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6 あなたの魅力に気づく夜

Author: けいこ
last update Huling Na-update: 2025-02-22 09:20:09

「あっ、そんなことより白川先生もハンバーガー食べて下さい。冷めてしまいますから」

「その白川先生っていうのやめてくれないか」

「えっ?」

「俺には「蒼真」という名前がある。白川より蒼真の方が好きなんだ。だから蒼真でいい」

「そ、そ、そんなこと!よ、呼べるわけないじゃないですか、突然何を言い出すんですかっ」

白川先生を「蒼真」と呼ぶなんて、あまりに恐れ多くて、思わず大声を出してしまった。

「別に普通だろ。俺は「藍花」って呼ぶ。だからお前は俺を「蒼真」って呼ぶ。ただそれだけのことだ」

「それだけって……。でも他の看護師はみんな白川先生って呼んでますよね」

もしかして私が知らないだけで、プライベートではみんな蒼真って呼んでるのだろうか?

「俺が呼び捨てにするのは藍花だけだ。だからお前も必ず蒼真と呼ぶこと。2人きりの時だけでいい。それくらいできるだろ?」

「先生、ちょっと強引過ぎませんか?私、白川先生の家族でも彼女でもないんですよ。だいたい私なんかに『蒼真』なんて呼ばれて嬉しいわけないですよね?何か魂胆があるんですか?」

少し激しめの口調で言ったら、なぜか先生はニヤリと笑った。

「やっと言った。それでいい。これから先、俺のことは必ず蒼真と呼ぶんだ。嫌だとは言わせない」

「えっ、で、でも……」

「これは業務命令だから取り消せない」

「ぎょ、業務命令!?そんな……。先生、意地悪です」

「そうか?なら、もっと意地悪しようか?」

「そ、それは嫌です!」

「だろ?なら素直に呼べばいい」

白川先生は、平然とハンバーガーを食べ始めた。

私はこんなにもドキドキしてるというのに――

このやり取りの本当の意味を、私は怖くて聞けなかった。ただ先生にからかわれているだけなのか?

冷静に考えれば、白川先生にはちゃんとした彼女がいるかも知れない。こんなイケメン先生が、私に好意を持っているはずがないし、あんなに注意ばかりされていた私を女性として相手にするわけがない。

やはり……これは意地悪なのか?

でも、逆らえばどうなるかわからない。

これからは嫌でも「蒼真」と呼ぶしかないのだろうか。
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  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   7 あなたの魅力に気づく夜

    「わ、わかりました。呼びます」「いい子だ。じゃあ、どうぞ」「どうぞって……」私を見つめる白川先生の瞳は、とても綺麗で吸い込まれそうだった。この美しい顔のせいで、鼓動がまた激しくなる。でも、呼ばなきゃ――私は、呼吸を整えるため、深く息を吸い込み、そして、吐いた。「そ、そ……」ダメだ、やっぱり言えない。こんな恥ずかしい思いは初めてかも知れない。私、きっと今、赤面してる。「どうした?早く言ってくれないか?」「あっ、は、はい」「俺は藍花に、蒼真って呼んでほしい」白川先生は、私が言うまで諦めてくれそうにない。それなら、もう、言うしか――「そ、蒼真さん……」先生の言葉に背中を押され、私は何とか名前を呼べた。「ダメだ、やり直し。ちゃんと俺を見て」あ……目を閉じて言う作戦は、残念ながら失敗に終わった。「や、やっぱり無理です」「言い訳はいい。早くして」もはや、この強引なわがままを切り抜ける方法はひとつも無いと思った。「蒼真さん……」意を決して呼んだ名前は、声が小さ過ぎて、夜の静けさの中ですぐに消えた。もう、これ以上は無理だ。顔から火が吹き出してしまいそうで思わず目をギュッと閉じた。「よくできました。今日は、これでおしまいにしておく」そう言って、白川先生は私の頭を優しく撫でてから、ニコリと笑って残りのハンバーガーを全部食べた。「帰ろうか」「はい」2人で土手を歩き、来た道を駅まで戻る。何だかまだ信じられない。今日のことは全部夢だったのか?もしかして私は、ベッドの中にいて眠ってるのだろうか?目覚めたら何もかも無かったことになっていて、いつもの現実に引き戻されるのか……だけど、私の頬は温かい。すぐ横を歩く先生の髪、体、長い足にも、ちゃんと動きを感じる。これは、幻じゃなく現実なんだ――隣にちゃんと……先生がいる。2人きりの時間は嘘じゃなく、手を伸ばせば、きっとその背中にも触れられる。私達は、同じ空間にいて同じ時を過ごした。明日からはまた、病院での仕事が待っている。だけど、私が歩く足取りは、ここに来るまでとは確実に違ってる。ほんの少しだけ心が軽くなった気がして、ちょっと……嬉しくなった。

    Huling Na-update : 2025-02-22
  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   1 親友とマッサージと内緒話

