ホーム / 青春 / (改訂版)夜勤族の妄想物語 / チャプター 31 - チャプター 40

(改訂版)夜勤族の妄想物語 のすべてのチャプター: チャプター 31 - チャプター 40

47 チャプター

2. 「最強になるために」㉚

-㉚運命の株主総会- 幸太郎は結愛と海斗、博、そして自ら総会に招待した生徒を貝塚財閥の大会議室に招き入れた。招待された生徒は勿論、結愛と海斗も初めて入る部屋でコンサートホールの様に前にあるステージに向かって下り階段が伸びている。幸太郎「ようこそ、貝塚財閥株主総会へ。」 幸太郎は招き入れた生徒達を後ろの端の席へと座らせ、自分と博は左寄りの前の方に陣取った。続々と株主が入ってくる。幸太郎と博の反対に右寄りの前の方にスーツを身に纏った2人が座った。生徒たちは彼らの顔を見て驚いた。古文の茂手木と数学の重岡だ。ちょうど横を通りかかった幸太郎に聞いた。海斗「何であの2人が・・・、学校の先生だったはず。」 幸太郎「あの2人は本当は投資家で私やおじいさんと同じ、ここの大株主だ。ただ義弘派閥と言って義弘の言いなりなんだ、多分今日は敵として戦う事になるだろう。」 その時だ、博がステージに立ちマイクを握った。博「おはようございます、皆様本日はお集まりいただきありがとうございます。只今より緊急株主総会を開始いたします。尚、この場に私の愚息が居ないのはその愚息について話し合う場だからです。」 茂手木「愚息とは失礼だな、名ばかりの会長が何を言ってるんだ。彼は1代でこの会社をここまで大きくした言わば偉人じゃないか!」 博「じゃあその偉人がした事を見るがいい!」 博は光明に借りた今までの事件に関する映像を見せながら、警視総監の借金を利用しての全国警察への圧力の事や生徒達が苦しむ学園の現状を伝えた。  最後に、貝塚財閥本社社長室に仕掛けられた隠しカメラに捉えられた映像が流れた。それは投資家である重岡や茂手木に金を渡している所の物だった、勿論音声付きで。明らかなる贈収賄の証拠映像だ。博「これを見てもまだ偉人と呼ぶか?!私は自らの教育が足らなかったと自分の事が恥ずかしくてたまらない!愚息を即刻、社長の任から解くべきだ!」 重岡「今までハワイで遊んでいたじいさんに会社の経営ができるなんて思えません!皆さん、この解任案は反対すべきです!」 数十分にわたり議論は続いた、そして議長がステージに上がり採決
last update最終更新日 : 2025-01-26
続きを読む

2. 「最強になるために」㉛ 後日談

-㉛ 後日談・異世界へ- 株主総会がおわり、義弘が逮捕されてから数年、貝塚財閥は本格的に社長となった結愛の理念の下で教育支援を中心としたに力を入れて信頼を取り戻していった。  今となっては貝塚学園は雰囲気が明るく、部活動等が充実した有名進学校として有名となり当時の面影を全く残していない。  副社長となった結愛の夫・光明が結愛にオリジナルの珈琲を淹れて渡した。光明「ここも大分変ったよな、理想の学校として全国から憧れられる存在になっているから、お前もあれからもの凄い努力をしたんじゃないのか?」 結愛「何言ってんだよ、俺じゃなくて周りの人たちのお陰だろうが。」 相変わらず結愛の口調は代表取締役社長に就任しても変わらない。  そんな中、結愛は気がかりになっている事を思い出した。結愛「光明・・・、例の件の調査は順調に進んでいるか?」 光明「あの件か・・・、状況は全く変わってない様だよ。」 実は後々事実を知る事になるのだが、義弘が逮捕された翌日に義弘派閥の株主・重岡が保釈金を支払いすぐに釈放されてから行方不明になっているという噂が最近になって結愛の耳に入り、同じ株主である宝田真希子や乃木幸太郎の協力を得て義弘の行方を追っていたのだ。奴の性格を考えると逃げた先で何かしらやらかしかねない、本当に信用できない男なのだ。  そんな中、学園の生徒の1人が雑誌の切れ端を持って職員室にやって来た。まさかこの切れ端が波紋を生むことになるとは今は想像も出来ない。ただ、重要な案件に繋がりかねないと思った乃木幸太郎の娘である教員の公恵は急いで結愛のいる社長室兼理事長室へと向かった。  実は最近移動が面倒になってきたので結愛がいっその事と思い学園の理事長室を社長室も兼ねる部屋という事にしたのだ、なので普段は本社では無く学園にいる事が多い。  因みに、義弘の時からそうだったが今でも貝塚財閥の社長がこの学園の理事長を兼ねている。乃木「結愛さ・・・、いや理事長。こちらをご覧頂けますか?」 結愛「乃木先生、あなたは私達の恩師です。「理事長」もその他人行儀もやめて下さいと言ったはずですよ。」 乃木「そうね、ごめんなさい。この部屋に来るとどうしてもこうなっちゃうのよ、癖が抜けなくなってて。」 結愛「大丈夫ですよ、それでどうされました?」 乃木は結愛に
last update最終更新日 : 2025-01-26
続きを読む

