All Chapters of (改訂版)夜勤族の妄想物語: Chapter 21 - Chapter 30

47 Chapters

2. 「最強になるために」⑳

-⑳秘密の部屋にて- 光明と結愛は先日、義弘の秘密の図書室、いや、書斎に仕掛けたドローンの映像をじっと見ていた。普段義弘以外出入りする事がない空間、勿論ずっと同じ映像が続いている。義弘が来ない限り当たり前の事なのだが2人は飽きてきていた。しかし、結愛は光明が自分の為に頑張ってくれていると思い余計な事かと発言を控えていた。その時だ、映像に義弘の姿が現れ、秘密の書斎で彼はパソコンに向かっていた。電源を入れ分厚い本を何冊も持ち寄り何やら真剣に調べものをしている、よくよく考えたら義弘は普段から知識やうんちくを会話に色々と差し込んでくる事が多かった事を結愛が思い出した。結愛「親父って思ったより勤勉だったんだな・・・。」 光明「感心している場合かよ。」 結愛「悪い悪い(わりいわりい)、何の資料を見ているか見えるか?」 光明「やってみるわ。」 光明は映像を解析し、義弘の手元を拡大した。ただ何冊もの書籍は全て義弘の陰になってしまっているので内容は全く見えない。なのでパソコンの内容を見えないかと色々とやってみたが全然確認できなかった。  光明の横で結愛は現場のドローンから送られる生の映像を見ていた。そこにも義弘が現れた。パソコンと分厚い本を数冊持ってきて調べものをしている。光明に操作方法を教えてもらい結愛は義弘の手元を探ろうとした。やたらと分厚い本が5~6冊、また比較的薄い本が1~2冊ある。結愛「あれは・・・。」 光明「ん?どうした?」 結愛「あの本なんだけどよ・・・。」 光明「どれどれ・・・。」 光明は自分が見ていた映像を一時停止し、結愛の操作していたパソコンのマウスに手を伸ばした。マウスにしては柔らかい物に手が当たった。結愛「お・・・、おい・・・。」 光明「ん?」 マウスの上で2人の右手が綺麗に重なっている。光明は慌てて手を離した。2人とも顔が赤くなっていた。光明「悪い、すまねぇ。」 結愛「まぁ、良いけどよ。」 それから暫く2人とも心臓の鼓動がバクバクと鳴っていた、本題に戻るのに何故か時間がかかる。  その間に映像の中の義弘はパソコンが並ぶ机の端っこにあるプリンターの方に移動していった、大きめの紙数枚に何かを印刷している様だ。その間に結愛はパソコンの前の書籍を見た。各教科ごとの大学入学共通テスト(旧:大学入試センター試験)の過去問題集と高等学
last updateLast Updated : 2025-01-21
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2. 「最強になるために」㉑

-㉑義弘のやり方- 結愛は誰にも気づかれないようにしつつも海斗に連絡していた、やはり時には兄貴を頼りたくなるもんだという事なのだろうか。誰かに相談したそうな素振りを全く見せていなかったので皆が勝手に強い人間なんだと勘違いしてしまっていたのではなかろうか。結愛「兄貴・・・。」 海斗「ん?」 結愛「今話せないか?」 海斗「勿論大丈夫だ。」 結愛「実はよ・・・。」 結愛は最近思っていることを海斗に打ち明けた、主に先日義弘の書斎で見かけた書類や書籍類についてだった。以前もこんな事があった様な無かった様な・・・。  義弘が彼なりに教育について真剣に考えてるのではなかろうかと思い始めた、それが故にしばらくは学校でも家でも可能な限り義弘の様子を観察しようと企んだ。結愛「以前、中学受験の過去問や資料を大量に調べて親父なりにプリントにまとめていただろ?デジャヴ的なものを感じてんだよ。」 海斗「確か親父の秘密の書斎・・・、だっけ?えっと・・・、そこで見かけたってやつか。」 結愛「あん時さ、物凄い量のプリントを押し付けられた事を思い出してよ、少し辛かったなー・・・、なんて。」 海斗「分かるわ、これからこの学校もあんな感じになるのかな。」 結愛「俺嫌なんだけど、皆を巻き込んじゃってあんな事したくねぇ。」 海斗「毎日毎日テストが夜遅くまでで寝る間も無かったな。」 結愛「俺普通の学校生活を送りたかっただけなのに・・・。」 海斗「だから取り戻そうや、俺たちの高校生活を。」 結愛「ああ・・・、うん・・・。」 海斗は別に相談する事が結愛にはあるのではないかと思えて仕方なかった、しかし今はやめておこう、最強になって学校生活を取り戻すことに集中するんだ。  一方、光明は秘密の書斎に仕掛けたドローンの映像をずっと見ていた。義弘が過去問を調べ尽くしていたあの時以来動きは全くない。代り映えのない退屈な映像が続く、ビルの管理人の仕事ってこんな感じなのかなって想像した。その時校内のスピーカーから声がした、義弘だ。すると結愛が耳を押さえながら入って来た、続いて伊津見も。義弘「皆さん、深夜の学園でいかがお過ごしでしょうか、理事長の貝塚義弘です。今から私自ら大学入試に向けた特別授業を開講しようと考えています、受講希望者は2階の特別教室までお越しください。」 伊津見「うるせぇな、
last updateLast Updated : 2025-01-21
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2. 「最強になるために」㉒