    「いらっしゃいませ!あっ、藍花~。今日予約だったよね。待ってたよ」「私も楽しみにしてた」たまにやって来るのは、親友である雨宮 月那(あまみや つきな)の彼氏が店長をしているマッサージのお店。月那は、このお店で働き出して4年になる。2年前、私が病院に務めだした頃、体の疲れを癒したくてここに通い始めたのがきっかけで、すごく仲良くなった。月那はもちろん女性だけど、気づけば友達以上恋人未満みたいな関係になっている。何でも隠さずに話せる、とても頼りになる親友だ。一緒にいるとすごく落ち着く。24歳で同い年の月那は、ショートカットが良く似合う美人だ。明るくさばさばした性格で、誰にでも態度が変わらない。31歳の彼氏とは同棲中で、いつかは結婚するそうだ。「今日はオイルマッサージでいいよね?」「うん、お願い。疲れ溜まってて」「了解、任せて」私は、いつものように個室に入ってベッドに横たわった。オイルマッサージの時はほぼ全裸で、用意された紙の下着をつける。初めは恥ずかしかったけれど、もう慣れてしまった。静かに優しいピアノ曲が流れる空間で受ける月那のマッサージは、いつも気持ち良すぎてとても癒される。香りも良く、極上のご褒美時間だ。毎回、施術中はお互いの相談話になる。どうしても仕事のことが多くなるけれど、月那は松下総合病院の患者でもあるから、先生達や看護師、病院のことをよく知っている。だから、私の話を全部わかってもらえるのが有難い。看護師の仕事にも興味があると言って、よく質問もしてくれる。でも今回に限っては、いつもとは少し違う……いや、全然違う相談内容になりそうだ。仕事ではなく、恋愛話に――私は、白川先生、七海先生、それぞれと話したことを全部月那に伝えた。

    Huling Na-update : 2025-02-22
  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   2 親友とマッサージと内緒話

    「うんうん、それでそれで?」マッサージをしながらも、興味津々で次を急かす月那の興奮が伝わってくる。「え~、もう、すごいじゃない!!何なのよ、それ」「何なのよって、私が聞きたいよ。いろいろ戸惑うっていうか……こういうの全然慣れてないから」「いや~。藍花にもやっと春が来たんだね。もう秋だけど」冗談交じりに無邪気に笑う月那。美人な上に元気で明るい人だから、すごく親しみを感じる。月那目当てのお客さんがかなり増えていることには、とても納得できる。「春が来たとかじゃないんだってば。でも、七海先生も白川先生も、どうして私なんかに声をかけてくれたのかなって」月那に優しく背中をもみほぐしてもらうと何とも気持ちが良い。幸せだ……と心から思う瞬間。「ねぇ、藍花は何でいつも自分を「私なんか」って言うの?あなたはすごく笑顔が素敵な癒され女子だよ。初めてお客さんとして店に来てくれた時、すごく可愛い人って思ったし」「嘘だよ。可愛いとか……」「家に帰ってゆっくり鏡見てみな。肌も綺麗だし、顔のパーツもイケてるし、それに藍花はスタイル抜群だからね。そこは本当にうらやましい。まあ、顔の美しさは私には敵わないけどね~」そう言って、またゲラゲラ笑う。月那がそんな風に言ってくれるのは初めてだけど、きっとお世辞だよね……ゆっくり鏡なんか見たら、余計に自信をなくしてしまいそうだ。たぶん月那の言葉は自信が持てない私への励ましなんだろう。「月那は間違いなく誰が見ても本物の美人だから。月那を見てるとめちゃくちゃ綺麗だなって本気で思うし、私が男なら絶対好きになってるよ。笹本さん……幸せだよね」笹本 太一(ささもと たいち)は、月那の彼氏の名前。

    Huling Na-update : 2025-02-22
  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   3 親友とマッサージと内緒話

