All Chapters of 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~: Chapter 21 - Chapter 30

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2 親友とマッサージと内緒話

「うんうん、それでそれで?」マッサージをしながらも、興味津々で次を急かす月那の興奮が伝わってくる。「え~、もう、すごいじゃない!!何なのよ、それ」「何なのよって、私が聞きたいよ。いろいろ戸惑うっていうか……こういうの全然慣れてないから」「いや~。藍花にもやっと春が来たんだね。もう秋だけど」冗談交じりに無邪気に笑う月那。美人な上に元気で明るい人だから、すごく親しみを感じる。月那目当てのお客さんがかなり増えていることには、とても納得できる。「春が来たとかじゃないんだってば。でも、七海先生も白川先生も、どうして私なんかに声をかけてくれたのかなって」月那に優しく背中をもみほぐしてもらうと何とも気持ちが良い。幸せだ……と心から思う瞬間。「ねぇ、藍花は何でいつも自分を「私なんか」って言うの?あなたはすごく笑顔が素敵な癒され女子だよ。初めてお客さんとして店に来てくれた時、すごく可愛い人って思ったし」「嘘だよ。可愛いとか……」「家に帰ってゆっくり鏡見てみな。肌も綺麗だし、顔のパーツもイケてるし、それに藍花はスタイル抜群だからね。そこは本当にうらやましい。まあ、顔の美しさは私には敵わないけどね~」そう言って、またゲラゲラ笑う。月那がそんな風に言ってくれるのは初めてだけど、きっとお世辞だよね……ゆっくり鏡なんか見たら、余計に自信をなくしてしまいそうだ。たぶん月那の言葉は自信が持てない私への励ましなんだろう。「月那は間違いなく誰が見ても本物の美人だから。月那を見てるとめちゃくちゃ綺麗だなって本気で思うし、私が男なら絶対好きになってるよ。笹本さん……幸せだよね」笹本 太一(ささもと たいち)は、月那の彼氏の名前。
last updateLast Updated : 2025-02-22
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3 親友とマッサージと内緒話

細身の月那の隣に立つとかなりの大男?に見えるけど、短髪で筋肉をこよなく愛するガッチリイケメンさん。31歳でこの立派なマッサージ店を任されてて、ものすごく仕事ができる頼れる人だ。「太一はさ、別に私の顔を好きになったわけじゃないらしいよ。まあ、好きになった女がたまたま美人だったってわけ……ってね、私だってさ、別に自信があるわけじゃないよ。でも、明るく生きた方が得かなって思ってるだけ」「うん、そうだよね。毎日明るく生きれたら楽しいよね。本当に月那はすごいよ。だけど、やっぱり……私っていろいろマイナスに考えてしまう性格なんだと思う」「そんなことないよ。藍花はさ、いつも私を励ましてくれるよね。褒めてくれるし。そういう優しいとこ好きだよ。今までこんなに何でも話せる友達っていなかったし、私は藍花の性格に惚れてるから。だから、見た目も性格ももっと自信持ちな」「今日はどうしたの?すごく褒めてくれるんだね」本当に、何だか照れる。でも、そんな風に言ってもらえてとても嬉しい。「まあ、たまにはね~。やっぱりさ、藍花には幸せになってもらいたいからね」マッサージ中、うつ伏せで月那の顔は見えないけど……その言葉が本心だってこと、すごく伝わってきた。「ありがとう。私もいつか月那みたいに幸せになれるのかな?」「いつかじゃなく、近々、何かあるかもよ。白川先生と七海先生、超イケメン達からのアプローチがあったんだから」「アプローチっていうのかな。あの2人が私に近づきたい理由なんてどう考えても見つからないよ」「どうして?」「どうしてって、あの容姿は世界のイケメントップ100に入っててもおかしくないくらいだよ。そんな人達に興味を持たれるわけないよ」月那だったらわかるけど、私は……「何言ってるの。イケメン達は、藍花に興味があるから誘ったんだよ。そんなの当たり前じゃない。確かにさ、あの2人ならトップ100に入るよね。いや、ヘタしたらトップ10かもよ。そんな超絶イケメンに誘われたなんて、藍花はとんでもないよ」
last updateLast Updated : 2025-02-23
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4 親友とマッサージと内緒話