のためだ。-㉒伊津見の経験- 4組の伊津見は義弘による深夜の特別授業に強制参加することになり、筆記用具片手に渋々特別教室へと向かった。左耳には光明に渡された無線機、そして胸元に小型マイクを身につけスパイとして参加する。特別教室に入ると分厚い資料を配布し終えた義弘が教卓のすぐ近くに座っていた。ノートパソコンを教室に設置されたプロジェクターに接続して黒板代わりに使うのだろうか、大きなスクリーンを広げていた。伊津見達が教室に入ると義弘が歓迎の言葉をかけた。義弘「深夜の特別授業へようこそ、ここでは私自ら過去数年分の大学入試センター試験、及び大学入学共通テストの過去問を調べ上げ関連づけた資料を一緒に見ながら学んでいくものです。『かなり充実した』内容になっているはずなので存分に学んでいって欲しいです。席は決まってませんので見やすい所に自由に座ってくださいね。」 珍しい位に柔らかな笑顔で出迎えられた生徒たちは少しゾクゾクとした気分となっていた、日ごろのイメージと真逆だからだ。しかし各席に配布されている資料の厚さがこれから行われる授業の厳しさを物語っていた。義弘「各席に配っているのが私自ら調べ上げ、資料と紐づけたお手製のプリントです、最初から試験を解けと言われても無理なものは無理、解けないものは解けないものです。ですので解答・解説や資料を見ながら一緒に勉強していきましょう。元々白黒表記になっている問題や資料の写真は見やすくカラー表記にしてみましたのでお役に立てて頂ければ幸いです、勿論そちらは差し上げますのでご自由にお持ち帰りください。お役に立てて頂ければ幸いです。  私はこの授業の為に眠気覚ましのブラックガムをドカ食いしましたので、徹底的に勉強できたらと思います。それでは1教科目の国語から始めていきましょう。」 授業が始まった。一斉に分厚い資料を開いていく。5年前のセンター試験の過去問の大問①が現れた、義弘は生徒たちに小問や問題文を読み聞かせていく。義弘の声は優しさに満ち溢れ皆聞き入っていた。  授業が順々と進んでいく、皆重要な場所を赤ペンや蛍光ペンでチェックしていき通常の学校の授業の様に生徒たちは集中していった。義弘の解説は思った以上に分かりやすくそこにいた全員が次のクラス決めの摸試の時、ダークホースになってもおかしくない程になっていった。  学園が朝日に照らさ
last updateLast Updated : 2025-01-21
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2. 「最強になるために」㉓