    細身の月那の隣に立つとかなりの大男?に見えるけど、短髪で筋肉をこよなく愛するガッチリイケメンさん。31歳でこの立派なマッサージ店を任されてて、ものすごく仕事ができる頼れる人だ。「太一はさ、別に私の顔を好きになったわけじゃないらしいよ。まあ、好きになった女がたまたま美人だったってわけ……ってね、私だってさ、別に自信があるわけじゃないよ。でも、明るく生きた方が得かなって思ってるだけ」「うん、そうだよね。毎日明るく生きれたら楽しいよね。本当に月那はすごいよ。だけど、やっぱり……私っていろいろマイナスに考えてしまう性格なんだと思う」「そんなことないよ。藍花はさ、いつも私を励ましてくれるよね。褒めてくれるし。そういう優しいとこ好きだよ。今までこんなに何でも話せる友達っていなかったし、私は藍花の性格に惚れてるから。だから、見た目も性格ももっと自信持ちな」「今日はどうしたの?すごく褒めてくれるんだね」本当に、何だか照れる。でも、そんな風に言ってもらえてとても嬉しい。「まあ、たまにはね~。やっぱりさ、藍花には幸せになってもらいたいからね」マッサージ中、うつ伏せで月那の顔は見えないけど……その言葉が本心だってこと、すごく伝わってきた。「ありがとう。私もいつか月那みたいに幸せになれるのかな?」「いつかじゃなく、近々、何かあるかもよ。白川先生と七海先生、超イケメン達からのアプローチがあったんだから」「アプローチっていうのかな。あの2人が私に近づきたい理由なんてどう考えても見つからないよ」「どうして?」「どうしてって、あの容姿は世界のイケメントップ100に入っててもおかしくないくらいだよ。そんな人達に興味を持たれるわけないよ」月那だったらわかるけど、私は……「何言ってるの。イケメン達は、藍花に興味があるから誘ったんだよ。そんなの当たり前じゃない。確かにさ、あの2人ならトップ100に入るよね。いや、ヘタしたらトップ10かもよ。そんな超絶イケメンに誘われたなんて、藍花はとんでもないよ」

    Huling Na-update : 2025-02-23
  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   4 親友とマッサージと内緒話

    トップ10――正直、有り得ないことじゃない。「私、からかわれてるのかな?やっぱりおかしいよね、絶対。急に2人から声掛けられるなんて。もしかして病院のみんなにドッキリにかけられてる?」本当にそんな気がしてきた。「わざわざからかう理由がある?たまたま同じ時に藍花に声を掛けたくなったんだよ。最近可愛くなったから、先生達、我慢できなくなったんじゃない?」「や、止めてよ。そんなわけないじゃない。恥ずかしいこと言わないで」「あ~。耳、真っ赤だよ。もうさ、素直に受け取ればいいじゃん。2人からの熱いアプローチを」「だから、告白されたとかじゃないし、何を受け取ればいいのか全然わからないよ。本当に……ただご飯を食べただけだから……」「まあ、そうかも知れないけど、でもきっとあの2人は藍花のことが好きなんだよ。私も診察してもらったことあるけどさ、あそこまでイケメンだったら選ぶの悩むよね~」うつ伏せが終わり、月那は私に上を向くように言った。「好きなわけないでしょ。選ぶとか失礼だよ」「まあまあ、聞いてよ。想像するの、楽しいじゃない。白川先生はあれだけの超イケメンでしょ。あの見た目にあのスタイル。あっ、つい最近病院で聞いたんだけど、白川先生ってめちゃくちゃお金持ちなんだって。何だったかな……ホワイト……あっ、そうそう、ホワイトリバー不動産の社長の息子なんだって」「えっ、う、嘘でしょ?」「知ってる?ホワイトリバー不動産って」「知ってるも何も全国展開してる大企業だよ。CMとかもバンバンしてるし」「そうなんだ。不動産とか興味無いから知らなかった」「そっか……。でも、それって本当の話なの?」「待合室でさ、おば様達が話してたのよ。間違いないと思う。本当、社長の息子なんてすごくない?会社はお兄さんが継いで弟の白川先生は医者になったって」知らなかった……ホワイトリバー不動産、確かに白い川、白川だよね。白川先生が、あんな超有名な会社の御曹司だったなんて。天才イケメン外科医で家柄もすごい、それこそ「無敵」だ。「そんな白川先生と、ご実家が大病院の見た目がセクシーな七海先生。う~ん、すごく悩む。どっちがいいかなぁ」「別にご実家のことは関係ないと思うけどね」私の脚をゆっくりマッサージしながら本気で考え込んでる月那に、思わず苦笑いした。

    Huling Na-update : 2025-02-24
  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   5 親友とマッサージと内緒話

    「関係ないこと無いよ。お金持ちかどうかはめちゃくちゃ大事だよ。将来結婚した時にはやっぱりお金があった方がいいじゃん」「け、結婚!?」月那の何気ない一言に驚いて、私は勢いよく体を起こしてしまった。「ちょ、藍花、胸、見えてるよ!」「え!?うわっ!!」かけていたタオルがズレ落ちて、全てあらわになっていた胸を慌てて両手で隠した。「藍花ってすごく愛嬌があるし、とっても良い子だよ。そういう何とも言えない可愛いとこが男にウケるんだよ。七海先生にも可愛いって言われたんでしょ?だったら自信持ちなよ」仰向けになり、ベッドに横たわった私に、月那は再びタオルをかけた。「可愛いっていうのはお世辞だし、結婚とかそんなのあるわけないよ。月那が急に変なこと言うからびっくりしたよ」「そんなのわかんないよ~。案外どっちかと結婚して玉の輿に乗ったりして。結婚したらさ、白川 藍花か七海 藍花になるんだね。どっちもいい響きだよね~」白川 藍花、七海 藍花――そんなの、どっちも有り得ない。「本当にやめてよ。私のこと知りたいなんて言って、きっと他の女性にも言ってるんだよ。うん、きっとそう」「そんなわけないでしょ。私さ、男見る目あるからさ。あの2人は……そういうことができるタイプの男じゃないよ。なんかイケメンなんだけど真面目っていうか。患者にあんな風に関われるんだから、間違いなく性格もいいよ」確かに月那は男の人を見る目というより、こういう仕事をしてるからか、人間を見る目があると思う。「うん……。だけどね、私のことを知っても仕方ないって思ってしまう」「そんな弱気にならないの。知りたいって言ってくれたんだから信じなよ。藍花には、そうだな……やっぱり白川先生がいいんじゃない?」「えっ!ど、どうして?」「七海先生も素敵だけどさ。なんか白川先生って好きな女をすごく守ってくれそうじゃん。絶対浮気とかしなさそうだし。それにさ、エッチとかも上手そうじゃない?」

