペンを探してくれようとしてたし。歩夢君はいつだって誰にでも同じだから」「どうしたらいいのかわからない。私……わからないんです」目を真っ赤にして涙を堪えてる。何を言ってあげれば春香さんの気持ちがラクになるのだろうか。「あの……そんなに歩夢君のことが好きなら、勇気を出して告白してみたらどうかな?結果がどうなるかなんて考えたら不安になると思うけど、でも、上手くいけば嬉しいし、もしフラれてもまた新しい恋ができる。それとね、春香さん、もう少し笑ってみて。そしたら今以上に可愛くなるよ」私は何を偉そうにアドバイスしてるのだろう。自分だって恋愛が苦手なのに、いかにも恋愛に慣れてます……みた
last updateLast Updated : 2025-02-27
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3 思いもよらない仲間の秘密

「私が来栖さんに告白するなんて、そんなことできないです!私はあなたみたいに可愛くないし。来栖さんに嫌われてしまいます」春香さんは、首を何度も横に振って否定した。「そんな……。私は可愛くないよ。ただ……笑顔だけは絶やさないようにって思ってるだけ。だから、春香さんももっと笑ってみて。嫌われるとか、そんなことないよ。歩夢君は人を嫌いになったりしない。きっと優しく話を聞いてくれるはずだから。とにかく、春香さんの初恋、告白してみないと答えは出てこないと思うよ」人のことなら言えるのに……私は自分に問いかけた。あなたなら告白できるの?――って。フラれたら仕方ない、また新しい恋をすればいい……なんて、勝手なことを春香さんに言ってしまったかも知れない。本当に自分に呆れる。全く何を言ってるんだ、私は――「告白なんかできません!来栖さんにフラれるとか……絶対に嫌です。すごく怖いです。私、本当に来栖さんが好きですから。ものすごく好きですから」「春香さん……」「とにかく私は、あなたと来栖さんが話してるのを見るのは嫌なんです。嫌で嫌で仕方がないです。あなたが来栖さんに媚びを売っているの、もう見たくない」「だから春香さん、私は歩夢君に媚びてなんかいないよ。見たくないって言われても……」「あなたに私の気持ちなんかわからない!わかってたまるもんですか!」春香さんは、捨て台詞を残し、さっさとナースステーションに入っていった。
last updateLast Updated : 2025-02-27
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4 思いもよらない仲間の秘密

その姿が無くなっても、私の頭の中は春香さんのことでいっぱいだった。春香さん、いったいどうしたのだろう?普段の冷静沈着な春香さんとは別人みたいだった。とても感情的で威圧感もあって……人は本気の恋をするとこんなにも変わってしまうのか?誰かを好きになればなるほど、すごく嬉しい気持ちと、どうしようもない不安とが入り交じって、いつもみたいに冷静でいられなくなるのかも知れない。私も、もしかしたら、そうなってしまうか?そもそも誰かを強く想える日が、私には来るのだろうか?感情がコントロールできないほど、深く誰かを好きになったことがないから、歩夢君のことをそこまで本気で好きになれる春香さんがちょっとうらやましく思えた。春香さん……私と歩夢君が何でもないってことを納得してくれただろうか?この先、春香さんが歩夢君に対する想いをどうするのかわからないけれど、でも、私には2人をどうやって応援すればいいのかわからない。色々と偉そうに言ったクセに、まだまだ恋愛経験が無さ過ぎて、本当に情けない。恋愛の達人「月那先生」ならもっと良いアドバイスをくれるはずなのに……できることなら今すぐ会ってこの気持ちを聞いてもらいたい。そう、心から願ってしまった。
last updateLast Updated : 2025-02-28
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1 あなたの強引な誘いに戸惑って

春香さんとのことがあってモヤモヤしながらも、私はプライベートなことはなるべく考えないようにして夜を迎えた。「前田さん、ご気分はいかがですか?」「ありがとうございます。大丈夫です。今日は孫が来てくれましたから」「そうでしたね。お孫さんの顔みたら元気になりますよね。良かったですね」「ええ、本当に。小さな天使の笑顔は良いものですね。蓮見さんは?ご結婚はされてるんですか?」前田さんは優しく微笑んだ。患者さんの体調が落ち着いてることがすごく嬉しい。「残念ながらまだですよ。恋愛より今は仕事を頑張らないとって思ってます」「あら、そんなこと言ってたらダメですよ。蓮見さんは本当に良い看護師さんですし、そんなに魅力がある方なのにもったいないです。お若くて可愛らしくて、うらやましいわ」思いがけず前田さんに褒められて照れてしまった。普段からあまり口数が多い人ではないので、わざわざ口に出してくれたことが余計に嬉しかった。「ありがとうございます。お世辞でも嬉しいです。いい相手が現れるのをゆっくり待ちますね」笑顔でそう言ったけれど、このままゆっくり待っていて、本当に良い相手になど出会えるのだろうか。もし出会えなかったら――このまま結婚せずに働き続けるのかも知れない。それならそれも……幸せだとは思うけれど。でも最近、先生達や歩夢君と話して、何だか変な感情が芽生えてしまったのも確かで……仕事や家事に追われているだけの毎日に、ほんの少しだけ、緊張するような、嬉しいような、恥ずかしいような……ドキドキする時間がプラスされた気がする。何気ない日常に彩りが増えたような。確かに私の場合は、春香さんが歩夢君を想うような感情とはまた違うような気がしている。今はただ、頭の中に色んなものがごちゃごちゃになっていて、整理できないまま足早に流れる時間に身を任せている自分がいた。
last updateLast Updated : 2025-03-01
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2 あなたの強引な誘いに戸惑って