-㉓猛暑の殺人- 暑い日が続いていた、そんな中守たちは相変わらず朝から晩まで勉強漬けの毎日を過ごしていた。義弘の指示が故に冷房は切られており、窓が閉め切られていた。ただ流石にこれにより死者が出てしまえばこれはこれで教育委員会等に訴えられてもおかしくない状況だ、義弘から教師・講師全員に通達が伝えられ冷房がやっと起動した。生徒全員ほっとしながら授業に集中し机に向かう、義弘も人の子だという事だ。  そんな中、黒服がダンボール箱を抱え各教室にやって来た。  守や結愛達がいる2年1組には黒服長の羽田が来た。羽田「しゃ・・・、ゔゔん、失礼。理事長先生からお茶の支給品が来た。各自1本ずつ持つように。冷え冷えでうまいぞ、結愛お嬢様もおひとついかがでしょうか?」 結愛「お父様からですの?」 羽田「そうでございます、ご・・・、ゔゔん、申し訳ございません。お父様からでございます。」 結愛「個人的にはコーラが良かったのですが。」 羽田「ご存じの通り、ご主・・・、いやお父様は炭酸入りのソフトドリンクはあまり飲まれませんので。」 結愛「やはりお父様とは好みが合わないみたい、それにしても珍しいですわね。羽田さんがそんなに噛むなんて、何かありましたの?」 羽田「先日の侵入者の事なのですが。」 結愛「黒服さんに紛れていた方ですの?」 羽田「はい、こちらをご覧いただけますでしょうか。」 羽田は指名手配犯のビラを結愛に見せた。結愛「これ、書き込んでも?」 羽田「どうぞ。」 結愛はマジックでサングラスを書き足していった。どう見ても先日ふらついていた『黒服』だ。結愛「間違いないですわね。」 羽田「はい、かいちょ・・・、いやおじい様を狙った侵入者ですね。」 結愛「おじい様が無事で何よりですわ、それと・・・。」 羽田「はい?」 結愛「そんなに無理して言い直さなくてもよろしくてよ。」 羽田「申し訳ございません、日ごろからお父様に言われているもので。」 琢磨「羽田さんも大変ですね。」 羽田「面目ない。」 このお茶の支給は夏の間続いた。生徒たちはこのありがたい贈り物を素直に受け取っていた。  数日経ったある日のこと、いつもの通り生徒達がお茶を飲んでいると3組の教室から男女の悲鳴が轟いた。その3組の教室から伊津見が凄い形相で走って来て慌てて1組の教室に入った。伊津見
last updateLast Updated : 2025-01-21
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2. 「最強になるために」㉔

-㉔猛暑の捜査- 一斉捜査が始まり、黒服が学校中をうろついていた。  しばらくして黒服の1人が3組の教室に入って来た。黒服「黒服長、よろしいでしょうか?」 羽田「三田(さんだ)か、どうした。」 三田「西條が見つかりました、ただ・・・。」 羽田「ん?」 三田は西條を3組の教室に入れた、体中をぐるぐる巻きに縛られている。羽田「西條、何があったんだ。」 西條「実はここにお茶を運ぼうとした時に後ろから電撃のようなものを突き付けられて気付けばこんなことに。」 三田「1階の掃除用具入れにこの状態で閉じ込められていたんです。」 羽田「という事は西條は無実・・・、因みに犯人の顔は覚えているか?」 西條「すみません、後ろから襲われたので見えてなくて・・・。」 羽田「分かった、ほどいてやるからゆっくり休め。」 西條「はっ、すみません。」 三田は西條を連れて控室に向かった、西條はぐったりとしていてまだ少し体が重そうだった。ただ羽田や結愛の役に立てなかった事を悔いていて少し涙目になっていた、申し訳ないと言わんばかりに。  すれ違うように結愛達が息を切らしながら教室に戻って来た。結愛「羽田さん、西條さんは見つかりましたの?」 羽田「見つかりましたが、西條は被害者だったようです。1階の掃除用具入れにぐるぐる巻きで閉じ込められてました、犯人の顔も覚えて無い様でして。」 結愛「そうですか・・・、もしかしたら例の指名手配犯の可能性もあり得ますわね。」 羽田「取り敢えず警察を呼びます、生徒の皆さんは各組の教室に戻ってください。さぁ、お嬢様も。」 結愛「はい、お願いしますわ。」 羽田は急いでインカムを外線に繋ぐように指示を出し110番通報した。 30分、いや1時間以上は待ったのだが警察のパトカーは全く学園にやって来ない、静寂が辺りを包み皆息をするのがやっとの状態だった。その時、葬儀屋の寝台車が2台出入口に停車し亡くなった2人の遺体を運んでいった。以前4組の生徒が銃殺された時の様にてきぱきと作業を行い葬儀屋は去って行った。 しばらくして羽田が教室に戻って来た、警察がなかなか来ないので三田が相談をもちかけたのだ。三田「黒服長、変ではないですか?葬儀屋はすぐに来るのに警察が全然来ないだなんて。」 羽田「海斗坊ちゃんと結愛お嬢様に相談してみよう。」 三田「ご
last updateLast Updated : 2025-01-21
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2. 「最強になるために」㉕