    Huling Na-update : 2025-02-25
  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   6 親友とマッサージと内緒話

    エ、エッチって……一瞬、白川先生の筋肉質な裸体が頭に浮かんだ。一気に顔が赤くなる。「ひ、人ごとだと思って適当なこと言わないで」「適当じゃないから。親友の月那先生からのアドバイスはちゃんと聞いた方がいいよ。ま、七海先生を選んだとしても、私は文句は言わないけど。あれ?藍花、顔真っ赤じゃない?」「えっ、あっ、そ、そんなことないよ」さっきの月那の言葉のせいだ。頭の中を白川先生の裸体がチラついて消えない。見たこともない身体を勝手に想像している自分が恥ずかしい。「はい、終了!オイルマッサージお疲れ様」「あ、ありがとう、月那」「また何か進展あったら教えてよ。なんかワクワクする~」「本当にもう……月那は……」でも……こうしてちゃんと相談に乗ってくれて、結局、私をすごく心配してくれる。月那は本当に信頼できる最高に素敵な女性だ。「ありがとうね、気をつけて帰って」「うん、こちらこそありがとう。とっても気持ち良かったよ。また明日から頑張れる。あっ、笹本さんにもよろしくね。また来るから」「は~い。いつでも待ってるよ」私は月那と別れ、マンションに向かった。オイルマッサージでリフレッシュした体はもちろん、月那に全部話せたことで、心まで軽くなった気がした。

    Huling Na-update : 2025-02-26
  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   1 君の優しさと君の夢

    「おばあちゃん、早く退院してね」「そうだね。もう少ししたら退院できるから、そしたらまた遊ぼうね」「絶対だよ、約束」「もちろん。約束ね」私が担当している患者さんが、小学校低学年くらいのお孫さんと指切りしてる。病院の中庭の噴水のそば。そんな2人の素敵なやり取りに、ちょっと胸が熱くなった。ご家族と一緒に居られる時が、患者さんにとって1番大切な時間だから。私は、中庭を散歩したり談笑してる人達に目をやった。みんな穏やかで笑顔もあって、そういう姿を見るのが本当に嬉しかった。さらに中庭の奥まで進むと、患者さんは入れない関係者だけのスペースがある。木々の葉が揺れ、花が咲いていて、医師や看護師の安らぎの場所になってる。それぞれの休憩時間に利用していて、私もここに来るとホッとする。「藍花さん!お疲れ様です」「歩夢君、春香さん。お疲れ様」そこにいたのは歩夢君ともう1人の看護師だった。山口 春香(やまぐち はるか)、24歳。ロングヘアをひとつに束ねていて、ほとんど化粧はしてない。肌はとても綺麗だ。薄めの唇に目立ちにくいピンク色の口紅をつけている。私と同い年で、ここに入った時から一緒なのに……なぜかずっと敬語を使われている。それにいつまで経っても「蓮見さん」と、苗字で呼ばれていて、少し寂しい。私は「春香ちゃん」と呼びたいけれど、正直、まだまだハードルは高い。もちろん、私だけではなく、みんなに同じ対応だから仕方ないとは思っている。常に冷静沈着で秀才タイプ。私なんかよりずっと仕事ができる春香さんだけど、普段からあまり笑わなくて、患者さんの前でもほんの少し微笑むくらいだ。ナースステーションにいてもみんなの輪の中にわざわざ入ってこずに、いつもだいたい1人で黙々と仕事をしている。特に仲良くしてる看護師もいないみたいだ。もう少しにこやかにしてれば素敵なのに……と、余計なお世話ながら思ってしまう。春香さんと1度ゆっくり話してみたいけれど、向こうにその気はないみたいで……