3. 「異世界ほのぼの日記」①

3.「異世界ほのぼの日記~日本に似て便利な世界でぷらぷら生活~」佐行 院-①突然の異世界- ここは東京、現在20XX年、去年からより酷く進みだした地球温暖化により7月8月における1日の平均気温が40度を超える様になってしまった今日この頃、営業職の女子社員・吉村 光(よしむら あかり)は営業先への外回りに出ていた。日差しがまぶしい、正午となり昼休み。1日の中でも1番暑い時間帯を迎え涼を求めて多くの人が喫茶店やレストランで食事を取っていた、光もその1人になろうと店を探していた。光「お腹空いたし暑くて何もする気しないよ、何食べようかな・・・。」 街は誘惑に溢れているがどこのお店も満席でなかなか食事にありつけない。そんな中、1軒の中華屋さんを見つけた。夏の風物詩となった『冷やし中華はじめました』の看板が出ている。ちょうどそこから男性が2人出てきた。男性①「いや、美味かったな。」男性②「そっすね、これで午後からも頑張れますよ。」光「羨ましいな・・・、あたしも冷やし中華にしよう。」 ひんやりと冷たい冷やし中華、細切りの胡瓜やハム、そして錦糸卵が乗っておりトマトが彩りを加える。横に添えられた練りからしが味のアクセントとなって美味な1杯を想像し光は店内に入った、涼を得たいという同じ考えの人間たちで賑わっており店の中は常に満席で4~5人ほど待ちが生じていた。このお店は回転率がいいらしく15分ほどで席へ案内されお品書きを見ずにすぐ冷やし中華を注文した、このお店ではポン酢だれか胡麻だれを選べるらしく光は胡麻だれを選んだ。女将さんに渡されたお冷が嬉しくて、光は4杯もお代わりしてしまった。女将「そんなに慌てて沢山飲むとお腹壊して冷やし中華が食べれなくなるよ。」光「暑くて仕方無いんだもん。それよりおばちゃーん、お腹空いたよー。」女将「『お姉さん』だろ、この子にはお仕置きが必要かもね。」光「勘弁してよー。」女将「冗談だよ、もう少し待ってな。」 暫くして注文した胡麻の冷やし中華がやって来た、光は麺に胡麻だれを絡ませ啜った。啜りきったその顔は恍惚に満ち溢れていた。瑞々しくシャキシャキの胡瓜が嬉しい、光は夢中になって食べていた。そこに女将さんがやって来て餃子の乗った小皿を置いた。女将「サービスだよ、あんたの食べ方が気持ちよくてね。食べていきな。」光「ありがとう、おば
last update最終更新日 : 2025-01-26
続きを読む