-㉕歪んだ権力- どう見ても羽田の方が気が気でない様な感じなのだが通話の向こうの警官は驚くほど冷静だった。警官「分かりました、貝塚学園にす・・・ガチャ!」 羽田「ん?!」 海斗「切・・・、ら・・・、れた・・・。」 結愛「どうゆう事?」 羽田「恐れ入ります、信じたくはないのですが警察内で何かしらの権力での圧力がかけられているのかと・・・。」 結愛「ま・・・さ・・・か・・・。」 海斗「お父様ということですか?」 羽田「下手したらの話ですが・・・。」 一方、羽田の嫌な予感が的中したらしく、警察署には義弘の姿があった。警察署長の部屋で威張って座っている。  署長と警視庁の警視総監はとなりで正座させられていた。ずっとブルブルと震えている。義弘「署長、私に逆らってパトカーを走らせたらどうなるか分かっておるよな?」 警視総監「当然です、貝塚社長に逆らえるものなどこの国にはおりません。謝って逆らいでもしたら末代の恥でございます。」 警視総監の家は4人家族で暮らしている、残り30年分残っている住宅ローンを義弘が一括で支払い貝塚財閥が全権を握っている様な有り得ない状況となってしまっていた。義弘はこの権力を行使して貝塚学園からの通報は全て無視するようにと指示を出していた、警視総監がローン代を義弘に返さない限り日本の警察は義弘の思い通りとなっている。殺人が多数発生することを予測して先に手を回していたという事だ。 結愛と海斗の2人は思った、『アレ』を使う時が来たのだと。いくら何でも殺人事件が2度も起こっているのに警察が動いていないのはやはりおかしすぎる、相当な権力という名の圧力を持ってでもないと実現しない話だ。  しかし、誰もが不審に思わない訳がない、特に貝塚財閥に莫大な投資をしている人間は。2人は乃木先生に相談すべく彼女を探しに行こうとしていた。その時、学園の出入口に1台のミニバンが停まった。羽田達黒服が近づいて事情聴取しようとしていた。  ミニバンの運転席が開き、長袖の作業着姿の男性が1人降りてきた。とめどなく流れる汗を首にかけたタオルでずっと拭いている。こんな暑いときに長袖なんてよく着るなとその場の全員が思った。(※今更ですが黒服にも夏用に半袖の制服があります。)男性「暑い暑い、公恵(きみえ)に言われて来てみたけどこんなに暑いならやめておくべきだった
last updateLast Updated : 2025-01-21
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2. 「最強になるために」㉖