    Huling Na-update : 2025-02-26

Pinakabagong kabanata

  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   1 新しい家族の誕生

    まだ少し肌寒く感じる4月初旬。つわりも早めに落ち着いてホッとしていた。「藍花、大丈夫?寒くないか?」「大丈夫です、蒼真さん。ありがとうございます」「体、絶対冷やさないように」「はい」「10月には俺達の赤ちゃんがこの世に誕生するんだな……すごく不思議な気持ちだ」私のお腹をゆっくりとさすりながら蒼真さんが言った。「本当に信じられないです。私がママになるなんて」「俺もパパになるんだな。今から楽しみで仕方ないよ」「蒼真さんがパパで、この子は本当に幸せです。こんな素敵な人がパパで、赤ちゃんびっくりすると思いますよ」「そうだといいけどな。いつまでも素敵なパパでいられるようにしないとな」「蒼真さんならいつまでも若々しくてカッコ良くて、最高の自慢のパパになりますよ」「だったら藍花は自慢のママだな。誰よりも綺麗で、可愛くて、キラキラ輝いて……。この子のママは世界一素敵なママだ」「は、恥ずかしいです」「恥ずかしくないだろ?本当のことなんだから」何気ない日常のやり取り、私は、いろんなことに幸せを感じながら、明日、蒼真さんと婚姻届を出す。前々から蒼真さんの4月の誕生日に出すことを決めていた。妊娠中ということもあり、2人で真剣に話し合った結果、式は挙げないことにして、ドレスとタキシードで写真撮影をすることになった。数日前にカメラマンさんが撮ってくれた写真の中の私達は、2人とも笑顔だった。それを見ていたら、少しずつではあるけれど、本当に夫婦になったんだと実感した。白いタキシード姿の蒼真さんは、世界中の誰よりもカッコ良くて、この人を他の誰にも渡したくないと思った。永遠に私の側にいて、私のことだけを見ていてほしいと心の底から願った。蒼真さんは私の平凡な人生をバラ色に染めて、180度変えてくれた。これからは……「白川先生」と「新人看護師」という関係ではなく「夫婦」として長い道のりを一緒に歩むんだ。***そして、10月――木々の葉っぱが赤や黄色に美しく色づいた秋晴れの日に、私達の待望の赤ちゃんが誕生した。産声をあげたのは元気な男の子。七海先生の紹介で入った女医さんが、赤ちゃんを取り上げてくれた。さすが七海先生の肝いりの先生だけあって、腕も確かで出産時の声掛けも素晴らしかった。女医さんや蒼真さん、周りのみんなのおかげで、私は安心して出産す

  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   6 ふたりの未来への1歩

    しばらくして、蒼真さんは私をマンションに呼んでくれた。「一緒に暮らそう。藍花が心配だし、側にいたい」「いいんですか?」「ああ、もちろん。君の体もつらいだろうし、無理のないように過ごしてくれればいい。一緒にいれば、もし何かあった時、少しは安心だろう」「少しだなんて、私……正直不安だったので、蒼真さんと一緒にいられたら、本当に安心です」とはいうものの、蒼真さんはホワイトリバー不動産の御曹司。それに比べて私はごく普通の一般人。身分の違いには天と地ほどの差がある。本当に、私はここで蒼真さんと一緒に暮らしてもいいのだろうか?でも、少し前にも「身分の違いなんて関係ない。そんなものは一切気にするな」と、叱られてしまったから……だから、もう言わないようにしたかった。引越しも全て蒼真さんが手配してくれ、もったいないくらいに広くて素敵な部屋での生活が始まり……何だか心も体もリラックスできて、この環境ならお腹の赤ちゃんにも良さそうだと思えた。それに、何よりも、大好きな蒼真さんの側にいられること、それが1番心強くて嬉しかった。蒼真さんのぬくもりに包まれる安心感は半端なく、私はこの心穏やかで幸せな日々に感謝しかなかった。

  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   5 ふたりの未来への1歩

    「蒼真さん、はい、こんな私ですが、どうぞよろしくお願いします」「良かった」「私……こんなに幸せでいいんですか?」「藍花。たぶん、俺はお前より幸せだと思ってる」すぐ目の前の優しい笑顔に照れてしまう。「そんなことないです。私の方が幸せです」2人で微笑み合う。「ただ1つだけお願いがある。藍花にはうちの病院で出産してもらいたい。その方が何かと安心だ。俺も藍花のすぐ側にいるから」どこまでも私を大切にしてくれる蒼真さん。その気遣いに心から感謝した。「実は今の病院は婦人科だけなんです。出産できる病院を探そうと思っていたのでちょうど良かったです。それに松下総合病院には最高の先生と看護師が揃ってますから、私も安心して赤ちゃんを産めます。蒼真さんも同じ病院にいてくれるので心強いです。本当にありがとうございます」私は、蒼真さんとの子どもを産んでママになる。まだ全く実感は湧かないけれど、次々と起こっていく夢のようなストーリーに、私は子どもみたいに心が踊ってしまう。恥ずかしくなるくらい、幸せ過ぎてたまらなかった。***私達は、2人のことを病院のみんなにも話すことにした。婚約、そして妊娠のことはあっという間に広がり、いろいろな反響があった。七海先生が辞めた時以上に「白川先生」のファンはザワザワしているようで、改めて蒼真さんの人気ぶりに驚かされた。中川師長と歩夢君が特に喜んでくれたことはとても嬉しく、話せて良かったと思った。歩夢君も、「藍花さん、おめでとうございます。すごく嬉しいです。あなたが幸せで良かった」と、ニコッと最高の笑顔で微笑みかけてくれた。最初は病院中、そして患者さんまでが私達の噂で持ち切りだったけれど、いつしか穏やかに見守ってくれるムードになっていた。それからしばらくして、つわりがかなりキツくなり、私は仕事は辞めることにした。すごく寂しかったけれど、仕方がない。この状況ではまともに仕事ができず、みんなにも迷惑をかけてしまうとわかっているから。またいつか、ここで働けることを願って――私は、後ろ髪を引かれる思いで松下総合病院を去った。