3. 「異世界ほのぼの日記」②

-②異世界?日本?どっち?- 部屋の扉を開けて女性が光に声を掛けてきた、光にとって何となく予想はしていたが最も困った事態が起こった。女性「・・・・・・・、・・・・・・・(異世界語)。」 そう、言語が分からない。しかしその問題もすぐに思った以上に呆気なく解決した。女性「ん?大丈夫かい?あんた昨日の朝川辺で倒れてたから雑貨屋のゲオルさんに担いでもらって来たんだよ。」光「え?」女性「どうやら言葉は話せるみたいだね、下で朝ご飯の準備をしているから降りてきな。」光「あ・・・、はい・・・。」女性「そう言えば、あんた名前は?」光「光です・・・、吉村 光。」女性「光ね、良い名じゃないか。あたしゃネスタ、よろしくね。早く降りてくるんだよ。」 光は頷いてネスタを見送り、起き上がりベッドから出た。出窓からはヨーロッパの農村の風景が広がっている。私道はアスファルトではなく石畳で主の道路は舗装されていない道が続いていた、子供たちが笑顔で外を駆け回り大人たちは楽し気に談笑していて日本とは真逆で皆ゆったりと過ごしていた。 光は部屋を出て階段を降り、ダイニングに入った。異世界で最初の食事だ。ネスタ「あ、降りてきたね、いらっしゃい。」光「お腹空いちゃって、良い匂いだったのでつい・・・。」ネスタ「フフフ・・・、早く座りな。」 光はパンがメインの洋風で温かな美味しいスープが真ん中に置かれたテーブルを想像した。しかしそこにあったのは茶碗の白米に焼き鮭をメインとし、お味噌汁の香りが食欲を誘う和定食の朝ごはんだった。光「日本・・・、みたい・・・。」ネスタ「ニ、ニホン?どこだいそこは?そんな名前の国聞いた事無いねえ。」光「じゃあ・・・、ここは?」ネスタ「あんたここの人じゃないのかい?ここはネフェテルサ王国、人民に優しい王族が統べる至って平和な国さ。」光「ネフェテルサ・・・。」 光は未だ違和感を感じながら出された朝ごはんを食べる、お腹を満たしながらネスタに色々と聞かれた。光は日本の暑さにやられ倒れたらしく、気付いたらベッドで寝ていた事を明かした。 今思えばどうして急に言語が分かるようになったのだろうか。食事を終え片づけをするネスタを手伝いダイニングから自分が寝ていたベッドのある部屋に戻ったその時、幻聴のような声が聞こえた。声「気が付いたか・・・。」光「え?」
last update最終更新日 : 2025-01-26
続きを読む

3. 「異世界ほのぼの日記」③

-③神様によりできた便利な国- 元居た世界で本当に自分が亡くなった事を知り光は涙を流した、神様は気まずそうにしている。神様「うーん・・・、だから見せたくなかったの。無理くりこっちに連れてきたからせめてこの後の生活は出来るだけ何も気にしなくていいようにしたんだよ。」光「分かった・・・。」神様「気が向いたら様子を見に来るから元気でいろよ、便利なスキルを特別にあげるから許せ。とりあえず必要な物が手に入るスキルをやろう、出来るだけお前さんの世界に近いように国を作り替えたから他に必要な物はそれで作ると良い。では説明はちゃんとしたからな、しっかりと過ごせよ、じゃあな。」 急に目の前が明るくなった、またベッドの上だ。どうやら神様に会っていた間ずっと光は倒れていた事になっていたらしくここまではネスタが運んでくれたようだ、どう説明しようか悩んでいたがすぐにどうでもよくなってしまった。光は神様が言ってたスキルを確認すべく異世界転生によくあるステータス画面を出してみた、どうやら両手をぐっと開き前に出して念じると出るらしい。神様のお陰で日本語で書かれているので見やすい、1番下のスキルの場所に『作成』という文字があったので試しに使ってみることにした。使用するには右手を前に出し欲しい物を念じるらしい。光は試しに『バランス栄養食』と念じてみた、すると有名なクッキーの様なブロック型の栄養食が出てきた、食べやすいチョコレート味とある。これは便利だと大切に使おうと思いながら栄養食を食べた。 ずっとベッドに寝転んでいる訳にはいかないし、ずっとネスタの世話になっている訳にもいかないので光は一先ず外に出てみることにした。玄関を出ようとした光をネスタが呼び止めた。ダイニングに招き入れられお茶を振舞われた。ネスタ「あんたそう言えば何の仕事してんだい?」 ここは異世界、勿論今まで光のいた日本とは違う世界だ、企業向けOA商品の営業職と言っても分かってもらえないだろう。光「団体向けの物売りの仕事を。」ネスタ「じゃあ、冒険者とか勇者という訳では無いらしいね。」光「冒険者?じゃあギルドとかもあるんですか?」ネスタ「勿論さ、この辺りは農民が多いからこの辺の魔獣の駆除も頼んだらしてもらえるから助かっているんだよ。冒険者に登録をするならそこに行けばいいよ。」光「とりあえず、辺りを散策してきます。」
last update最終更新日 : 2025-01-26
続きを読む

