「うんうん、それでそれで?」マッサージをしながらも、興味津々で次を急かす月那の興奮が伝わってくる。「え~、もう、すごいじゃない!!何なのよ、それ」「何なのよって、私が聞きたいよ。いろいろ戸惑うっていうか……こういうの全然慣れてないから」「いや~。藍花にもやっと春が来たんだね。もう秋だけど」冗談交じりに無邪気に笑う月那。美人な上に元気で明るい人だから、すごく親しみを感じる。月那目当てのお客さんがかなり増えていることには、とても納得できる。「春が来たとかじゃないんだってば。でも、七海先生も白川先生も、どうして私なんかに声をかけてくれたのかなって」月那に優しく背中をもみほぐしてもらうと何とも気持ちが良い。幸せだ……と心から思う瞬間。「ねぇ、藍花は何でいつも自分を「私なんか」って言うの?あなたはすごく笑顔が素敵な癒され女子だよ。初めてお客さんとして店に来てくれた時、すごく可愛い人って思ったし」「嘘だよ。可愛いとか……」「家に帰ってゆっくり鏡見てみな。肌も綺麗だし、顔のパーツもイケてるし、それに藍花はスタイル抜群だからね。そこは本当にうらやましい。まあ、顔の美しさは私には敵わないけどね~」そう言って、またゲラゲラ笑う。月那がそんな風に言ってくれるのは初めてだけど、きっとお世辞だよね……ゆっくり鏡なんか見たら、余計に自信をなくしてしまいそうだ。たぶん月那の言葉は自信が持てない私への励ましなんだろう。「月那は間違いなく誰が見ても本物の美人だから。月那を見てるとめちゃくちゃ綺麗だなって本気で思うし、私が男なら絶対好きになってるよ。笹本さん……幸せだよね」笹本 太一(ささもと たいち)は、月那の彼氏の名前。
Last Updated : 2025-02-22 Read more