  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   4 ふたりの未来への1歩

    「……藍花」それでもなかなか切り出せない私に、優しく呼びかけてくれた。その思いに背中を押され、私は口を開いた。「蒼真さんとの子ども……あ、赤ちゃんが私のお腹にいます」「……」数秒の沈黙。私は蒼真さんの表情を確かめるのが怖くて、下を向きながら続けた。「あっ、でも、もし私と赤ちゃんが重荷なら、私は身を引きますから。蒼真さんには外科医という大切なお仕事がありますし、私は1人でもこの子を……」えっ……突然体が大きくて温かいものに包み込まれた。「……蒼真……さん?」「藍花……ありがとう。俺、すごく嬉しい。本当に……嬉しい」そう言って、蒼真さんは抱きしめた腕を離し、私を真っ直ぐに見つめた。瞬きした瞬間、蒼真さんの瞳からキラキラした雫が1粒こぼれ落ちた。泣いている……?蒼真さんの涙、初めて見た……「あの……赤ちゃん、喜んでくれるんですか?」「当たり前だろ。喜ばない理由なんて何一つない。嬉しくてこんなにも胸が熱い。俺、いつか……こうなることを願ってたのかも知れない」その優しい答えに肩の力が一気に抜けた。「良かった……です。嬉しいです。もしかしたら私、蒼真さんにフラれるんじゃないかって、怖くて」私も、自然に涙が溢れた。「フラれるなんて思うな。絶対に離さないって言っただろ。正直、近いうちにプロポーズするつもりだったんだ」「えっ……。本当……ですか?」「ああ。でも、俺達の赤ちゃんが1日も早い結婚を願ってくれたんだな。藍花の中に芽生えた小さな命、俺の全てかけて守るから。もちろん、藍花のことも、必ず守る」蒼真さんの瞳には1ミリのかげりもない。私と赤ちゃんを本気で受け入れてくれてると、ちゃんと思えた。霧がかかったみたいな暗い気持ちが一気に晴れて、私の心に明るい光が差し込んだ。「私、蒼真さんと赤ちゃんと3人で家族になれるんですか?」「ああ、もちろんだ。藍花、俺と……結婚してくれないか?」心にズシンと重く響く「結婚」の2文字。嬉しくて、嬉しくて、喜びが心の底から溢れ出してくる。「……本当に私でいいんですか?」「ああ、俺達、夫婦になろう。藍花のこと、世界一幸せにするから、俺に着いてきてくれ」迷いのない蒼真さんの言葉。この瞬間、蒼真さんといることが私にとって何の間違いもない、1番正しい選択だと確信できた。

  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   3 ふたりの未来への1歩

    「もっと激しくしてやる。覚悟して」毎回、私を狂わせるくらい、蒼真さんに攻められる。こんなにも激しくしつけられて、私は……あなたという底の無い沼から抜けられなくなってしまった。「蒼真さん、そこ、気持ちいいです」「本当?こんなところがいいんだ。また1つ感じる場所が増えたな。藍花の体はしつけがいがある。触れれば触れる程に敏感になって……。じゃあ、ここは?」どんどんあなたにハマる感覚を、私はこの上ない「幸せ」だと思える。この人だけの物になりたい。私の全部を蒼真さんにあげたい。離れたく……ない。心から強く思った。「ずっと一緒だ」「……はい。嬉しい……です」温かな胸に抱かれ、お互いの肌が触れ、私達は愛に満ちた最高の世界にいつまでも身を置いた。***そして、月日は流れ、私は体の異変に気づいた。すぐに病院に行く。予想は的中していた。私は、蒼真さんとの子どもを授かった――感動で涙が溢れ、止まらなかった。いつかはもしかして……と思っていた。勢いでそのまま抱かれた時もあったし、でも、気をつけようなんて、お互い言わなかった。だから、当たり前と言えば……当たり前だった。私はこの状況をすごく嬉しく思ったけれど、蒼真さんはどうなんだろう?もしかして私はフラレるのだろうか?そう思ったら心底怖くなった。そんなことはない、絶対に蒼真さんは私のことを大事にしてくれる。きっと、大丈夫――それにしてもいつ話そうか?頭の中にいろんな思いが巡る。確かに不安は拭いきれない。私は、蒼真さんの部屋に招かれた日、ちゃんと打ち明けようと決意した。いつものように食事をしてから、ドキドキしながら話を切り出した。「あの……蒼真さん」「ん?」こちらに顔を向け、蒼真さんは私をじっと見た。「あっ、あの。えっと……」かなり不安げな表情だったのか、蒼真さんは心配そうに眉間に皺を寄せた。「大丈夫?落ち着いて。ゆっくりでいいから何があったのか話して」「……は、はい」