3. 「異世界ほのぼの日記」④

-④日本との違い- 光は動力源が気になったので男性に質問してみた。光「これはどうやって動かすんですか?」男性「どうやってって・・・、このクラッチを踏んでここに魔力を流すだけだよ。」 すると男性は青いクリスタルに指を近づけてクリスタルを光らせ軽トラを起動してみせた、もう1台はオートマなのでクラッチを踏む必要は勿論ない。光「凄い・・・。」男性「いや、この辺りじゃ普通だけど。」光「え?」男性「皆魔法を使えて当たり前じゃん。」 光は驚くばかりだった、魔法があるのは流石異世界といえる。光も魔法を使ってみたいと思った。光「よし・・・。」 光は右手を前に出して『作成』スキルを使い魔力を作ってみた。全身が綺麗なオーラで纏われる、それをオートマの軽トラのクリスタルに指から流すと軽トラが起動した。光「やった!」男性「やるじゃないか、ただあんた、免許は?」 光は日本にいた頃の免許証を出した、どうやらこっちの世界でも有効らしくすぐに乗れるらしい。日本語も向こうの言語に翻訳されて男性側には表示されているようだ。男性「吉村 光か・・・、珍しい名前だな。俺はガイだ、よろしく。」光「ガイさん、よろしくお願いします。これからまた色々と教えて下さい。」ガイ「任せな、俺でよかったら何でも聞いてくれ。」 頼もしい仲間が増えて光は嬉しかった。そう言えば1つ忘れていた事があった、雑貨屋に行かなければならない。ゲオルという人にお礼を言っておかなければならなかった、この世界に来た初日、川辺で倒れていた自分を運んできてくれた恩人だ。光「ガイさん・・・、ここに雑貨屋さんってありますか?」ガイ「食料の調達かい?街に入ってすぐの緑色の店だよ。」光「ありがとうございます、行ってきます。」 光はガイと別れ街へと向かった、街に入ってすぐの建物が緑色できっとそこが雑貨屋なのだと分かった。とりあえず中に入ってゲオルを探すことにした。重くて大きな赤い扉を開け・・・、ようとしたら自動で開いたので光はびっくりした。きっとこれも魔法なんだ、もしくは神様が便利なように作ってくれたんだと解釈した。 扉から中に入って中の商品を物色しつつゲオルを探すことにした、中には塩や砂糖といった調味料から洗面用具など色々揃っていた。ただ、レトルトカレーやインスタントラーメンといった即席の食品まである、まるで日本
last update最終更新日 : 2025-01-26
続きを読む

3. 「異世界ほのぼの日記」⑤

-⑤お金はどうしよう- 光は一先ず食料を手に入れる術を手に入れようとした。何でもかんでも『作成』スキルに頼ってばかりいたら周囲の人に怪しまれるし、ずっとネスタの家でただ飯を食べる訳にもいかない。 まず、光は転生する前に自分が元々住んでいたアパートに残っている食料を持ってこれないかと考えた。自分自身が『移動するスキル』を『作成』して日本とネフェテルサを往復して持ってきたら・・・、いや、結構時間がかかる。 では、『転送』のスキルを『作成』しよう、冷蔵庫ごと転送しちゃえばいいのだ・・・、この世界には電気が無い。そうだ・・・、あれがあるじゃないか、あれを『作成』して設置しよう。 光は、丁度近くにいたゲオルに尋ねてみた。光「この辺りって結構晴れていますか?」ゲオル「そうですね、雨は1か月に2~3回あるかないかではないですかね、でも夏になる直前は鬱陶しい位毎日の様に降りますがね。」光「それって何月くらいですか?」ゲオル「だいたい6月くらいですね。」 どうやらこの世界にも梅雨の時期があるらしい、まさかここまで日本を再現してくるとは神様って本当にすごいなと改めて思った。 とりあえず光はゲオルの店を出て職業を探すことにした。ゲオルによると仕事を探す為にもこの町の冒険者ギルドに行く必要があるらしい、今年からギルドカードが履歴書の代わりになるのだという。早速光はゲオルに道を聞いて冒険者ギルドに向かう事にした。街の中心部にあるので歩いて行けるらしいので向かおうとしたが、その前に喉が渇いたので飲み物を手に入れることにした。 市場とかではどんなお店があるかをちらっとしか見ていなかったのでお金のことを全く調べていなかった。ゲオルの店の中にある飲み物コーナーに向かう。光「えっと・・・、お茶は・・・、128円・・・、円?!噓でしょ?!」 光は恐る恐るだが懐に入れていた財布から1000円札を出しゲオルに聞くことにした。光「ゲオルさん・・・、まさかこれ・・・、使えませんよね・・・?」ゲオル「何を仰っているのですか?当然、使えるに決まっているじゃないですか。ほら、レジの所の看板をご覧下さい。魔法マネー(電子マネー)各種や魔力カード(やクレジットカードは勿論、デビッドカード)もお使い頂けますよ。」 お・・・、思いっきり日本じゃん・・・、これも神様がしたって事なのと光は流石に
last update最終更新日 : 2025-01-26
続きを読む