トップ10――正直、有り得ないことじゃない。「私、からかわれてるのかな?やっぱりおかしいよね、絶対。急に2人から声掛けられるなんて。もしかして病院のみんなにドッキリにかけられてる?」本当にそんな気がしてきた。「わざわざからかう理由がある?たまたま同じ時に藍花に声を掛けたくなったんだよ。最近可愛くなったから、先生達、我慢できなくなったんじゃない?」「や、止めてよ。そんなわけないじゃない。恥ずかしいこと言わないで」「あ~。耳、真っ赤だよ。もうさ、素直に受け取ればいいじゃん。2人からの熱いアプローチを」「だから、告白されたとかじゃないし、何を受け取ればいいのか全然わからないよ。本当に……ただご飯を食べただけだから……」「まあ、そうかも知れないけど、でもきっとあの2人は藍花のことが好きなんだよ。私も診察してもらったことあるけどさ、あそこまでイケメンだったら選ぶの悩むよね~」うつ伏せが終わり、月那は私に上を向くように言った。「好きなわけないでしょ。選ぶとか失礼だよ」「まあまあ、聞いてよ。想像するの、楽しいじゃない。白川先生はあれだけの超イケメンでしょ。あの見た目にあのスタイル。あっ、つい最近病院で聞いたんだけど、白川先生ってめちゃくちゃお金持ちなんだって。何だったかな……ホワイト……あっ、そうそう、ホワイトリバー不動産の社長の息子なんだって」「えっ、う、嘘でしょ?」「知ってる?ホワイトリバー不動産って」「知ってるも何も全国展開してる大企業だよ。CMとかもバンバンしてるし」「そうなんだ。不動産とか興味無いから知らなかった」「そっか……。でも、それって本当の話なの?」「待合室でさ、おば様達が話してたのよ。間違いないと思う。本当、社長の息子なんてすごくない?会社はお兄さんが継いで弟の白川先生は医者になったって」知らなかった……ホワイトリバー不動産、確かに白い川、白川だよね。白川先生が、あんな超有名な会社の御曹司だったなんて。天才イケメン外科医で家柄もすごい、それこそ「無敵」だ。「そんな白川先生と、ご実家が大病院の見た目がセクシーな七海先生。う~ん、すごく悩む。どっちがいいかなぁ」「別にご実家のことは関係ないと思うけどね」私の脚をゆっくりマッサージしながら本気で考え込んでる月那に、思わず苦笑いした。
last updateLast Updated : 2025-02-24
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5 親友とマッサージと内緒話

「関係ないこと無いよ。お金持ちかどうかはめちゃくちゃ大事だよ。将来結婚した時にはやっぱりお金があった方がいいじゃん」「け、結婚!?」月那の何気ない一言に驚いて、私は勢いよく体を起こしてしまった。「ちょ、藍花、胸、見えてるよ!」「え!?うわっ!!」かけていたタオルがズレ落ちて、全てあらわになっていた胸を慌てて両手で隠した。「藍花ってすごく愛嬌があるし、とっても良い子だよ。そういう何とも言えない可愛いとこが男にウケるんだよ。七海先生にも可愛いって言われたんでしょ?だったら自信持ちなよ」仰向けになり、ベッドに横たわった私に、月那は再びタオルをかけた。「可愛いっていうのはお世辞だし、結婚とかそんなのあるわけないよ。月那が急に変なこと言うからびっくりしたよ」「そんなのわかんないよ~。案外どっちかと結婚して玉の輿に乗ったりして。結婚したらさ、白川 藍花か七海 藍花になるんだね。どっちもいい響きだよね~」白川 藍花、七海 藍花――そんなの、どっちも有り得ない。「本当にやめてよ。私のこと知りたいなんて言って、きっと他の女性にも言ってるんだよ。うん、きっとそう」「そんなわけないでしょ。私さ、男見る目あるからさ。あの2人は……そういうことができるタイプの男じゃないよ。なんかイケメンなんだけど真面目っていうか。患者にあんな風に関われるんだから、間違いなく性格もいいよ」確かに月那は男の人を見る目というより、こういう仕事をしてるからか、人間を見る目があると思う。「うん……。だけどね、私のことを知っても仕方ないって思ってしまう」「そんな弱気にならないの。知りたいって言ってくれたんだから信じなよ。藍花には、そうだな……やっぱり白川先生がいいんじゃない?」「えっ!ど、どうして?」「七海先生も素敵だけどさ。なんか白川先生って好きな女をすごく守ってくれそうじゃん。絶対浮気とかしなさそうだし。それにさ、エッチとかも上手そうじゃない?」
last updateLast Updated : 2025-02-25
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6 親友とマッサージと内緒話