  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   2 ふたりの未来への1歩

    そして、とろけるような刺激が私を包む。私の全てが蒼真さんに支配されていく……充分に敏感になった場所を、胸から順番に下に向かって何度も触れられ、私は更に深く高揚する。「あぁっ……ダメっ。蒼真さん……」「まだだよ。まだ……我慢だ」「意地……悪」繰り返される執拗な指の動きに、私はどうしようもなく淫らになる。蒼真さんの前では一切理性が効かない。制御不能になり、2人ともブレーキをかけることができず、ますます激しく震えるほどに乱れていく。私のこんな姿は誰にも想像できないだろう。普段の見た目との違いに、きっと引かれてしまうに違いない。自分でさえも、快楽に溺れる自分を受け入れられずにいるのだから――蒼真さんはお構い無しに私を愛撫する。体の全部の気持ち良いところを1つ1つ丁寧に。そんなところをそんな風にされたら……もうどうしようもなく気持ち良くて、我慢などできない。「もっと声出していいよ。藍花の思い通りにしてやるから」「思い通り……?」「ああ。どうしてほしい?」「……あ、あの……」私の望んでいることは何?こんなに体が熱いのに、まだまだ求められておかしくなりそうだ。だったら止めてほしい?私の本当の望みはいったい何なの?きっと私は……最高に気持ちいい瞬間がほしい――私は、「もっともっとしてほしいんでしょ?」と、悩める自分の心に問いかけた。「もっと……して。お願い、蒼真さん……」気がつけば、そんな恥ずかしいセリフを発していた。これが私の本性なのか?だとしたら、私、確実に……あなたにしつけられてこうなったんだ。ごく控えめだった私の中から、恐ろしい程淫らな部分を蒼真さんが引き出した。1から10まで全部、あなたに調教されて、私は女としてのこの上ない喜びを知ってしまった。不思議だ。もう私は、以前のつまらない自分には二度と戻りたくない――と、心で叫んでいた。

  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   1 ふたりの未来への1歩

    「藍花、好きだよ……」「私もです。蒼真さんとの時間がすごく大切です」部屋の明かりはついたまま。私達はベッド入り、隣り同士並んでる。布団の中ではお互い何もつけていない。肌と肌が触れ合う感覚に、さっきからずっとドキドキしている。「僕もだ。今までは医学のこと以外に費やす時間なんてほとんど無かった。ジムに行ったりするくらいで、食事も簡単に済ませてた」「蒼真さんは勉強熱心ですから、みんな言ってます」だからこそ無敵なんだ。どこまでも外科医として努力する姿がカッコよくて、私は心底尊敬している。「それももちろん大事だ。勉強することは止めない。でも今は……藍花との時間が1番大切なんだ。この時間があるからまた頑張れる。今となっては、もうお前がいないと頑張れない」「そんな、そんなことないですよ。蒼真さんはいつだって……」言葉を続けようとした瞬間、そっと唇を塞がれた。「こんなこと言われたら失望する?」私は首を横に振った。「もし藍花がいなくなったら……俺、そう思うと本気で怖くなるんだ。情けないよな」「蒼真さん……。情けないなんて思いません。失望なんてするわけないです。蒼真さんは頑張り過ぎるくらい頑張ってます。そんなすごい人にそんな風に言ってもらえることは……やっぱり素直に嬉しいです」今度は私のおでこに優しくキスをした。「藍花。お前がもし患者さんのことを思うなら、絶対に一生俺から離れるな。藍花が側にいてくれたら俺はもう何も怖くない」そう言って私を抱き締める腕の強さに、何とも言えない安心感と男らしさを感じた。守られるって……こういうことなんだと。「いいな?絶対に俺から離れるな」私を間近で見つめながら甘く囁くその顔が、あまりにも美し過ぎる。この世にこんな美しいものが存在するなど、理解に苦しむほどだ。「私、離れません。ずっとあなたの側にいさせて下さい」「その言葉を待ってた。藍花……お前の全部を俺の物にしたい。俺だけのものに……」何度も何度も繰り返して押し寄せる甘いセリフの波。その波に飲み込まれて溺れてしまいそうになる。