3. 「異世界ほのぼの日記」⑥

-⑥心配する必要なかったじゃん- ドーラがどうしてびっくりしているのかを光は理解出来なかった。光「どうしたんですか?」ドーラ「すみません。あの・・・、恐れ入りますが、もう働く必要無いんじゃないですか?」 どうやら身分証を提示した時に銀行残高も見えるらしく、その金額を見て驚いた様だ。ただ、光はそんなに驚くほど持ってないんだけどと思いながらドーラに登録を進める様にお願いした。思ったよりあっさりと終わってしまった。ドーラ「はい、登録が完了しました。こちらがギルドカードです。こちらには魔力により光さんの職歴やお持ちの資格などの情報が登録されています、これを職場での面接時に持っていけば大丈夫ですのでね。」光「ありがとうございます。」 光はギルドを出てゲオルの店のATMにカードを差し込んだ、「残高照会」のボタンを押すとそこには「1京円」の文字がありまた神様の仕業だなと愕然とした。しかし、働かずに過ごしていたら周りの住民に怪しまれる。街中にあるパン屋が従業員を募集していたので一先ずそこで働くことにした。 次は住む家だ、広めの土地を買える財産があるみたいだがやはり怪しまれたくないので一般家庭レベルの土地と一軒家を購入した。その事をネスタに話し、建設が終わり次第引っ越すつもりだという事も伝えた。 数日後、建設が終わったという連絡を受け、引っ越すことにした。この世界に来て間もないから特に大それた荷物がある訳ではないので荷造りにはさほど時間はかからなかった。 出発の時、玄関でネスタが光を待ち構えていた。ネスタ「寂しくなるね、ずっとここにいてくれて良かったのに。」光「いえいえ、そう言う訳にもいきませんので。」ネスタ「また遊びにおいでね。」光「お世話になりました。」 そういうと2人は抱き合い、光は新居へと向かった。 光の家はネスタの家から街を挟んで反対側にあった、特に急ぎの用事もないしパン屋での仕事も明後日からなのでゆっくりできる。なので光はのんびり歩いて行く事にした。空は青く澄んで空気が美味い。 1度ゲオルの店に寄り周りの目を気にしながらATMで支払いの金を下ろした。下ろした金を封筒に入れ、新居へと向かう。 街を抜けて数分歩いたところに新居があり、不動産屋の店主が待ち構えていた。店主「おはようございます、光さんですね?この度はこちらの物件のご購入あり
last update最終更新日 : 2025-01-26
続きを読む