エ、エッチって……一瞬、白川先生の筋肉質な裸体が頭に浮かんだ。一気に顔が赤くなる。「ひ、人ごとだと思って適当なこと言わないで」「適当じゃないから。親友の月那先生からのアドバイスはちゃんと聞いた方がいいよ。ま、七海先生を選んだとしても、私は文句は言わないけど。あれ?藍花、顔真っ赤じゃない?」「えっ、あっ、そ、そんなことないよ」さっきの月那の言葉のせいだ。頭の中を白川先生の裸体がチラついて消えない。見たこともない身体を勝手に想像している自分が恥ずかしい。「はい、終了!オイルマッサージお疲れ様」「あ、ありがとう、月那」「また何か進展あったら教えてよ。なんかワクワクする~」「本当にもう……月那は……」でも……こうしてちゃんと相談に乗ってくれて、結局、私をすごく心配してくれる。月那は本当に信頼できる最高に素敵な女性だ。「ありがとうね、気をつけて帰って」「うん、こちらこそありがとう。とっても気持ち良かったよ。また明日から頑張れる。あっ、笹本さんにもよろしくね。また来るから」「は~い。いつでも待ってるよ」私は月那と別れ、マンションに向かった。オイルマッサージでリフレッシュした体はもちろん、月那に全部話せたことで、心まで軽くなった気がした。
last updateLast Updated : 2025-02-26
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1 君の優しさと君の夢

「おばあちゃん、早く退院してね」「そうだね。もう少ししたら退院できるから、そしたらまた遊ぼうね」「絶対だよ、約束」「もちろん。約束ね」私が担当している患者さんが、小学校低学年くらいのお孫さんと指切りしてる。病院の中庭の噴水のそば。そんな2人の素敵なやり取りに、ちょっと胸が熱くなった。ご家族と一緒に居られる時が、患者さんにとって1番大切な時間だから。私は、中庭を散歩したり談笑してる人達に目をやった。みんな穏やかで笑顔もあって、そういう姿を見るのが本当に嬉しかった。さらに中庭の奥まで進むと、患者さんは入れない関係者だけのスペースがある。木々の葉が揺れ、花が咲いていて、医師や看護師の安らぎの場所になってる。それぞれの休憩時間に利用していて、私もここに来るとホッとする。「藍花さん!お疲れ様です」「歩夢君、春香さん。お疲れ様」そこにいたのは歩夢君ともう1人の看護師だった。山口 春香(やまぐち はるか)、24歳。ロングヘアをひとつに束ねていて、ほとんど化粧はしてない。肌はとても綺麗だ。薄めの唇に目立ちにくいピンク色の口紅をつけている。私と同い年で、ここに入った時から一緒なのに……なぜかずっと敬語を使われている。それにいつまで経っても「蓮見さん」と、苗字で呼ばれていて、少し寂しい。私は「春香ちゃん」と呼びたいけれど、正直、まだまだハードルは高い。もちろん、私だけではなく、みんなに同じ対応だから仕方ないとは思っている。常に冷静沈着で秀才タイプ。私なんかよりずっと仕事ができる春香さんだけど、普段からあまり笑わなくて、患者さんの前でもほんの少し微笑むくらいだ。ナースステーションにいてもみんなの輪の中にわざわざ入ってこずに、いつもだいたい1人で黙々と仕事をしている。特に仲良くしてる看護師もいないみたいだ。もう少しにこやかにしてれば素敵なのに……と、余計なお世話ながら思ってしまう。春香さんと1度ゆっくり話してみたいけれど、向こうにその気はないみたいで……
last updateLast Updated : 2025-02-26
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2 君の優しさと君の夢