  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   5 もうひとつの別れ

    「藍花さん」「ん?」「……やっぱり僕、あなたのこと……」「……」「ずっと考えてしまいます」歩夢君は、小さな声でそう言った。「……」そう言われて、言葉が上手く続けられない。「でも、藍花さんには好きな人がいるから……僕達は恋人にはなれないんですよね」「歩夢君、ごめん……」「いやだな~。僕は藍花さんの笑った顔が好きなんです。そんなしんみりした顔しないで下さい。好きな人にはずっと笑顔でいてほしいです。あなたが笑顔なら、僕はそれだけで嬉しい。藍花さんが幸せなんだってわかれば……それでいいんです」「そんな……。歩夢君、優し過ぎるよ」七海先生と同じだ。私は、歩夢君にももっと別の世界を見てもらいたい。いろいろな人に出会い、新しい道を進んでほしい。「僕はこれから仕事も頑張っていきます。だけど、あなたを想うことも止めませんから。あなたが誰を好きでも構いません。迷惑だとは思いますけど、もうしばらく……藍花さんを好きでいさせて下さい。今日はそれが言いたくて」「歩夢君。すごく嬉しいけど、でも、私にこだわらず、新しく好きな人ができた時には、必ずその人を大切にしてあげてほしい。私に申し訳ないなんて思わずに、ちゃんと前に進んでね」「……ですよね。ずっと想ってるなんてやっぱり迷惑ですよね」「ううん、迷惑なんかじゃないよ。だけど、あなたの大切な人生だから。歩夢君の未来はキラキラ輝いててほしい。私だって……君に笑っててもらいたいよ」「……笑って……?」「そうだよ。歩夢君の笑顔はみんなを元気にするパワーがあるの。そのパワーで患者さんが元気になるんだよ。歩夢君が悲しい顔をしてたら、みんな元気もらえなくなる……」「……パワーありますかね?」「あるよ!もちろん」「だったら、ずっと笑っていないとダメですね。僕が誰かの役に立てるなら……」「うん」「もし、僕にも誰かを想える時がもし来たら……藍花さんのいうように、その人を大切に……しますね。まあ、もしそんな人が現れたら……ですけど。あっ、駅に着きました。あっという間です、早いですね」歩夢君はつぶやくように言って、口角を上げてニコッと笑った。「ありがとう、歩夢君。君の笑顔で私も元気になれるから……感謝してる。本当に……いろいろありがとう。明日からもまたよろしくね」「はい!藍花さんと一緒に働けるだけで僕は幸せです。

  • 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~   4 もうひとつの別れ

    「ごめんなさい。本当に……」頭を深く下げる春香さん。「ありがとうね、そんな風に言ってくれて。でも、自分の責任だから本当に気にしないで」「……あ、ありがとう。私……今日、蓮見さんと話せて良かった。じゃあ、行くね。また……会えるかな?」「うん、必ず会おうね。寂しいけど、元気でね」「白川先生と、お幸せにね」「えっ!?」「恋愛経験が無い私でもさすがに見てればわかるから」春香さんにも、七海先生にも当てられてしまったということは、自然に顔に出てしまっているのだろうか?気づかないうちにニヤけていたのかも知れない。だとしたら、かなり恥ずかしい。「う、うん。ありがとう」春香さんは、ほんの少しだけ手を振って、そのまま去っていった。「あんなに笑顔が素敵な人だったんだ。だから、これから先は大丈夫だよね」春香さんは、これから先の人生、きっと自分らしく前向きに生きていける。背中を見送る私の心は、嬉しさと安心したせいか、ポカポカして温かくなった。ナースステーションに戻ると、歩夢君がいた。「どこに行ってたんですか?」「あ、うん。春香さんと話してた」「そうなんですか……。春香さんが辞めてしまうなんて、寂しいですよね。七海先生もいないし……」「うん。寂しいよね。でも、春香さんはきっとまたどこかで看護師を続けると思うし、元気に頑張ってほしいよね」「はい。本当にそう思います。春香さん、看護師として今まで頑張ってたから……」歩夢君のこの言葉。春香さんが聞いたら嬉しいだろう。「まだまだこれからだよね。春香さんも、そして私達も。患者さんのためにしっかり頑張らなきゃ」「頑張ります!あっ、あの、藍花さん。今日、仕事終わってから少し話せますか?」「えっ、あ、うん。大丈夫だけど……どうしたの?」「藍花さんと2人でちゃんと話すのは今日が最後です。あっ、もちろん僕まで病院を辞めるわけじゃないですよ。ただ……改まって話すのは最後……ってことです」「……うん。わかった。実は私も話したいことがあるの」「そ、そうなんですか……。わかりました。話しましょう」蒼真さんとのこと、ちゃんと言わないと……***そして、夜になり、私は歩夢君と2人、病院を出て駅に向かってゆっくりと歩いた。「ごめんね、歩きながらで……」「いえ、突然僕が声をかけてしまったので、すみません」歩夢君

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