一瞬で顔が真っ赤になった。定義とかって言われても……次から次へと連続して押し寄せてくる私への褒め言葉に戸惑いが隠せない。「笑って。藍花ちゃんの笑顔は、僕の疲れた体に1番よく効くお薬みたいだから」七海先生……とびきりの優しい笑顔と共に放たれる甘いセリフにドキドキが止まらない。いったいどういう顔をして受け止めればいいのだろう。「さあ、行こう。お腹空いたな、何食べよっか」私達は駅の近くにある中華料理店に入り、そこでは他愛もない話をして楽しく食事をした。七海先生は聞き上手だし、話し上手。患者さんに人気がある理由が改めてわかった気がした。「すみません、ごちそうさまでした。とっても美味しかったです。本当にありがとうございました」「いえいえ。その代わり、またどこか行こうね。藍花ちゃんと一緒に大好物のエビチリとチャーハンを食べたら元気になれたよ。明日も……仕事頑張れる」「そ、そんな。また行こうなんて彼女さんに申し訳ないです」七海先生レベルなら、独身だけど、さすがに彼女はいるだろう。いないわけが……ないか。「彼女?そうだね。確かに2年前まではいたような気もするけどね。もう忘れたよ。君がうちの病院に入ってきた頃の話。それからはずっと1人でいる。全く寂しい男だよ」七海先生は苦笑いした。「彼女さん、どうしていないんですか?先生みたいに……その……イケメンさんなら女性がほおっておかないんじゃないですか?病院にも先生のファンはたくさんいますし」ミーハーのようでかなり失礼かとは思ったけれど、思わず聞いてしまった。うちの病院の七不思議の1つを――「ファン……ね。確かにこんな僕に好意を示してくれる人もいて有難いなって思うよ。でも……彼女を作るのは難しいね」
Last Updated : 2025-02-19 Read more