3. 「異世界ほのぼの日記」⑦

-⑦本格的な生活と光の秘密- 店主は周りを見回して光に聞いた。店主「そう言えば家財道具や家具はどうされるのですか?何なら当店で揃えさせて頂きますが。」 『作成』で作ったり日本のものを『転送』しようと思っていたから何も買っていない。光「注文しているものがもうすぐ届く予定でして、足らないものは作ってみたりしようと思います。」店主「ご自分でですか?!」 店主はかなり驚いている様だが日本にいたときはDIYにハマっていた時もあるので問題ない。 店主と別れると光は『転送』スキルを使用し日本にある自分の家具や家財道具、そして家電を新居に設置した。光「さてと・・・。」 光は屋根に登り巨大なソーラーパネルを2枚『作成』し設置した。先ずは雨の日の為に蓄電池を取り付け、家の中に配線を通した。コンセントも『作成』して設置する。電灯は可能なかぎり蠟燭の明かりに色を合わせたものを選んだ以外は日本から持ってきた家電をコンセント繋げた、一先ず日本から『転送』した大きめの業務用の冷蔵庫の電源を入れ蓄電池に電力が貯まるまでとりあえず街の中で食料を中心に買い物を行う事にした。埋め込んだソーラーパネルに合わせて屋根の色は黒に塗って蓄電池は木箱に隠す、これで目立つことはないだろう。 市場で新しく仕入れた食料を冷蔵庫に詰め込むと、元々冷蔵庫に入っていた食料の鮮度等を確かめた。明日使えば何とかなるものも含め全て大丈夫そうだ。 さあ、光の本格的な「特に何もしない異世界生活」の始まりだ。光「さて、これから本格的な異世界生活の始まりだ、やるぞー!」 次の日、今日から新居での新生活の始まりだ。光は朝イチのモーニングルーティンの1つにしている朝シャンを済ませ洗濯機を回し、IHクッキングヒーターでハムエッグを作りオーブントースターでイングリッシュマフィンを焼くことにした。香ばしい香りが部屋を包む、因みに光はパン類はカリカリサクサクと音がするまでしっかり焼く派だ。 一先ず今朝のニュースを確認する事にした、昨日家電を設置した時に調べたのだが奇跡的にテレビ放送は受信できるらしく、光は助かっていた。 光は朝のニュースを確認する事にした、ただ日本の放送を受信しているのだ、日本のニュースが当然の様に流れる。そう言えばここの人間は情報をどうやって共有しているのだろうか。新聞・・・、的なものがあるのだろうか
last update最終更新日 : 2025-01-26
続きを読む

3. 「異世界ほのぼの日記」⑧

-⑧食料を得る- 新聞屋は光の必死な顔に少し引き気味だった、光はかなり強めに新聞屋の腕に掴んでいる。新聞屋は後ずさりしながら光に告げた。新聞屋「わ・・・、分かりました。一旦店に戻ってきます。タイムカードを押してこないといけませんので。すぐに戻って来ますからちょっと待っ・・・。」光「早く・・・・、早くしてください!!!お腹が空いて我慢できそうにありません!!!」新聞屋「やたら大きな魔力保冷庫(冷蔵庫)があったのはそういう理由だったのですね、分かりましたから手を放してください!!!」 ナルと名乗ったその新聞屋は逃げる様に光の家を出て店に急いだ。流石に大食いだからって女性1人で大鍋に並々入ったコンソメスープをすぐに平らげることは無いだろう、ただ急ぐしかない、それがナルに残る唯一の選択肢だった。 光はナルが家を出た後、一心不乱に鍋のスープを食べた。こんなに温かく優しい味のスープは久々だ。落ち着いてイングリッシュマフィンをもう1個焼こう、スープにつけたらぴったりだ。オーブントースターの電源をいれ、テーブルのスープに戻る。やはり美味しい、光は夢中になって食べた。光「美味しすぎる・・・、ナルさん・・・、本当に新聞屋さんなの?!」 鍋のスープが底を尽き、光は椅子にもたれた。その瞬間ナルが家に必死の形相で入って来た、空っぽになった鍋を見て開いた口が塞がらない。ナル「急いで何か作ります、待っててください!!!」光「は・・・、やく・・・、お・・・、腹・・・、が空い・・・、て・・・、死に・・・、そう・・・。」 ナルは急いでエプロンを締め米を研ぎ始めた、土鍋に米を流し込みつけ置きをする。その間に鍋いっぱいの水に昆布と鰹節を入れて出汁を取る、アジの干物を魚焼きグリルに入れると火をつけた。IHクッキングヒーターを見ながら声を掛ける。ナル「それにしても不思議な魔法具ですね、何の変哲のないただの板に鍋を置いていると熱くなってくるなんて見たことないですよ。普通は火属性魔法を薪に当てて火をつけるのですが・・・、これはあなたの魔力ですか?」 軽トラと同じでガスコンロ的なものを使うときにも魔力が必要らしい、やはり改めて思ったがこの世界は何をするにしても魔法が絡んでくるみたいだ。 そんなこんなでナルによる追加の朝ごはんが出来上がった、先程と打って変わって和食の朝ごはんだ。土鍋で炊
last update最終更新日 : 2025-01-26
続きを読む
前へ
12345
コードをスキャンしてアプリで読む
DMCA.com Protection Status