僕と姉さん、何故かアカリも残り他の者が準備に取り掛かるとアレンさんは神妙な顔つきで話し始めた。 「アカリも残ったのかい?まあいいけど。君達に伝えておくことがあるんだ。家族に関することだから紫音さんにも残ってもらった」 姉さんを残したのは何故か不思議だったが、家族に関することなら姉さんにも聞かせる必要がある。「異世界には世界樹の伝説がある。何処にあるかも分からない世界樹の頂上に辿り着いた者は神が願いを叶えてくれるというものだ」 「え……なんでも……ですか?」 「そう、なんでも。君が望めば時間を遡り今までの悲劇を無かったことにもできる」 そんなの、返事は決まっている。「異世界に行きます。連れて行って下さい!」 「よく考えた方がいい。世界樹は何処にあるかボクでも分からないんだ。ただ現状を変えるには唯一の手段だとは思うけど」 元々僕の命を掛けてでも時を戻すことを考えていた。 渡りに綱とはこのことだ。「それに……カナタくん。君は忌み嫌われる赤い眼をしている。世界樹を探す旅は過酷になるだろう、それでもいいのかい?」 「僕はそれでも、元の平和な世界に戻したいんです……」 「彼方、私は応援するよ。だから貴方のしたいようにして。何処に行っても私はずっと味方で居続けるよ」 「姉さん……ありがとう……」 世界樹を目指すのなら、姉さんとは今日をもって永遠の別れになるだろう。 涙は止めどなく溢れてくる。 もしも、あの平和な日々に戻れるのなら……僕は……成し遂げて見せる。 「決まったね。世界樹に関しては向こうの世界に戻ったら伝手を辿ってみよう。紫音さん、貴方の弟は何があってもボクらが守って見せる。だから安心して欲しい」 「お願い……します……」紫音は涙を堪え、唯一の家族を見送る覚悟を決めた。 死ぬ訳では無いが、もう会うことはない。 自分のワガママで弟をこの世界に残せば、世界から追われ続ける一生となる。 それは姉として看過できるものではないと理解していた。「姉さん、必ず世界を元に戻してみせるか
Terakhir Diperbarui : 2025-03-10 Baca selengkapnya