「では、失礼しますね。何かあったらいつでも呼んで下さいね」「ありがとうございます、蓮見さん」私は前田さんの病室を出て、今日の就業時間を終えた。ホッとしたその時、目の前の病室から誰かが出てきた。うわっ、白川先生!思わず心の中で叫んだ。突然出会っても、とにかく超絶イケメンだ。どこにいても白川先生のオーラは半端ない。少女コミックのキラキラした王子様、パリコレに出てくるようなトップモデル、映画のスクリーンに映る大人気俳優――どれであってもピッタリハマる。「お疲れ様です」私は、緊張しながら言った。「お疲れ様。今、終わり?」「はい。前田さん、今日はとても安定されています」「それは良かった」この前話してから少しは慣れたと思っても、白川先生を見ると条件反射で体が固まってしまう。「少し話せる?」「えっ、あ、はい。大丈夫です……」「なら、行こう」白川先生は、うなづいて、そして、ゆっくり歩き出した。その後ろを着いていきながら思った。歩くスピード、やはり私に合わせてくれている……と。気を抜くと、ニヤついた顔を見られて、「何をニヤついてる?病院だぞ」と注意されそうだ。私は、緩んだ顔の表情筋を慌てて引き締めた。「ここ、星がたくさん見える」先生が立ち止まったのは、病棟の1番奥、大きくて広い窓がある場所だ。窓の前に立ち、星を見る先生の横顔はとても美しい。まつ毛、長いんだ――空を見上げるその顔は、仕事中よりずっと優しく見えて、なぜかとてもドキドキした。「本当に綺麗ですよね。患者さん達も昼間、よくここから景色や空を眺めてますよ。癒されるって皆さん言ってます。夜もこんなに綺麗で……素敵な場所ですね」十分高さもあって、夜になると内側の電気が消え、窓の向こうに壮大で美しい夜景が目の前に広がる。
last updateLast Updated : 2025-03-01
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3 あなたの強引な誘いに戸惑って

ここが病院でなければちょっとしたデートスポットになっているだろう。今は患者さんもみんな病室にいて、ここには誰もいない。息を飲む音さえも聞こえるような静寂。ひっそりと静まり返った世界に、私達はまた2人きりでいる。「藍花……」「あっ、はい」白川先生に、急に名前を呼ばれてドキッとした。そうだ、2人の時は名前で呼ぶと約束していたんだ。こんなキラキラした景色を白川先生と見ながら、名前も呼び捨てにされ、さっきから何だか落ち着かない。起こるはずのないシチュエーションの連続に、私はだんだん自分が自分じゃないみたいに思えてきた。「藍花はなぜ看護師に?」「えっ?」急な質問に驚いた。白川先生が私の志望動機などに興味があるのだろうか?私は、不思議な感覚のまま話を続けた。「あの……私の理由は聞かない方がいいと思います」そう言うと、白川先生は少し疑問を持ったように私を見た。「なぜ?」「なぜって、そんなこと興味ありますか?私が看護師を目指した理由なんて……」「教えてくれ、俺は藍花のことが知りたい」甘く囁く声。私は、この声に無性にドキドキしてしまう。しかも、こんな近くにいて、真っ直ぐ目を見ることができない。心臓がバクバクと動き、私はその急激に変化し始めた感情を必死に隠した。「は、恥ずかしいですけど……。子どもの頃に見たドラマの影響です。すみません、本当に恥ずかしいです」言ってしまった……それになぜか謝っている自分がいた。白川先生にはそんな単純な理由で看護師になったことを知られたくなかった。なのに、どうして話してしまったのだろう。今さら後悔してももう手遅れだ。「ドラマ?」「はい……。そうです」先生は、どう思ったのだろう。やっぱり呆れられたのか?こんな理由、適当過ぎて真面目じゃない!と、叱られるような気もしていた。だけど、本当のことなんだから仕方がない。
last updateLast Updated : 2025-03-01
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4 あなたの強引な誘いに戸惑って

「はい。新人のおっちょこちょいな看護師が、先輩看護師と一緒に患者さんのために奮闘するっていうドラマがあったんです。ちょっとコメディタッチでしたけど、毎回毎回すごく感動して……。いつしか私もこんな看護師になりたいなって。気づいたら私の夢になってました」何とか頑張って話し終えると、先生はまた空の星達を見ながらつぶやくように言った。「そうか。だったら同じだな、俺と」えっ……少し目を細めながら遠くを見つめる先生に、不思議な優しさを感じた。「白川先生もドラマを見てお医者さんになりたいと思ったんですか?」「ああ。俺は真面目な医療ドラマだけどな。自分にもこんな風に人を助けることができたらって……ただ単純にそう思った」確かにテレビの中の作り物の世界に影響を受けている人はきっとたくさんいるんだろう。実際私も看護師になれて、今こうして頑張っていられてる。でもまさか白川先生の理由としてはかなり意外だった。こんな立派な先生に、ほんの少しだけ親近感が湧いてしまうのは失礼なことなのだろうか?「素敵です。お医者さん、特に外科医は手術もしますし、直接人の命を預かるお仕事ですから、本当に尊敬します」「尊敬されるまでにはまだまだ経験が足りない。手術をもっとこなして上手くなりたい。世界中で苦しんでるたくさんの人を救いたい。だけど、未熟な俺には、今は目の前の人を救うことで精一杯だけどな」その目はとても真っ直ぐで、先生の決意や向上心は本物だと思えた。理想に向かってブレずに頑張っている先生は本当にカッコ良い。ただ単に見た目が良いだけじゃないんだ。熱い思いと高い志を聞いてしまえば、私の中であんなにも怖かった白川先生の好感度が、また少し、自然に上昇した。
last updateLast Updated : 2025-03-02
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