「どうかしたの?」私は、歩夢君と春香さんに声をかけた。「春香さんがこのあたりでペンを落としたらしくて、一緒に探してました」「そうなんだ。だったら私も一緒に……」「別にいいです。私1人で探しますから」「春香さん。さっきとても大切なペンだって言ってましたよね。だったらみんなで探した方が早く見つかりますよ」歩夢君がニコッと笑って言った。「春香さん、どんなペンなの?私も一緒に探させて」「ほんとにいいですから。私、1人で探すので」私の申し出を受けるのはどうしても嫌みたいだ。「……春香さん、ほんとに大丈夫ですか?」「ええ。1人の方が気楽です。3人もいたらごちゃごちゃしてややこしい」「ややこしい?春香さん、どうしてですか?」「歩夢君、あなたは気にしないでくださいね。ありがとうございます」それだけを聞いてわかった。春香さんは、歩夢君と2人なら良かったけれど、私のことは邪魔だったんだ。「わかりました。あ、そうだ春香さん。今度みんなでご飯行くんですけど、良かったら春香さんも来ませんか?あんまり一緒に行ったことないし、ぜひ」「……みんなって?」春香さんが怪訝な顔で尋ねた。「ナースステーションのみんなですよ。たくさん来ます。僕が幹事なんで、みんなに声掛けてます。親睦会みたいなノリですから、それこそ気楽に参加して下さい」「……藍花さん、あなたも来るんですか?」今までほとんど目も合わせていなかったのに、急に質問されて驚いた。春香さんの尖った目つきにゾクッとする。「……私は……まだ迷ってるの」「え~。藍花さん、絶対参加して下さいね」「でも……」歩夢君の誘いに答えを渋っていると、春香さんは急激に不機嫌な顔になり、私に背を向けた。
last updateLast Updated : 2025-02-26
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3 君の優しさと君の夢

「私、もう行きます」「えっ、ちょっと待って下さい。春香さん、行っちゃうんですか?」「ええ」「親睦会、来てくださいね。本当に待ってますから」「……考えておきます」そう言って春香さんは中庭を出ていった。私とは全く目を合わさずに去った春香さんを見ていたら、何だかとても悲しくなった。きっと私に対して何か思っていることがあるのだろう。それにしても、原因もわからずあからさまに嫌な態度を取られると胸が痛む。「あの、藍花さん、休憩時間まだありますか?良かったら少し話しませんか?」歩夢君が声をかけてくれた。「あっ、うん、いいよ。まだ大丈夫だから」「良かったです。じゃあ、あそこに座りましょうか」「うん」私達は、近くにあったベンチに腰かけた。ふと近くある木々に目をやると、緑の葉っぱがところどころ赤や黄色に変わっていた。時折優しく吹き抜ける秋の風が、とても心地よい。「あの……藍花さんのお家って病院の近くでしたよね?確か、ひと駅向こうですよね。一人暮らしはもう慣れましたか?」「うん。そうだね……慣れてはいるけど、やっぱり疲れて帰ってから食事を作るのが大変だったりするかな」「普段はちゃんとご飯作ってるんですね。すごいです、尊敬します」真っ直ぐな瞳の歩夢君に褒められて、恥ずかしいけど何だか嬉しかった。「そんなにすごくないよ。たまにサボる時もあるし。コンビニとかも利用するよ。ほら、自分で作るより安くて美味しいのもあるじゃない」料理は嫌いじゃないけれど、激務の時はかなり疲労こんぱいになって、そのままソファに倒れ込むこともある。休みの日におかずをたくさん作って、冷蔵庫や冷凍庫に作り置きして何とか頑張ってはいるけれど、今は母親の大変さをとても痛感している。家族のために毎日家事を頑張ってきた母には本当に頭が下がる。親に感謝しなきゃいけないと思うことが増えた今日この頃だ。
last updateLast Updated : 2025-02-26
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4 君の優しさと君の夢