-㉖大株主の心の広さ- 結愛は『あのチケット』を握りしめて走ってやって来た、そして乃木先生に向かって頭を下げた。結愛「乃木先生、お願いします!このチケットをお父様に渡して使わせて下さい!」 乃木「お嬢様、頭を上げて下さい。その私の父ならここにおりますよ。」 結愛「えっ・・・?!」 幸太郎「こんにちは、娘がいつも大変お世話になっております。」 幸太郎は優しく微笑んだ、結愛はギョッとしたがすぐに冷静になった。この人が自分達、いやこの学校の救世主だと思うと待ち望んでいた人が現れたと涙が溢れた。海斗は落ち着かせなきゃと結愛と肩を組んだ。結愛「あに・・・、お兄様。」 海斗「今はそんなの気にすんな、取り敢えず落ち着け。申し訳ありません、少し席を外してもよろしいでしょうか。」 幸太郎「勿論、どうぞ。」 暫くして気持ちを落ち着かせた結愛を連れて海斗が戻って来た、2人の手には『あのチケット』が握りしめられている。2人とも震えていた、しかしこの学校を何とかしなきゃという正義感が強くなり震えはすぐに止まった。幸太郎「現状を知りたい、黒服さん、事件現場にご案内をお願いできますか?」 羽田「かしこまりました、こちらでございます。」 幸太郎「因みに黒服さん、お名前は?」 羽田「羽田と申します。」 幸太郎「羽田さん、今の僕には貴方が頼りです。お手伝いをお願いできませんか?」 羽田「全力を尽くします。」 全員が事件現場に到着した、遺体は葬儀屋が運び出した後だった。それ以外はそのままだったので事件の悲惨さを物語っていた。即座に事件の酷さを察知した幸太郎は自ら110番通報した、同じ内容だったので警察側はすぐに通話をを切った。現状を知った瞬間、幸太郎は頭に血が上ろうとしていて冷静さを保つことが困難になっていた。咄嗟に別の所に連絡を入れ始めた、相手はあの博だった。博(電話)「もしもし、ああ幸太郎さんじゃないか、珍しいな。」 幸太郎「博さん、今どこにいる?」 博「ハワイにいるんだが、ただ事じゃなさそうだな。」 幸太郎は事件について彼が知っていることの全てを打ち明けた。博「わしの孫達がそこにいるんじゃないか?」 結愛「じ・・・、じいちゃん、俺親父の事信用出来ねぇ、あれを使うからな。」 幸太郎はチケットを渡そうとした結愛を静止し、大事に持
last updateLast Updated : 2025-01-21
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2. 「最強になるために」㉗

-㉗重要人物- どうやったのか1日もしないうちに博はハワイから戻って来た、そして息つく間もなく事件現場を確認しに学園へと赴いた。学校の出入口で幸太郎が博を出迎えた、羽田の案内で事件現場の2年3組へと向かう。博「これは酷いな・・・。」幸太郎「どう思う?」博「あの計画を進める時が来たかも知れん。」幸太郎「ただ、私たちだけでは力不足だ。特にあの2人が出てきた時は。」博「ああ、義弘派閥の2人か。あいつらが動けば面倒だな。」幸太郎「やはりあの人の力を借りるしかないな、私が電話してみたら会ってくれるみたいだ。改めてもう1度電話しようと思うのだが。」博「私もあの人と話したい、スピーカーにお願いできるか?それと相談に行く時は私も行こう。」 一方、光明は犯行の証拠となる映像が残っているのではないかと各箇所に設置した監視カメラやドローンを確認していた。事件が起きた数分前の映像を見てみると侵入者と思われる黒服が西條に後ろからスタンガンを突き付け気絶させている所が映っていた、西條が配ろうとしていたお茶のダンボールを奪い取るとその中の数本に透明な液体を注射器で注入しているのが見える。注射器で空いた小さい穴を見つからないようにグルーガンで器用に埋め箱に戻した様だ、その映像を西條に見てもらうべく光明は西條の眠る保健室に向かった。 保健室では圭が付きっきりで看病をしていた。西條はぐっすりと眠っている。光明「この人が侵入者にやられた黒服さん?」圭「うん、少し熱があるけどぐっすり眠ってるみたい。どうしたの?」光明「ドローンと監視カメラの映像を確認してもらおうと思ったんだけど、後の方がいいな。」圭「今はゆっくり寝かせてあげよう。」 その時、西條が目を覚ました。西條「痛たたたたた・・・、えっと、君たちは?」圭「気が付きましたか、私2年1組の赤城です。」光明「2年3組の伊達光明です。」西條「私は西條だ、ずっと看病してくれてたのか?」圭「西條さんずっと寝てましたから殆ど何もしてませんけど。」西條「いや助かるよ、ありがとう
last updateLast Updated : 2025-01-25
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2. 「最強になるために」㉘