「僕はコンビニばっかりです。たまに近くの食堂とか行きますけど」「男性の一人暮らしは大変な気がするけど……掃除とか洗濯とかも手間がかかるしね。やっぱり彼女さんが来てくれたりするのかな?」「そんな人いないですよ!彼女なんて……いません」歩夢君は、その何気ない質問に被せるような勢いで否定した。「そ、そうなんだ……」その慌てぶりには少し驚いた。歩夢君には彼女がいるのかなってずっと思ってた。いつも笑顔で満たされているから、プライベートが充実しているのかなと……それは、勝手な思い込みだったのか?七海先生も彼女はいないと言っていた。白川先生は、結局、彼女がいるのかどうかはわからなかったけれど、でも独身なのは間違いない。医師や看護師の忙しさでは彼女を作る暇がないのはわかるけれど、この3人に限って言えば、作ろうと思えばすぐに作れるだろう。勝手な妄想は膨らむ。例えば、3人が揃って合コンに参加したとしたら、女性達は絶対ほおっておかない。取り合いというか……奪い合いになって、修羅場になるに違いない。女性達のアピール合戦が目に浮かぶようだ。でも、よく考えたら……そんな3人と私はなぜか急接近している。この状況はかなり不思議で、有り得ない。やっぱり私は、みんなにからかわれているのだろうか?「藍花さんは?彼氏とか……いるんですか?」「い、いないいない!」「え?本当ですか?」「うん。嘘なんかつかないよ」「そうなんですね……。なんか、こんな話、あんまりしたことなかったですよね」「確かに……そうだよね。ナースステーションではなかなかそういう話はできないしね」「僕ね、藍花さんなら彼氏いるんだろうな……って、勝手に思ってました」「えっ……。あっ、今は看護師の仕事だけで精一杯かな。なかなか気持ちが恋愛までたどり着かないんだよね。もちろん、恋愛したいと思っても、誰も相手にしてくれない確率も高いけど。でも歩夢君なら、出会いがあればすぐに可愛い彼女ができるよ。私が保証する」「いりませんよ、新しい出会いなんて」歩夢君は、そう言って下を向いた。「どうかした?歩夢君?」「だ、大丈夫です。今は、僕もまだまだ新人として一生懸命仕事を頑張らないとって思ってます」何か思うことがあったのかも知れない。それでも私に心配をかけまいと微笑む歩夢君……本当に優しい人だ。
last updateLast Updated : 2025-02-26
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5 君の優しさと君の夢

眼鏡の奥の瞳がとてもキラキラして……私もこんな風に相手に癒しを与えられるような看護師になりたい。「うん。私も頑張るね。中川師長みたいな立派な看護師になるまであと何年かかるだろうね」あの人と同じレベルになるには、相当努力しないと無理だろう……私からすれば雲の上の存在だから――「伯母さんは本当にすごいです。看護師としても人としても尊敬してます」そのひと言に、ものすごく重みを感じる。そばにいるからこその、嘘偽りない心からの言葉だとわかった。「うん、私もそう思ってる。まさにスーパーウーマンだよね。あんなに仕事をこなせる看護師、他には知らないもん。私の憧れ。歩夢君のお母さんも中川師長みたいな方なの?」「そうですね。どちらかというと伯母さんの方がパワフルですね。姉妹でもちょっと違うみたいです。うちの母は妹だから、伯母さんに甘えてるところもあると思います。母は父と離婚してから、ずっと女手1つで僕を育ててくれました。本当、大変だったと思います」「そうだったんだ……。歩夢君のお母さん、シングルマザーなんだね」私には想像もできない。仕事をしながら1人で子どもを育てるなんて、とても大変だったに違いない。看護師をしながら歩夢君を育ててきたお母さんは、目の前にあるこの笑顔のおかげで、つらいことも全て乗り越えられたんだろう。歩夢君の笑顔は最強だから。親子の絆はとても深く、子どもを信じて支えるお母さんは何よりも強い。「父が出て行ってしまったので……僕はまだ小さな子どもだったんですけど、伯母さんが父にめちゃくちゃ怒った場面だけは忘れられなくて」「怒った……?」「……よくある話です。父は母じゃない女性を好きになって……それでも母は何も言わずで。でもある日、父から母に離婚を申し出たみたいで、居合わせた伯母さんが父を怒ってくれたんです」「そんなことがあったんだね。お母さんの気持ち、つらかったよね」「母は父が大好きでね。だから、一緒にいたかったんです。今、母の気持ちになって考えたら、死ぬほど胸が苦しいです。父を恨みたくなります。でも、母が父を絶対に悪く言わないので、僕も言わないようにしてます」「……そっか、そうだね」「父はバカですよ。自分を1番支えて大事に思ってくれてる人を捨てて……あっけなく出ていくんですから。僕は……絶対に大切な人を傷つけたくないです。あっ
last updateLast Updated : 2025-02-26
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