-㉘話し合い、そして侵入者- 博と幸太郎は女性が指定した喫茶店に向かった。数分後、女性は1人の男性を連れてやって来た。 2人はコーヒーを飲みながら幸太郎の説明を聞いた。女性「いくら何でもやりすぎだね、呆れたもんだよ。そう言えばあんた、奥さんはどうした?」男性「妻は海外支社から娘が戻ってくるので一先ず家で留守番しています。」女性「まあいいさ、とりあえずあれだね、あたしらだって株主である前に人間さね。許せないよ。」博「ただ現状、私と幸太郎だけでは不十分だ。」幸太郎「それにさっきも言ったとおり義弘派閥の2人が動いていたらこちらに勝ち目は無い。」女性「だから私の出番って事だね。」博「頼めるかい?」女性「任せろってんだ。」 その頃学園では黒服長の羽田が黒服全員を集めていた。 同行している守・圭・琢磨・橘・結愛・海斗には黒服の前で自分の事を名前で呼ばないように頼んでいる。羽田「黒服長は私以外にも唐松(からまつ)・佐野(さの)の2人が居ます、くれぐれも秘密裏に。」 羽田は黒服全員に同じ質問をし、耳打ちで答えさせ偽者、つまり侵入者を見つけ出そうとしていた。 自分の直属の黒服長は誰だと質問し答えさせていく、そして。侵入者「む・・・、村岡さんです。」羽田「見つけたぞ、お前が侵入者か!」侵入者「くっ・・・、仕方ねえ。」羽田「捕まえろ!」 羽田の指示でそこにいた黒服全員が侵入者に襲い掛かり捕まえた。 羽田が侵入者のサングラスを奪い取る。羽田「貴様・・・、国際指名手配犯のラルクじゃないか!警察に突き出してやる!」ラルク「無駄だ、俺の依頼主が警察に圧を掛けてるから動かねぇさ。」羽田「まさか・・・、お前の依頼主は・・・、畜生・・・!」 羽田は保健室にいる結愛のもとに急いだ。 保健室のベッドの横で結愛はずっと圭と共に西條の世話をしていた。羽田「お嬢様!大変です!」結愛「静かになさい・・・、西條さん寝てるんですよ
last updateLast Updated : 2025-01-25
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2. 「最強になるために」㉙

-㉙吐露、そして計画実行へ- ラルクが逮捕され数日、警視総監から直接博のもとに電話が来た、拘置所にて取り調べを行うので立ち会って欲しいとの事だ。学園で起こった殺人事件について真相が明らかになるのだ、博は喜んで協力すると答えた。 まず4組の教室であった殺人についてだが学校全体の偏差値を少しでも上げなければという理由で生まれた極端な考えで起こったもので武器を仕掛けたのはラルク本人だという事だ、その時彼は英語の特別講師として侵入していた。 また3組で起こったものについてだがその理由は不明だとの事だ、殺人を行っただけだという。どちらも義弘の指示で動いたとラルクが吐いた。 因みに今回は特別に警視総監自ら取り調べを行っている、今回の取り調べの音声を記録すべく博に同行していた結愛は光明にICレコーダーを借りていた。警察側もうそ発見器を使用している。警視総監「もう一度聞こう、お前に殺人を指示したのは貝塚義弘で間違いないな?」ラルク「ああ・・・、俺はあいつに金で雇われただけだ。」警視総監「義弘が直々にお前を雇ったんだな?」ラルク「しつこいな、そうだと言ってんだろ。」 うそ発見器も反応していない様なので、どうやらラルクは本当の事を言っているみたいだ。はっきりと音声も録音されているので、これは十分証拠となる。 数日後、ラルクが吐露した通り両方の殺人が義弘のものか確証を取るため、義弘の取り調べを行った。しかし、義弘は一貫して黙秘を貫いた。 次の日、博は幸太郎と共に結愛に会いに行った。現在、一時的にだが貝塚財閥の全権を握るのは結愛だからだ。博「結愛、ちょっと時間あるか?」結愛「良いけど、何?」博「海斗も一緒に聞いてくれると嬉しいんだが。」結愛「そこにいるから呼んでくる。」 結愛はすぐに海斗を呼んできた。博「凄く、言いにくい相談なんだがね・・・、お前さんらの親父を理事長(社長)から降ろそうと思っているんだ、今の学園では生徒たちが安心して生活できんだろう、それにこれを見てくれ。」 義弘は懐から大量の手紙を取り出した、博が義弘に内緒で貝
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